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第31回ワークショップの概要

第31回ワークショップの概要

 第31回ワークショップが3月24日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです(かっこ内は担当客員研究員を表す。)。

 「原始独禁法の制定過程と現行法への示唆」の最終報告
 (CPRC主任客員研究員・神戸大学大学院法学研究科教授 泉水 文雄 氏)
 (CPRC客員研究員・富山大学経済学部助教授 西村 暢史 氏)

 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」,いわゆる独禁法は,戦後直後に制定されたもので,制定後60年を迎えようとしています。平成16・17年度の共同研究である本研究は,米国との交渉を経て制定された原始独禁法の実体規定が,米国側と日本側の両者のどのような意図の下で,どのような立法作業の過程を経て成立したのかについて,日米両国に現存する史料に基づく解明を行ったものです。具体的には,公正取引委員会資料,旧大蔵省資料,旧経済安定本部資料,内閣法制局資料及び米国国立公文書館資料を利用し,1945年末から1947年3月末までに作成された各法律案と,関係する諸資料の分析を行っています。

 独禁法の主要な実体規定のうち,目的規定,公共の利益・一定の取引分野・競争の実質的制限の各要件,私的独占,原始独禁法に規定されていた不当な事業能力の較差,不当な取引制限,共同行為,後に改正され現行法では不公正な取引方法となっている不公正な競争方法,国際カルテル,一連の適用除外の各規定について,立法過程における変遷が報告されました。

 報告を受け,1946年12月上旬の資料であり法案の骨子がまとめられている「独占禁止制度要綱に関する件(案)」において併記されていた,米国法をモデルとしたいわゆる「カイム案」(米国側の最初の立法担当者であるカイム氏により1946年8月に提示された法案)に類似する「甲案」と,甲案より日本独自色が強い「乙案」の取扱い,私的独占と不当な取引制限に共通する要件の一つである「公共の利益」と一時期法案に登場し消えていった「公共の福祉」に関する条文との関係,制定過程の担い手として国会議員・各省庁担当者が果たした役割,経済学における,いわゆる,Natural Monopolyとは別のものとして位置付けられていた「自然独占」の意義,原始独禁法における不公正な競争方法の位置付けなどについて議論が行われました。

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