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第58回ワークショップの概要

第58回ワークショップの概要

 第58回ワークショップが6月27日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです(かっこ内は担当客員研究員及び研究員を表す。)。

(1)「広告表示等に対する消費者行動の分析-携帯電話の通話料金プラン選択等における購買意思決定-」の最終報告
 (CPRC研究員・前消費者取引課長 粕渕 功 氏)
 (CPRC研究員・消費者取引課 向井 康二 氏)
 (CPRC研究員・消費者取引課 堀内 智一 氏)

 平成19年度の共同研究の一つである本研究では,消費者行動研究や広告効果測定の研究分野における理論を用いて,特定の商品(携帯電話)の表示等に対する消費者行動を分析し,(1)消費者はどのような広告表現等に対して誤認するのか,(2)どのような消費者(価値観,ライフスタイル等)が誤認しやすいのか,(3)誤認に対するブランドイメージ(信頼感等)の影響を検証し,誤認の発生メカニズムを明らかにすることにより,消費者の誤認を未然に防止することにつなげることを目的としています。
 今回の報告では,消費者を対象として行ったウェブアンケート調査の方法及び調査結果の概要,誤認の発生状況,各広告記載物の視認状況,分析方法(判別分析,テキストマイニング,共分散構造分析)についての報告がなされ,打消し表示の在り方など消費者に誤認を与えない表示についての政策的なインプリケーションが報告されました。
 報告を受け,ウェブアンケート調査の方法の確認,得られたデータの年齢構成等,分析結果からどのような商品・産業において問題となり得るのか,番号ポータビリティがあまり利用されてない理由は何か,ブランド別にみた影響の違い等について議論が行われました。
 また,消費者に誤認を与えるかどうかという点について,打消し表示のポイントの大きさや配置をみるだけではなく,その情報量についてみるのも面白いのではないかといった意見が出されました。

(2)「プラットフォームと垂直制限‐ソニー・コンピュータエンタテイメント事件を中心に‐」の最終報告
 (CPRC客員研究員・慶應義塾大学経済学部純教授 玉田 康成 氏)
 (大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授 石田 潤一郎 氏)
 (東邦大学理学部専任講師 山方 竜二 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 横田 武 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 宇野 貴士 氏)

 平成19年度の共同研究の一つである本研究は,垂直的取引契約,垂直的制限及び垂直的統合についての競争効果を分析することを目的としています。
 本研究では,特に双方向性市場を成立させるようなプラットフォームを取り上げ,ソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)事件を例として,双方向性プラットフォーム市場において,SCEが再販売価格維持行為をとるインセンティブを理論的に分析し,同行為を経済厚生の観点から評価しています。
 今回の報告では,まず,玉田氏より,SCEの違反行為の反競争的効果について,市場のプラットフォーム性を考慮した場合,厚生上の観点からの影響は自明ではないとして,双方向プラットフォーム市場についての理論分析と競争政策上の課題が報告されました。次に石田氏より,ソフトウェア企業が将来の価格にコミットできないことで生じるソフトウェアの値崩れが引き起こす問題について,再販売価格維持が行われなかった場合の市場構造と比較して理論分析を行った結果の報告が行われ,山方氏より,SCEの再販売価格維持行為の下で,利益がどのようなバランスで分配されるか,また需要の不確実性の元でのリスク負担の構造はどのように変化するのかという問題についての報告が行われました。最後に,玉田氏よりSCEの再販売価格維持行為によって小売価格とロイヤルティ,ソフトウェア企業のマージンがどのように変化するのかについて報告が行われました。
 報告を受け,プラットフォームの定義,上流市場(ソフトウェア産業)及び下流市場(ソフトウェア販売)の競争状況,理論モデルに関して独占的な競争モデルを想定しているか否か,ネットワーク効果が小売店の数と関係する理由,経済厚生を評価する上でのネットワーク外部性の重要性,再販に関する政策的なインプリケーションについての議論が行われました。

(3)「小売・サービス市場における競争の経済分析」の最終報告

 (CPRC研究員・経済調査室 砂田 充 氏)

 平成19年度の共同研究の一つである本研究は,小売業や一部のサービス業における競争を評価する際,製品市場とは異なるアプローチが必要と考えられることから,距離情報を利用した適切な地理的市場の評価の重要性に焦点を当てて,『特定サービス産業実態調査』等の実際のデータを用いて分析することを目的としています。
 今回の報告では,消費者を対象として行ったウェブアンケート調査の方法及び調査結果の概要,誤認の発生状況,各広告記載物の視認状況,分析方法(判別分析,テキストマイニング,共分散構造分析)についての報告がなされ,打消し表示の在り方など消費者に誤認を与えない表示についての政策的なインプリケーションが報告されました。
 今回の報告では,まず,一定の取引分野の地理的範囲の判断について,小売・サービス市場における競争を評価する場合に特有の問題を検討した後,『特定サービス産業実態調査』のデータを使った実証分析について,映画館需要モデル(データ,変数と推定方法),SSNIPテスト及び分析結果の報告がなされた。その後,ケーススタディとして,東宝・スバル事件の実証分析について報告が行われ,事件の概要,分析モデル,分析結果及び地理的市場競争の評価についての報告が行われました。
 報告を受け,映画館の入場料金の各種割引の存在(女性料金,地域の子供の比率),第1の分析の映画館需要モデルと第2の分析の東宝・スバル事件のモデルとの違い,映画産業の市場画定,他の映画館が近くにある場合のマークアップ及び映画の価格弾力性について議論が行われました。

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