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第67回ワークショップの概要

第67回ワークショップの概要

 第67回ワークショップが12月12日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1)「並行的排除行為規制の妥当性とその手法に関する研究」の共同研究中間報告

 (CPRC客員研究員・東北大学大学院法学研究科准教授 滝澤 紗矢子 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 荒井 弘毅 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 松八重 泰輔 氏)

 平成20年度の共同研究の一つである本研究は,複数の事業者が並行的に排除行為を行うことにより,関連する市場で競争機会が十分確保されていないと評価できる場合に,いかなる法規制を行うべきかを検討することを目的とするものです。
 今回のワークショップでは,報告者から,研究の進捗状況等について説明が行われました。
 報告を受け,参加者から,本研究テーマにおいて投資のインセンティブに関する問題が重要な論点であり,それを考えるに当たっては,成熟産業と未成熟な産業では状況が違ってくることに注意する必要があるのではないかとのコメントがなされました。また,単独の排除行為であれば,違反行為の主体がおのずと特定できるが,並行的排除行為では,排除したのは自社ではなく他方の会社であるといった言い逃れができるのではないかとの意見が出されました。それに対し,報告者からエンフォースメントについては今後考察を深めていかねばならないとの回答がなされました。

(2)「戦後経済法学の軌跡と展開-課徴金制度の立案過程に係る歴史的証言-」の共同研究中間報告

 (CPRC主任研究官・名古屋大学大学院法学研究科准教授 林 秀弥 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 栗谷 康正 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 中條 玲子 氏)

 平成20年度の共同研究の一つである本研究は,経済法学者へのインタビューを通じて,独禁法の昭和52年改正の意義について,歴史的営為として特に課徴金制度の立案過程を記録することを目的とするものです。
 今回のワークショップでは,52年改正当時,独占禁止法研究会会員として当時の状況を知る二人の経済法学者へのインタビューの概要について報告が行われました。
 報告を受け,参加者から,課徴金の性格を不当利得の返還であり制裁金ではないとする意見はどのようにまとまっていったのかという質問がなされ,それに対し,報告者から,当時の公取委委員長は,事案によって2~3倍の裁量を持たせるといった強硬論者であったが,当時の通産大臣が慎重論者であったこと,法務省及び内閣法制局からは「既にある刑罰と課徴金との関係はどうなるのか」という否定的な意見が出されたこと,他の省庁からは課徴金の不当利得剥奪という性格について賛成されたこと等から,最終的に不当利得返還の目的で徴収するという法案にまとまったとの経緯が紹介されました。
 また,参加者から,当時は狂乱物価と言われる物価をとにかく下げることに主眼が置かれ,課徴金導入というのは画期的であったとのコメントや,当時の公取委委員長についてはその国会での議論等が新聞でよく取り上げられたこともあり,公取委に対する世間の認知度を大きく高めた等のコメントが出されました。

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