公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)は,平成24年11月9日,以下のとおり,第31回公開セミナーを開催いたしました。
日時 | 平成24年11月9日(金曜)16時30分-18時 |
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会場 | 東京都千代田区霞が関1-1-1 中央合同庁舎第6号館B棟 公正取引委員会大会議室(11階) |
(1) テーマ:特許制度と競争政策について-FTC知的財産権報告書(2011年公表)を題材として-
【概要】
2011年に発表された2011 FTC Report:The Evolving IP Marketplace:Aligning Patent Notice and Remedies with Competition は,特許発明に関する取引について,事前取引(特許発明の技術内容が実施者に伝わる前に行われる取引)と,事後取引(特許発明の技術的内容を実施者が独自に入手した後で行われる取引)の区別を打ち出し,前者は推奨されるべき取引であるが,後者は特許権という排他権を保護するために必要悪というところはあるが,元来,競争政策上望ましくない取引であると位置付ける。その上で,IT産業を中心に,事後取引が急増しており,その背景に事前取引を困難とする原因として,特許制度が有するべきPatent Notice Function(特許権の存在と技術的範囲を告知する機能)が低下していることを指摘する。そして,Notice Functionを高めるとともに,それでも生じる事後取引の弊害を抑止するために,事後取引に失敗した場合の特許権侵害に対する救済手段である差止請求と損害賠償請求の調整策を提唱する。本セミナーでは,これら2011 FTC Reportの概要を紹介するとともに,他のPatent Reform論と比較する。その上で,さらに日本法の制度的な理解として,事前審査と事後審査というもう一つの事前事後概念を導入するとともに,特許庁の審査を経て発生した特許権をプロセスの通過点としての権利という発想を組み合わせることを試みることにより,特許制度と競争政策の関係について検討することとする。
(2) 講師:田村 善之 北海道大学大学院法学研究科教授
(3) 司会:岡田 羊祐 CPRC所長・一橋大学大学院経済学研究科教授
時間 | 内容 | 講演者等 |
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16時30分-16時35分 | 開会 | 岡田所長 |
16時35分-17時35分 | 講演 「特許制度と競争政策について-FTC知的財産権報告書(2011年公表)を題材として-」 |
田村教授 |
17時35分-17時55分 | 質疑応答 | |
17時55分-18時 | 閉会 | 岡田所長 |