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第90回ワークショップの概要

第90回ワークショップの概要

 第90回ワークショップが4月23日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

 「再販売価格維持行為の法と経済学」の共同研究最終報告

 (CPRC客員研究員・京都大学大学院法学研究科教授 川浜昇氏)
 (CPRC客員研究員・神戸大学大学院経済学研究科教授 柳川隆氏)
 (東北大学公共政策大学院教授 諏訪園貞明氏)
 (CPRC主任研究官・名古屋大学大学院法学研究科准教授 林秀弥氏(都合のため欠席))
 (CPRC研究員・管理企画課 瀬戸英三郎氏)

 平成21年度の共同研究の一つである本研究は,先行研究の整理や調査などにより,2007年の米国連邦最高裁のLeegin事件判決をきっかけとして,当然違法を放棄した場合に次に行くべき道筋は何か等の問題意識から再販売価格維持行為(RPM)の法と経済学について考察することを目的とするものです。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,最初に,Leegin事件の意義,Leegin事件がもたらす問題及びLeegin事件判決の法と経済学(RPMの競争促進効果や反競争効果)等について説明がされました。次に,公取委による摘発をきっかけとしてRPMを止めた様々な事業者に対し,RPM対象商品についての市場構造,RPMの具体的内容及び摘発後の状況の変化についてヒアリングした結果の報告がされました。最後に,欧州における再販規制をめぐる状況やLeegin事件に対する反響等について,OECD,欧州委員会,公正取引庁(英国)にヒアリングした結果についての報告がされました。
 報告を受け,参加者から,メーカー主導であろうが,ディーラー主導であろうが,RPMと同様の効果を持つ行為は他にもありうる,例えば,テリトリー制との整合性はどう考えるのかとの指摘があり,報告者から,反競争効果に対しても非対称性があるか否か考える必要があること,ブランド内の競争制限をするために価格制限(RPM)と地域制限(テリトリー制)のどちらの手段を選ぶかは事業者次第であること,日本においては地域制限と価格制限を併用したものには違法とされたものが多いが,地域制限のみで違法とされたものはあまりない等の問題があり,それらの問題点について今後も調べていきたいとの返答がなされました。他にも,ディーラー側が主導の場合に,悪性が強いというのは理解できるが,ロスリーダーの場合やディーラーの中にも強い者と弱い者がいるが,これらの場合の悪性はどのように考えたら良いのかという質問に関して,ロスリーダーの場合は,価格維持効果等の点でメーカーが困る場合がある点等を考慮した上で悪性を考える必要がある等の指摘がなされました。最後に,ディーラー主導の場合で,かつメーカーもRPMが効率的だと思ってRPMをした場合はどのように考えたら良いのかという質問に関して,報告者から,そういう場合は,実際にクレームが出てきた場合に,それが安売りに対するクレームなのか,それともRPMをしなかったことに対するクレームなのかわからないことがある点に注意する必要がある等の説明がなされました。

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