第30回ワークショップが1月13日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです(かっこ内は担当客員研究員及び研究員を表す。)。
(1)「競争,イノベーション,生産性に関する定量的分析-市場構造のダイナミクスとパフォーマンスに関する研究-」の中間報告
(CPRC客員研究員・東京大学先端科学技術研究センター助教授 元橋 一之 氏)
(競争政策研究センター研究員 船越 誠 氏)
平成17年度の共同研究の一つである本研究では,工業統計調査の企業レベルのデータを用い,プロダクトライフサイクルを考慮した実証分析により,市場動態指標,特にシェア変動指標の特性と活用方法に関するインプリケーションを導出することを目的としています。今回は,プロダクトライフサイクルの理論的背景とそれを応用した理論モデル,分析のために作成したデータベースの作成過程・構造と当該データベース中のハーフィンダール指数,シェア変動指標等の算出結果などについて報告が行われました。
これに対し,企業数が減少しシェア変動指標が増大した場合の解釈,プロダクトライフサイクルのセオリーに合致する品目の判定や分析に利用する品目の定義の妥当性,プロダクトライフサイクルを企業数の増減で測定する理由,市場構造とダイナミクスに関する理論モデルなどについて議論が行われました。
(2)「商品差別化と合併経済分析」の中間報告
(CPRC客員研究員・東北大学大学院経済学研究科助教授 泉田 成美 氏)
(競争政策研究センター研究員 石垣 浩晶 氏)
(競争政策研究センター研究員 五十嵐 俊子 氏)
平成17年度の共同研究の一つである本研究では,差別化された財における企業結合の理論的な考え方,各国における制度・事例を整理するとともに,日本の商品品目に関するPOSデータを利用して需要関数を推定し,仮想的な水平合併シミュレーションを実施することにより,差別化された財の企業結合審査における理論的・実証的基礎を強化することを目的にしています。今回は,選択した商品品目(加工食品2品目)に関する市場の概要と入手したPOSデータの概略,PCAIDSによる合併シミュレーションの仮想例,企業ブランドレベルでの需要システムの試験的な推定結果について報告が行われました。
これに対し,市場画定と競争制限効果の分析の先後の問題,合併当事者以外の企業の価格引上げとユニラテラル効果の考え方の関係,合併シミュレーション結果の裁判所における証拠としての適格性,PCAIDSとAIDSによる合併シミュレーション結果の相違,制約条件の有無によるパラメータの変化を比較検討する必要性,対象品目の市場における出来事の影響の考慮などについて議論が行われました。