第126回ワークショップが4月5日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。
「カルテル事件における立証手法の検討-状況証拠の活用について-」の最終報告
報告者
(武田邦宣 CPRC主任研究官・大阪大学大学院法学研究科教授)
(泉水文雄 CPRC客員研究員・神戸大学大学院法学研究科教授)
(長谷河亜希子 元CPRC客員研究員・弘前大学人文学部准教授)
(荒井弘毅 CPRC次長)
(藤井宣明 CPRC研究員・審査局企画室長)
(鈴木健太 CPRC研究員・審査局企画室)
(金浦東祐 CPRC研究員・審査局企画室)
(大吉規之 CPRC研究員・審査局企画室)
(説田絢子 CPRC研究員・審査局企画室)
(鈴木隆彦 CPRC研究員・経済調査室)
平成24年度の共同研究の一つである本研究は,過去にCPRCが行った先行研究も参考にしながら,経済的証拠の活用可能性の検討,米国法及びEU法の研究,我が国の審判決の事例分析等を通じて,状況証拠を活用したカルテル・談合の立証手法について検討を行い,今後の公正取引委員会の審査・審判活動に対する示唆を得ることを目的とするものです。
今回のワークショップにおいては,最初に研究の問題意識について説明がなされ,次に,報告書案の章ごとの概要について説明がなされました。
報告を受けて,参加者から,意思の連絡の立証に当たり,欧米では会合などの「コミュニケーションの機会」を示す証拠でもって立証しようとするのに対して,我が国は「コミュニケーションの内容」を供述調書等で明らかにしようとするなど,コミュニケーションの内容を重視しているところが欧米と異なる点ではないか,立証水準について,米国の私訴と比較する場合には,当該私訴は3倍額損害賠償請求訴訟のため裁判所が慎重な判断を行わざるを得ないという背景があって,立証水準が高くなっているといえるので,欧州における立証水準や公取が立証する際の立証水準との比較を行う場合には,その点を考慮して比較する必要があるなどのコメントがありました。