ホーム > CPRC >

内部向けイベント

>

ワークショップ

>

第128回ワークショップの概要

第128回ワークショップの概要

 第128回ワークショップが4月26日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1)「諸外国の企業結合規制における行動的問題解消措置に関する研究」の研究計画

 報告者
 (大久保直樹 CPRC主任研究官・学習院大学法学部教授)
 (川浜昇 CPRC客員研究員・京都大学大学院法学研究科教授)
 (田平恵 CPRC客員研究員・埼玉大学経済学部専任講師)
 (荒井弘毅 CPRC次長・経済研究官)
 (田辺治 CPRC研究員・企業結合課長)
 (栗谷康正 CPRC研究員・企業結合課長補佐)
 (柳田千春 CPRC研究員・経済調査室)
 (佐藤範行 CPRC研究員・経済調査室)

 平成25年度の共同研究の一つである本研究は,企業結合規制において,これまで副次的なものとされ十分な分析がなされてきたとはいえない行動的問題解消措置について研究するものです。具体的には,米国及びEUの企業結合規制において講じられている行動的問題解消措置の実態を調査した上で,競争法上の問題の類型ごとに講じられている行動的問題解消措置の傾向を明らかにすることなどを目的としています。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,企業結合規制においてどのような場合に行動的問題解消措置が選ばれてきたのか,それが適切なのはどのような場合で,さらに,行動的問題解消措置を用いるに当たり競争当局はどのような点に注意する必要があるのかについて研究する旨の説明がなされました。次に,研究手法について,[1]最初に米国の状況を調査し,競争当局が企業結合規制において行動的問題解消措置を採用した事例を取り上げ,どのような場合に行動的問題解消措置が用いられているか整理し,次にEUについて米国と同様の調査をし,並行して[2]経済学の観点から行動的問題解消措置が採用される市場構造等の経済的背景について分析し,また,[3]我が国の企業結合事例において行動的問題解消措置が採られた事例の分析を行う旨の説明がなされました。
 報告を受けて,参加者から,海外の企業結合規制において行動的問題解消措置が課された場合,競争当局が行動的問題解消措置の実施をどのように監視しているのか検証しておくべきであるというコメントがなされました。

(2)「モビリティー指数を利用した我が国主要産業の市場構造の変化の検証と競争政策の実務への利用可能性の検討-生産・出荷集中度データに基づく分析-」の研究計画

 報告者
 (土井教之 CPRC主任研究官・関西学院大学経済学部教授)
 (本庄裕司 CPRC客員研究員・中央大学商学部教授)
 (工藤恭嗣 CPRC研究員・経済調査室)

 平成25年度の共同研究の一つである本研究は,生産・出荷集中度調査のデータを使用し,[1]市場のダイナミズムの視点も加えて我が国の主要産業の市場構造の変化を検証するとともに,[2]モビリティー指数等の市場のダイナミズムに関する指標について検討し,これらの指標の企業結合審査等の競争政策の実務への利用可能性と利用に当たっての留意点について研究するものです。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,まず,上記の本共同研究の目的が述べられ,次に研究手法として市場のダイナミズムの計測指標(シェアの変動をベースにしたモビリティー指数,マーケットポジションの持続性など)に関する説明があり,最後に,今後の研究スケジュールについて報告がありました。
 報告を受け,参加者から,[1]モビリティー指数の競争政策実務への利用可能性について,合併後にモビリティー指数が下がったかどうかの検証,[2]モビリティー指数と企業の財務データを使用した分析,[3]全要素生産性(Total Factor Productivity,TFP)とモビリティー指数との関係など,企業や市場の成果とモビリティー指数の関係の分析,[4]産業を成長,安定又は衰退産業の三つに分類してそれぞれの産業ごとにおけるモビリティー指数の違いの検証,についてそれぞれ行ってはどうか,とのコメントがなされました。これに対し報告者から,[1]については,企業結合の前後でのモビリティー指数の変化については検証する予定であること,[2]については,細かな品目ごとに財務データが利用できる可能性が低く,かつ,特定の製品に特化している企業でなければ財務データを使用した分析は困難と思われること,[3]については,追加的にデータが必要となるので,データの利用可能性を踏まえながら検討したいこと,[4]については,本共同研究でも行う予定としていること,との回答がなされました。

ページトップへ