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第54回ワークショップの概要

第54回ワークショップの概要

 第54回ワークショップが1月18日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです(かっこ内は担当客員研究員及び研究員を表す。)。

 「イノベーション競争と独禁政策」の中間報告

 (CPRC主任客員研究員・一橋大学イノベーション研究センター教授 長岡 貞男 氏)
 (大阪市立大学大学院法学研究科准教授 和久井 理子 氏)
 (東洋大学,日本大学非常勤講師 伊藤 隆史 氏)

 平成19年度の共同研究の一つである本研究は,市場競争におけるイノベーションの重要性が高まり,イノベーションによる競争を促進し,その効率性を高める競争政策の在り方を探求していくことが重要になってきている現状において,企業の行動,なかでも企業結合が,イノベーション(研究開発活動のあり方ならびにその成果)にいかなる影響を与えるか,イノベーションへの影響がいかなるものとなりそうかを識別するためには,どのような要因を検討すべきかについて基礎的な研究を行うことを目的としている。
 今回の報告では,本件における研究の目的及び内容の確認がされた後,米国及びEUの競争当局の実務家が行った企業結合の研究開発活動へ与える影響分析についてのヒアリングの結果報告が行われ,続いて,Michael L.Katz and Howard A.Shelanskiの論文から得られる企業結合規制におけるイノベーション市場の分析への理論的示唆についての報告がなされました。そして,最後に,三菱化学の合併のケースを用いた実証研究の経過報告が行われました。
 報告を受けて,イノベーション市場及びイノベーション競争の定義の確認,企業結合規制以外でイノベーション市場が問題とされた事例及び欧米の競争当局が取った措置について,イノベーション市場が問題となった事例,合併において,当該製品と補完関係にあるようなフューチャーグッズマーケットを考慮しているような事例について議論が行われました。
 また,Katz論文に係る報告の中で,競争政策への示唆についての言及がなされたところ,より具体的にはいかなる政策をとるべきであるのかを明示するとともに,政策的含意や分析を行なうにあたって一定の競争観を採用しているのであればそのことに触れるなど,一歩踏み込んだ報告書になることを期待するといった意見が出されました。

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