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第97回ワークショップの概要

第97回ワークショップの概要

 第97回ワークショップが11月12日(金曜)に開催されました。報告等の概要は以下のとおりです。

(1)「企業結合の事後評価」の中間報告

 (CPRC所長・成城大学社会イノベーション学部教授 小田切宏之氏)
 (CPRC主任研究官・大阪大学大学院高等司法研究科准教授 武田邦宣氏)
 (CPRC主任研究官・関西学院大学経済学部教授 土井教之氏)
 (日本学術振興会特別研究員 松岡孝恭氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 荒井弘毅氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 柳田千春氏)

 平成22年度の共同研究の一つである本研究は,企業結合規制に関する法学的検証を行った上で,経済学的な知見を用いて効率性向上の実現がなされているかという観点から,企業結合の事後検証を行うものです。具体的には,企業結合が同業他社に与える影響について複数の企業結合を実証分析し,企業結合がイノベーションに与える影響について検証します。
 今回のワークショップにおいて,まずは法学的検証として,報告者からアメリカにおける事後評価を巡る議論と判例について紹介された後,続いて経済学的検証として,合併と研究開発(R&D),価格分析及び株価イベント分析について,先行研究の紹介,モデル及びデータについて紹介され,現時点における分析結果について報告されました。
 報告を受け,参加者からは,法学的検証に関して,経済学的分析を用いて意思決定するという新しい方法論と経済学的分析が法的証拠としてどう活用できるかについて検証するという従来型の検証を区別して考察したらどうかというコメントがなされました。それを受け報告者からは,法理論の展開として,今後,経済学的分析が意思決定レベルにおいて導入されることになると思うが,一方で経済学的分析が法的証拠と補完関係にあると思われることから,それを整理して考察したいという回答がなされました。
 また,経済学的検証である合併と研究開発の分析について,参加者から,データを出願特許件数で取っているが,企業は有効な特許だけを敢えて出願する等,出願の動機や戦略が多岐に亘ることから,当該データのみで分析するのは早計ではないかというコメントがなされました。それに対して報告者からは,御指摘のとおりであり,データだけで分析するのではなく,インタビュー等を含めて総合的に分析する必要があるという回答がなされました。

(2)「保険事業に対する競争法の適用除外制度に関する比較法的研究」の中間報告

 (CPRC客員研究員・東洋大学法学部准教授 多田英明氏)
 (CPRC研究員・経済調査室 鈴木隆彦氏)

 平成22年度の共同研究の一つである本研究は,保険事業に対する競争法の適用除外制度について,先行研究の整理や調査などを通じ,比較法的観点から研究考察することを目的とするものです。
 今回のワークショップにおいては,報告者から,本研究の目的,これまでの基礎調査の進捗状況,今後の研究の進め方等について報告がありました。
 報告を受け,参加者から,米国における保険事業に対する反トラスト法の適用除外を定めるマッカラン・ファーガソン法とステート・アクション・ドクトリンとの関係について質問がありました。また,EU加盟国の中で国営の保険事業が行われている国の有無,有る場合には,当該保険事業の競争法上の取扱いについて調査してほしいことや,日本,米国及びEUでは保険事業の定義が異なっていると思われるので,それぞれが保険事業を適用除外としている根拠について整理してほしい等のコメントが寄せられました。

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