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第18回ワークショップの概要

第18回ワークショップの概要

 第18回ワークショップが2月25日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです(かっこ内は担当客員研究員及び研究員を表す。)。

(1)「リーニエンシー制度の実験経済学」
 (京都産業大学特定研究員 濱口 泰代 氏)

 本研究は,リーニエンシー制度の有効性について,実験経済学の手法を用いて調べています。実験では,(1)カルテル・グループが大きい場合と小さい場合でリーニエンシー制度の効果に差があるかどうか,(2)1人減免(最初の報告者のみが課徴金を減額されるケース)と全員減免(報告を行った企業はすべて課徴金を減額されるケース)でカルテル崩壊率に差があるかどうか,の2点について調べられました。その結果,カルテル・グループが大きい場合にはほとんどのカルテルが崩壊したが,カルテル・グループが小さい場合にはカルテルは繰り返し強固に維持されること等が報告されました。これらの結果に対して,談合やカルテルの実態や実際の制度設計を踏まえて実験デザインを改定しながら実効力のあるリーニエンシー制度の検討に資する研究の方向性について議論されました。

(2)「企業結合審査と経済分析」に係る中間報告
 (西村ときわ法律事務所 越知 保見 氏)
 (神戸市外国語大学専任講師 林 秀弥 氏)
 (跡見学園女子大学マネジメント学部専任講師 丹野 忠晋 氏)
 (競争政策研究センター研究員 石垣 浩晶 氏)
 (競争政策研究センター研究員 五十嵐 俊子 氏)

 平成16年度の共同研究の一つである本研究では,欧米においては,企業結合が競争に与える影響をめぐって,競争当局側と企業側が互いに経済分析を行い,法廷等の場で議論を行っていることが企業結合審査の精緻化に貢献しているのではないかという問題意識から,欧米の企業結合審査で用いられる経済分析手法と,そのような手法が実際に用いられた事例について調査し,日本への応用可能性を検討することとしています。今回のワークショップでは,価格相関分析,価格弾力性分析等の主要な経済分析手法と,海外の事例についての分析内容が紹介されました。
 これに対して,今後報告書をまとめるに当たり,どのような読者を対象としたものとするのか,また,経済理論や手法は一定の前提を置いて組み立てられたものであるのに対し,現実の事例は必ずしも経済理論が想定する前提条件どおりとは限らないため,両者のギャップに留意する必要があるといった点が討議されました。

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