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第71回ワークショップの概要

第71回ワークショップの概要

 第71回ワークショップが4月17日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1)「旅客鉄道の生産性と幹線旅客輸送におけるモード間競争」の共同研究最終報告

 (CPRC客員研究員・神戸大学大学院経済学研究科教授 柳川 隆 氏)
 (名古屋商科大学経済学部経済学科教授 吉野 一郎 氏)
 (札幌学院大学経済学部准教授 播磨谷 浩三 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 岡村 薫 氏)

 今回のワークショップでは,平成20年度の共同研究の一つである本研究の最終報告書案について各報告者から説明が行われました。報告書案は(1)オープンアクセス等多様な鉄道改革が運賃にどのような影響を与えるかに関する理論研究,(2)日本の鉄道改革の検証としてのJR各社の費用構造及び並行在来線鉄道の効率性に関する実証研究,(3)九州の幹線旅客輸送の一つである鹿児島-福岡間における交通モード間競争に関する実証研究の三つの柱からなり、EUの鉄道改革のパッケージは理論的に運賃を引き下げる誘因になること,JR各社に新幹線に関する規模の経済性や範囲の経済性は積極的に見出せないこと,並行在来線は地方中小鉄道と比して効率性が劣ること,弾力性で見た鹿児島-福岡間のモード間競争にとって,空港へのアクセスが重要であること,九州新幹線鹿児島ルートの一部開業以降に変化し,鉄道の優位性が高まったことなどの説明がなされました。
 報告を受け,参加者から,上記(2)のJRの効率性を計測するに当たっては,競合路線と非競合路線を分けて検討すべきではないか等とのコメントがなされ,報告者から,旅客数が得られない等のデータの制約はあるものの,今後の検討課題としたいとの説明がなされました。また,(1)の各種理論モデルから得られる均衡価格の違いはダブルマージナリゼーションの有無によるものである点にも言及しておくべきではないかとの指摘がなされ,報告者から,当該指摘を踏まえることとしたいとの説明がなされました。さらに,一般的に上下分離は市場をコンテスタブルな状況に近づけることを目的としているところ,(1)の理論モデルを構築するに当たっては,参入の可能性等についても考慮してはどうかとのコメントがなされ,報告者から,今後の検討課題にしたいとの説明がなされました。

(2)「非ハードコアカルテル規制に対する考え方の調査研究」の共同研究最終報告

 (京都大学大学院法学研究科教授 川濱 昇 氏)
 (北九州市立大学経済学部准教授 後藤 宇生 氏)
 (立教大学現代GPプログラムコーディネーター 中川 晶比兒 氏)
 (CPRC研究員・経済調査室長 荒井 弘毅 氏)

 平成19・20年度の共同研究である本研究は,非ハードコアカルテルがどのような形で競争を害するのかについて,経済学者も交えて主として市場支配力分析の観点から研究を進め,独占禁止法第3条後段の規制基準を検討し,さらに同法第8条第1項第4号の規制がどのような機能を持つのかについて検討を行うことを目的としたものです。
 今回のワークショップでは,報告者から,特に経済学パートに焦点を当てて最終報告が行われました。
 報告を受け,参加者から,新規参入者がカルテルに参加する理由を明らかにするため,カルテルへの参加者と非参加者を区別して分析してはどうかとのコメントがなされ,報告者から,今後の検討課題にしたいとの説明がなされました。このほか,参加者から,本研究の分析対象となったカルテルに参加しなかった場合のペナルティの有無,モデルの説明変数としてダミー変数を加えることの妥当性,「需要が増えると競争が減少してカルテルを維持しやすくなる」との解釈の妥当性等について質問・コメントがなされました。

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