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第127回ワークショップの概要

第127回ワークショップの概要

 第127回ワークショップが4月19日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1) 「諸外国における優越的地位の濫用規制等の分析」の研究計画

 報告者
 (泉水文雄 CPRC客員研究員・神戸大学大学院法学研究科教授)
 (柴田潤子 CPRC客員研究員・香川大学大学院香川大学・愛媛大学連合法務研究科教授)
 (多田英明 CPRC客員研究員・東洋大学法学部准教授)
 (藤本哲也 CPRC研究員・企業取引課長)ほか

 平成25年度の共同研究の一つである本研究は,優越的地位の濫用規制等について,諸外国においても,近時,小売業者のバイイングパワーを背景として,取引の公正化という観点から問題視されているため,優越的地位の濫用規制・下請法に類似した諸外国の法制度やその運用状況について調査・分析を行うことを目的としています。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,これまでも競争法の枠内においては,調査・研究が行われているものの,問題解決に有効な施策という観点から他の行政規制等も視野に入れた調査が必要でないか,また,取引の公正化と自由な経済活動をどのようにバランスさせようとしているのかという諸外国の知恵を学ぶことが重要ではないかとの問題意識に基づき,[1]調査対象分野として,大規模小売業者を中心とした優越的地位の濫用規制・下請法に類似する法制度及びその運用状況とする(他の行政規制等も射程に入れる)こと,[2]調査対象国・地域として,優越的地位の濫用規制・下請法に類似した法制度を有している,又は近時このような制度について議論されている諸外国等(欧州委員会,イギリス,ドイツ,フランス,中国,台湾,韓国等)を対象候補とすること,[3]研究手法として,文献調査,海外の競争当局,学者等からのヒアリングを行う旨の説明がなされました。続いて,WS開催時点までに情報収集したEU,ドイツ,フランス及び中国における優越的地位の濫用規制に類似した法制度の概要について説明が行われました。
 報告を受け,参加者から,諸外国で規制されている優越的地位の濫用に係る射程の範囲を確認する必要がある,違反行為に対する是正措置,是正措置の運用状況について調査してほしい,日本における政策的対応に示唆を得られるような内容にしてほしいといったコメントがなされました。

(2) 「EUのリニエンシー制度の研究」の研究計画

 報告者
 (武田 邦宣 大阪大学大学院法学研究科教授・CPRC主任研究官)
 (和久井 理子 立教大学法学部特任教授・大阪市立大学大学院法学研究科特別研究員・CPRC客員研究員)
 (斉藤 高広 金沢大学人間社会研究域法学系准教授・CPRC客員研究員)
 (河野 琢次郎 課徴金減免管理官・CPRC研究員)
 (片岡 克俊 課徴金減免管理官付主査・CPRC研究員)
 (多賀根 健 経済調査室・CPRC研究員)

 平成25年度の共同研究の一つである本研究は,和解制度との関係も踏まえ,EUのリニエンシー制度の歴史的展開をフォローし,制度改革の意図と効果について,EU競争当局や企業関係者のインタビューや内外の文献調査を行うことにより検証することを目的としています。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,欧州委員会はリニエンシー制度の運用において広範な裁量(減免対象者数,減免条件の判断,減免率,申請時期等)を有しているように見えるところ,このことの意義・効果を,透明性及び予測可能性の確保とのバランスがいかに取られているか,裁判所による裁量統制がどのように機能しているかなどについて重点を置いて検討するとの問題意識に基づき,[1]EU制度の包括的把握を行い,[2]リニエンシー制度の運用実態を調査するとともに,[3]リニエンシー制度以外の制度も視野に入れた広いパースペクティブからの位置付けを検討し,[4]EU制度の相対化を図るとの研究手法が説明されました。
 報告を受けて,参加者から,将来の我が国のリニエンシー制度の改善に資する研究の成果に期待したいが,裁量性を高めるリニエンシー制度の導入によって利益誘導の問題が生じ証拠の価値が低下する危険性があるのではないかという指摘や,リニエンシー制度について各国で統一がないため申請企業に大きな負担となっていることもあり,国際的な収れんや競争当局の協力の方向性についても検討してほしいとのコメントがありました。

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