第65回ワークショップが11月21日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。
「外国当局との次世代協定締結に向けた包括的研究」の中間報告
(CPRC客員研究員・東洋大学法学部准教授 多田 英明 氏)
(CPRC研究員・取引部消費者取引課 奥村 豪 氏)
(CPRC研究員・官房国際課 田村 亮平 氏)
(CPRC研究員・経済取引局総務課企画室 伊永 大輔 氏)
(CPRC研究員・取引部消費者取引課 渥美 雅之 氏)
平成20年度の共同研究の一つである本研究では,現在の独占禁止協力協定(第1世代協定)に基づく国際協力の課題等を整理した上で,第1世代協定の課題の克服を目的に締結された独占禁止協力協定(第2世代協定)について,必要性・許容性の観点から学術的・実務的に検討し,さらなる国際協力を行う際の議論の材料等を呈示することを目的としています。
今回のワークショップでは,豪州当局担当者に対し,(1)米豪反トラスト執行援助協定が締結された背景,(2)同協定の締結に伴って必要となる豪州国内法の整備経緯,(3)同協定に基づく情報提供依頼等の実施状況,(4)同協定の課題等についてインタビューを行った結果を中心に報告がなされました。
報告に対し,出席者から,(1)報告にもあるとおり,豪州では第2世代協定が締結された後も長い間,国内法の整備が未了であったため秘密情報の交換が行われてこなかったことを考えると,当局間で秘密情報の交換を行うために必要となる現実的な要請として,協定の締結以外の要素についても包括的に検討する必要があるのではないか,(2)刑事手続では刑事共助条約(MLAT)等の法制が整備され国際共助が円滑に行われているようであるが,多くの国・地域において競争当局は行政手続に基づいて競争法を運用しているため,行政手続を前提に国際的協力を緊密にすることができるよう,第2世代協定の締結の必要性が認識されてきたのではないか,(3)秘密情報の交換を行うに当たり,事業者がどのような認識の下で競争当局に対して情報提供を行ったのかが重要であり,本研究においても対象となるような事業者にインタビュー等を行うことを検討してもよいのではないかなどのコメントが出されました。また,参加者から,第2世代協定はどのようなメリットが期待されて締結されているのかとの質問があり,報告者から,自国に事業所を持たない事業者が参加している国際カルテルが主要なターゲットの1つとして想定されており,他方,企業結合については,事業者側も迅速に企業結合を審査してほしいというインセンティブを持つため当局が情報を得ることが比較的容易であることから,秘密情報交換の要請は必ずしも高くないと説明されました。