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第91回ワークショップの概要

第91回ワークショップの概要

 第91回ワークショップが5月7日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

 「戦後経済法学の軌跡と展開―課徴金制度の立案過程に係る歴史的証言―」の共同研究最終報告

 (CPRC主任研究官・名古屋大学大学院法学研究科准教授 林秀弥氏)
 (CPRC研究員・経済調査室室長補佐(総括) 山田卓氏)
 (CPRC研究員・経済調査室係長(総括) 服部純氏)

 平成20年度の共同研究の一つである本研究は,昭和52年独占禁止法改正について,当時の関係者へのヒアリングにより,当時の状況を記録することを目的とするものです。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,改正当時に独占禁止法研究会の会員であった正田彬氏(元慶応大学産業研究所教授),及び改正当時に公正取引委員会事務局官房審議官であった渡邊豊樹氏(元公正取引委員会委員)に対するヒアリング結果の概要について説明されました。
 正田氏のヒアリングから,独占禁止法研究会における検討状況や課徴金制度の導入にあたって,国民生活安定緊急措置法で既に規定されている課徴金制度を参考にしてはどうかと正田氏が提案したことが導入の大きな契機となったことなどが紹介されました。
 また,渡邊氏のヒアリングからは,公正取引委員会事務局を中心とした観点から法改正に対する取組状況などが紹介されました。また,法改正に携わったメンバーの特徴として,法案の各省調整は公正取引委員会ではなく内閣審議室が行っていたという当時の背景等につついても紹介がされました。
 これらの報告を受け,参加者の質問として,国民生活安定緊急措置法がいつ頃どういう形で作られたのかという質問があり,報告者から田中角栄内閣の際に狂乱物価を背景に作られた法律であるとの説明がなされました。
 また,参加者の質問として,EUの課徴金制度が我が国に知られるようになったのはいつ頃かとの質問があり,報告者から,昭和52年改正時にはドイツの過料は知られていたが,EUの課徴金制度は深く検討されていなかったと思われることに加え,独占禁止法研究会の会員であった実方謙二氏(元法政大学法学部教授)がドイツの過料を我が国も参考にして導入したらいいのではと提案したが,正田氏が課徴金の方が不当利得として国民に理解されやすいことから国民生活安定緊急措置法を参考にした方がよいと議論したことが紹介されました。
 さらに,参加者から,経済学者は当時の法改正にどのように関わったのかとの質問があり,経済学者が直接的に関わったということではないが,独禁法違反に対する抑止力として課徴金制度を導入するという考えに小宮隆太郎氏(元東京大学経済学部教授)が賛同していたことが紹介されました。

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