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(平成28年6月2日)平成27年度における消費税転嫁対策の取組について

(平成28年6月2日)平成27年度における消費税転嫁対策の取組について

平成28年6月2日
公正取引委員会

はじめに

 公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げを踏まえ,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところ,平成27年度の消費税転嫁対策に関する取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 転嫁拒否行為に関する情報収集

(1) 転嫁拒否行為等についての相談対応
 公正取引委員会は,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を,本局及び全国の地方事務所等に設置しており,平成27年度において,548件の相談に対応した(第1表参照)。

第1表:転嫁拒否行為等に関する相談件数(転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談を含む。)
年度
件数
平成27年度
 548
平成26年度
1,420
平成25年度
3,179
合計
5,147

(2) 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査
 公正取引委員会は,様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,平成27年度において,4,344名の事業者及び682の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(第2表参照)。

第2表:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数
年度
件数
事業者
事業者団体
平成27年度
4,344
 682
平成26年度
8,744
1,263
平成25年度
1,326
401
合計
14,414
2,346

(3) 移動相談会
 公正取引委員会は,事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,全国各地で移動相談会を実施することとしており,平成27年度において,移動相談会を52回実施した(第3表参照)。

第3表:移動相談会の実施回数
年度
回数
平成27年度
52
平成26年度
47
平成25年度
75
合計
174

(4) 書面調査
ア 中小企業・小規模事業者等に対する書面調査
 公正取引委員会は,転嫁拒否行為を受けた事業者にとって自らその事実を申し出にくい場合もあると考えられることから,転嫁拒否行為を受けた事業者からの情報提供を受身的に待つだけではなく,書面調査を実施し,転嫁拒否行為に関する情報収集を積極的に行うこととしている。
 公正取引委員会は,平成27年度においても転嫁拒否行為を監視するため,平成26年度に引き続き中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等(約290万名)に対する悉皆的な書面調査を実施した。また,中小企業庁と合同で,個人事業者(約350万名)に対する書面調査を実施した。

イ 大規模小売事業者及び大企業等に対する書面調査
 公正取引委員会は,平成27年度においても,平成26年度に引き続き中小企業庁と合同で,大規模小売事業者及び大企業等(資本金5千万円以上の買手側。約8万名)に対して報告義務を課して回答を求める書面調査を実施した。

ウ 下請法の書面調査等の活用
 公正取引委員会は,下請法の書面調査等を通じて,転嫁拒否行為に関する情報も併せて収集し,転嫁拒否行為に関する情報が得られた場合には,速やかに調査を行うとともに,消費税転嫁対策特別措置法に基づく調査において,下請法に違反する事実が判明した場合には,下請法に基づき迅速かつ厳正に対処するなど,下請法と一体的に効率的な運用を行っている。

2 転嫁拒否行為に対する処理状況

(1) 措置件数
 公正取引委員会は,様々な情報収集活動によって把握した情報を踏まえ,立入検査等の調査を積極的に実施しており,違反行為が認められた事業者に対しては転嫁拒否行為に係る不利益の回復などの必要な改善措置を迅速に行っている。
 平成27年度は,勧告13件,指導349件の措置を講じている(第4表・第1図参照)。勧告については,勧告を行うとともに,特定事業者名,違反行為の概要等を公表している(勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2参照)。
 なお,措置件数(勧告又は指導を行った事件の件数をいう。以下同じ。)362件の地区ごとの内訳は,第5表のとおりである。

第4表:措置件数
  

平成27年度

平成26年度

平成25年度

合計(注)
措  置

勧  告

 13件
《3件》
19件
《4件》
0件
《0件》
32件
《7件》

指  導

349件
《24件》
316件
《45件》
724件
《35件》
1,389件
《104件》

合  計

362件
《27件》
335件
《49件》
724件
《35件》
1,421件
《111件》
違反事実なし
472件
366件
94件
932件

(注) 合計値は,平成25年10月から平成28年3月までの合計。以下第6表及び第7表の合計値において同じ。《》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導の件数で内数。

第5表:措置件数(362件)の地区ごとの内訳 [単位:件]
地 区

平成27年度

平成26年度

平成25年度

北海道地区(北海道)

19
7
27

東北地区(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県)

17
18
40

関東甲信越地区(茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,
東京都,神奈川県,新潟県,長野県,山梨県)

120
115
339

中部地区(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県,三重県)

52
53
95

近畿地区(福井県,滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県)

36
23
129

中国地区(鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県)

43
26
35

四国地区(徳島県,香川県,愛媛県,高知県)

9
47
18

九州地区(福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県)

58
41
37

沖縄地区(沖縄県)

8
5
4
合計
362
335
724

(注1) 措置を採った特定事業者の本社所在地により区分している。
(注2) 地区ごとの消費税転嫁対策特別措置法の運用状況等について別途公表することとしている。

(2) 措置件数の業種別内訳
 平成27年度に措置を採った特定事業者について,業種別で分類すると,製造業が67件(18.5%)と最も多く,以下,建設業57件(15.7%),情報通信業44件(12.2%)と続いている(第6表及び第2図参照)。

第6表:措置件数の内訳(業種別)  [単位:件,(%)]
業種(注)
合計(割合)
建設業
平成27年度
57(15.7)
平成26年度
61(18.2)
平成25年度
12( 1.7)
合計
130( 9.1)
製造業
平成27年度
67(18.5)
平成26年度
46(13.7)
平成25年度
291(40.2)
合計
404(28.4)
情報通信業
平成27年度
44(12.2)
平成26年度
24( 7.2)
平成25年度
49( 6.8)
合計
117( 8.2)
運輸業
平成27年度
15( 4.1)
平成26年度
11( 3.3)
平成25年度
78(10.8)
合計
104( 7.3)
卸売業
平成27年度
20( 5.5)
平成26年度
11( 3.3)
平成25年度
78(10.8)
合計
109( 7.7)
小売業
平成27年度
38(10.5)
平成26年度
60(17.9)
平成25年度
78(10.8)
合計
176(12.4)
不動産業
平成27年度
24( 6.6)
平成26年度
14( 4.2)
平成25年度
12( 1.7)
合計
50( 3.5)
技術サービス業
平成27年度
20( 5.5)
平成26年度
10( 3.0)
平成25年度
54( 7.5)
合計
84( 5.9)
事業サービス業
平成27年度
7( 1.9)
平成26年度
1( 0.3)
平成25年度
18( 2.5)
合計
26( 1.8)
その他
平成27年度
70(19.3)
平成26年度
97(29.0)
平成25年度
54( 7.5)
合計
221(15.6)
全業種
平成27年度
362 ( 100)
平成26年度
335 ( 100)
平成25年度
724 ( 100)
合計
1,421 ( 100)

(注1) 複数の業種にわたる場合は,当該事業者の主な業種を1件として計上している。「その他」は医療福祉,学校教育・教育支援業,旅行業,自動車整備業・機械等修理業等である。
(注2) ()内の数値は小数点第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。

(3) 措置件数の行為類型別内訳
 平成27年度の措置件数について行為類型別で分類すると,減額(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号前段)が18件,買いたたき(同法第3条第1号後段)が344件,役務利用又は利益提供の要請(同法第3条第2号)が3件,本体価格での交渉の拒否(同法第3条第3号)が6件となっている(第7表及び第3図参照)。

第7表:措置件数の内訳(行為類型別) [単位:件,(%)]
行為類型
年度
合計(割合)
減額
平成27年度
18( 4.9)
平成26年度
35( 9.7)
平成25年度
1( 0.1)
合計
54( 3.7)
買いたたき
平成27年度
344(92.7)
平成26年度
287(79.9)
平成25年度
480(65.8)
合計
1,111(76.1)

役務利用又は利益提供の要請

平成27年度
3( 0.8)
平成26年度
22( 6.1)
平成25年度
24( 3.3)
合計
49( 3.4)

本体価格での交渉の拒否

平成27年度
6( 1.6)
平成26年度
15( 4.2)
平成25年度
224(30.7)
合計
245(16.8)
合計
平成27年度
371(100)
平成26年度
359(100)
平成25年度
729(100)
合計(注)
1,459(100)

(注1) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,第4表ないし第6表に記載の件数とは一致しない。
(注2) ( )内の数値は小数点第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。

(4) 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
 平成27年度において,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益については,特定事業者333名から,特定供給事業者25,059名に対し,総額6億7444万円の原状回復が行われた(第8表参照)。行為類型別でみると,買いたたきに係る原状回復が最も多い(第9表参照)。原状回復額に関し転嫁拒否行為を行った特定事業者について業種別にみると,[1]不動産業が最も多く(1億9616万円,29.1%),[2]卸売業(7561万円,11.2%),[3]小売業(7037万円,10.4%)がこれに続いている(第4図参照)。

第8表:特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
年度

原状回復を行った特定事業者数

原状回復を受けた特定供給事業者数

原状回復額

平成27年度

333名
25,059名
6億7444万円

平成26年度

228名
33,094名
4億1153万円
合 計
561名
58,153名
10億8598万円

(注) 各期間の原状回復額は1万円未満を切り捨てているため,合計額とは一致しない。

第9表:行為類型別の原状回復の状況
行為類型
年度

原状回復を行った特定事業者数

原状回復を受けた特定供給事業者数

原状回復額
減額
27年度
15名
1,842名
2017万円
26年度
17名
5,418名
1304万円
買いたたき
27年度
321名
23,202名
6億5418万円
26年度
177名
22,948名
2億0041万円

役務利用又は利益提供の要請

27年度
1名
15名
8万円
26年度
43名
4,806名
1億9806万円
合計
27年度
337名
25,059名
6億7443万円
26年度
237名
33,172名
4億1151万円
合計
574名
58,231名
10億8594万円

(注1)  特定事業者数及び特定供給事業者数は延べ数であり,第8表に記載の合計事業者数とは一致しない。
(注2)  違反行為類型ごとの原状回復額は1万円未満を切り捨てているため,各原状回復額の合計は第8表に記載の合計額とは一致しない。

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

 公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として,消費税転嫁対策特別措置法の周知等の転嫁拒否行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。消費税転嫁対策の広報として,当委員会のウェブサイトに「消費税転嫁対策コーナー」を設けて各種の資料を掲載しているほか,リーフレット,パンフレット及びポスターの配布を行っている。また,消費税転嫁対策特別措置法の運用を踏まえて,「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」を作成し,当委員会のウェブサイトに掲載している(注)。このほか,下記のとおり,消費税転嫁対策特別措置法に係る説明会等の開催や,講師の派遣を実施している。
(注) 以下のURLに掲載している。
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-FAQ.html

1 消費税転嫁対策特別措置法に係る説明会

 公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,当委員会主催の説明会を実施しており,平成27年度において,51回の説明会を実施した(第10表参照)。

第10表:公正取引委員会主催説明会の実施回数
年度
回数
平成27年度
51
平成26年度
30
平成25年度
40
合計
121

2 講師派遣

 公正取引委員会は,商工会議所,商工会及び事業者団体が開催する説明会等に,当委員会事務総局の職員を講師として派遣しており,平成27年度において,職員を27回派遣した(第11表参照)。

第11表:講師の派遣回数
年度
回数
平成27年度
 27   
平成26年度
59
平成25年度
384
合計
470

3 転嫁拒否行為の未然防止に係る集中的な広報

 公正取引委員会は,転嫁拒否行為が禁止されていること,転嫁拒否行為に対して当委員会が厳しく監視していること及び転嫁拒否行為に関する積極的な情報提供を求めていることを広く周知するため,平成28年2月に,新聞広告及びインターネット広告により,事業者向け広報を集中的に実施した(詳細については,別紙3参照)。

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 消費税転嫁対策特別措置法では,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため,事業者又は事業者団体が行う,消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)について,公正取引委員会に事前に届け出ることにより独占禁止法に違反することなく行うことができるものとしている。
 公正取引委員会は,平成27年度において,転嫁カルテルについて11件の届出を受け付けた。また,平成28年3月末現在で,転嫁カルテルについては176件,表示カルテルについては139件となっている(別紙4参照)。
なお,転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況は,届出を受け付けた月ごとに取りまとめて,翌月,公正取引委員会のウェブサイトに掲載している。
(注) 以下のURLに掲載している。
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-hyoujitodokede.html

別紙1 平成27年度における勧告事件(13件)

[1] アサヒグローバル株式会社に対する件(平成27年4月2日)

特定事業者

アサヒグローバル株式会社

事業内容

注文住宅,建売住宅等の設計,施工業及び販売業

取引の内容

住宅の建築工事に伴う大工工事等の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
住宅の建築工事に伴う大工工事等の請負契約を締結している個人事業者又は法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに請負代金を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者104名に対し,総額1425万1670円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/apr/150402.html

[2] アサヒグローバル三重株式会社に対する件(平成27年4月2日)

特定事業者

アサヒグローバル三重株式会社

事業内容

注文住宅の設計,施工業及び販売業

取引の内容

住宅の建築工事に伴う大工工事等の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
住宅の建築工事に伴う大工工事等の請負契約を締結している個人事業者又は法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに請負代金を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者55名に対し,総額159万4541円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/apr/150402.html

[3] SMBCコンシューマーファイナンス株式会社に対する件(平成27年5月22日)

特定事業者

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社

事業内容

貸金業

取引の内容

店舗等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
店舗等の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払った。
※中小企業庁長官からの措置請求案件

原状回復額

特定供給事業者404名に対し,総額1673万8405円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/may/150522_1.html

[4] 株式会社建築資料研究社に対する件(平成27年6月4日)

特定事業者

株式会社建築資料研究社

事業内容

教育・学習支援業

取引の内容

[1] 資格取得対策スクールの運営等の業務委託
[2] 事務所等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア 資格取得対策スクールの運営等の業務を委託している一部の事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに業務委託料を据え置いて支払った。
イ 事務所等の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者1696名に対し,総額3663万4593円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jun/150604_2.html

[5] 株式会社コインパークに対する件(平成27年6月5日)

特定事業者

株式会社コインパーク

事業内容

駐車場業

取引の内容

駐車場施設の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
駐車場施設の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者442名に対し,総額2881万1339円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jun/150605.html

[6] DCMダイキ株式会社に対する件(平成27年6月9日)

特定事業者

DCMダイキ株式会社

事業内容

日用品の小売業

取引の内容

野菜等の商品の仕入れ

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
野菜等の商品の仕入先である農家等の一部に対し,仕入代金について,税抜価格の販売価格から販売手数料相当額を控除した額に8%を乗じた額を上乗せせずに支払った。

原状回復額

特定供給事業者528名に対し,総額1099万5370円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jun/150609.html

[7] 株式会社ホームセンターサンコーに対する件(平成27年6月9日)

特定事業者

株式会社ホームセンターサンコー

事業内容

日用品の小売業

取引の内容

野菜等の商品の仕入れ

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
野菜等の商品の仕入先である農家等の一部に対し,仕入代金について,税抜価格の販売価格から販売手数料相当額を控除した額に8%を乗じた額を上乗せせずに支払った。

原状回復額

特定供給事業者82名に対し,総額197万714円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jun/150609.html

[8] 株式会社西松屋チェーンに対する件(平成27年6月12日)

特定事業者

株式会社西松屋チェーン

事業内容

婦人・子供服小売業

取引の内容

店舗等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
店舗等の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いて支払った。
※中小企業庁長官からの措置請求案件

原状回復額

特定供給事業者69名に対し,総額932万5633円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jun/150612_1.html

[9] 株式会社主婦と生活社に対する件(平成27年7月9日)

特定事業者

株式会社主婦と生活社

事業内容

出版業

取引の内容

雑誌等に掲載する原稿,写真等の作成又は編集,校正等の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
雑誌等に掲載する原稿,写真等の作成又は編集,校正等の業務を委託している個人事業者又は法人事業者の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者141名に対し,総額1306万8499円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jul/150709_1.html

[10] 株式会社穴吹ハウジングサービスに対する件(平成27年10月2日)

特定事業者

株式会社穴吹ハウジングサービス

事業内容

分譲マンション等管理業,駐車場事業等

取引の内容

駐車場施設の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
駐車場施設の賃貸人の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置く旨の要請を行った。

原状回復額

特定供給事業者166名に対し,総額1015万7883円

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/oct/151002_1.html

[11] アイディホーム株式会社に対する件(平成27年12月22日)

特定事業者

アイディホーム株式会社

事業内容

建物売買業

取引の内容

戸建住宅の建築工事に伴う大工工事等の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
戸建住宅の建築工事に伴う大工工事等の請負契約を締結している個人事業者又は法人事業者の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに請負代金を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者427名に対し,総額7356万2360円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/dec/151222_1.html

[12] 株式会社アーネストワンに対する件(平成27年12月22日)

特定事業者

株式会社アーネストワン

事業内容

建物売買業

取引の内容

戸建住宅の建築工事に伴う大工工事等の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
戸建住宅の建築工事に伴う大工工事等の請負契約を締結している個人事業者又は法人事業者の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに請負代金を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者59名に対し,総額1559万5211円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/dec/151222_2.html

[13] 株式会社東光高岳に対する件(平成28年1月20日)

特定事業者

株式会社東光高岳

事業内容

発電用・送電用・配電用電気機械器具製造業

取引の内容

電力量計の取替工事の業務委託

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
電力量計の取替工事を委託している個人事業者又は法人事業者の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者101名に対し,総額1942万555円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/jan/160120_2.html

別紙2 主な指導事例(平成27年度)

1 減額(第3条第1号前段)

[1] 建設業を行うA社は,建築資材等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けた建築資材等の代金について,消費税込みの請求額から,10,000円未満又は1,000円未満の端数を切り捨てて支払っていた。

[2] 設備工事業を行うB社は,防災用誘導灯の取扱説明書の作成を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めていた平成26年4月1日以後に支払う消費税込みの委託料について,消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[3] 再生資源卸売業を行うC社は,従業員の健康相談業務等を委託している産業医(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めていた平成26年4月1日以後に支払う消費税込みの委託料について,消費税率引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[4] 技術サービス業を行うD社は,電気設備の設計業務等を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めていた平成26年4月1日以後に支払う消費税込みの委託料について,消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[5] 自動車整備業を行うE社は,自動車の修理を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に納品される製品について,本体価格(税抜)に消費税分(8%)を上乗せした価格を修理代金として支払うことをあらかじめ取り決めていたところ,代金を支払う際に消費税率の引上げ分(当該修理代金に3%を乗じた金額)を減じて支払っていた。

2 買いたたき(第3条第1号後段)

[1] 建設業を行うF社は,住宅の建築工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に引渡しを受けた工事の代金(消費税率8パーセントが適用されるもの)に消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,委託代金を据え置いていた。

[2] 放送業を行うG社は,テレビ番組の出演者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの出演料を据え置いていた。

[3] 放送業を行うH社は,自社が使用する駐車場の賃貸人のうち,消費税を含む額で賃料を契約している賃貸人(特定供給事業者)に対し,消費税率の引上げ前の契約書に記載された賃料の額が「税込価格」と表記されていることを理由として,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ前の税込価格と同額を支払えばよいと誤解し,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃料を据え置いていた。

[4] ソフトウェア業を行うI社は,システム開発,運用等に関する業務及び携帯電話サービスの管理等の業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの業務委託料を据え置いていた。

[5] 運輸業を行うJ社は,ロープウエイ等の乗車券販売業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの販売委託手数料を据え置いていた。

[6] 海上運送業を行うK社は,新入社員研修業務の一部を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの業務委託料を据え置いていた。

[7] 小売業を行うL社は,商品の修理を委託している事業者(特定供給事業者)との間で修理単価(税抜価格)を取り決めていたところ,平成26年4月上旬に引渡しを受ける商品について修理単価(税抜価格)を引き下げることにより,消費税率の引上げ前の委託代金(税込価格)に消費税率の引上げ分を上乗せしなかった。

[8] 大規模小売事業者であるM社は,自社で販売する食料品等の納入業者等(特定供給事業者)に対して,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの商品代金等を据え置いていた。

[9] 飲食サービス業を行うN社は,害虫駆除業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[10] 生命保険業を行うO社は,生命保険契約者に対する定期訪問等の業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの業務委託料を据え置いていた。

[11] リゾート施設運営事業を行うP社は,施設内で販売する菓子類等の土産品やホテル等で使用する食材等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の仕入代金(税抜価格)を引き下げることにより,消費税率の引上げ分を上乗せしなかった。

[12] 教育・学習支援業を行うQ社は,模擬試験の問題作成,校閲等に係る業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの業務委託料を据え置いていた。

[13] 介護事業を行うR社は,介護予防サービス計画の作成業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの業務委託料を据え置いていた。

3 利益提供の要請(第3条第2号)

[1]  大規模小売事業者であるS社は,自社で販売する農産物等の商品の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に納入された農産物等の商品の管理に要する費用について,当該費用を算定する際に用いる算定率を引き上げることにより,当該算定率引上げ相当額を提供させていた。

[2] スポーツ関連商品販売業を行うT社は,自社で販売するスポーツ関連商品の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率引上げに伴い,自社の費用負担を明確にすることなく,消費税率の引上げに対応した値札を新たに作成するよう要請した。

4 本体価格(税抜価格)での交渉拒否(第3条第3号)

[1] 建設業を行うU社は,建設工事を委託している事業者及び資材の納入業者(特定供給事業者)との価格交渉において,平成26年4月1日以後の工事代金について,平成26年4月1日以後も税込価格での交渉を余儀なくさせていた。

[2] 電気通信機器製造業を行うV社は,通信機器の設計業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,消費税込価格で委託料を定めていたところ,契約更新の際,事業者からの本体価格(税抜価格)による価格交渉の申出を拒否した。

[3] 飲食サービス業を行うW社は,平成26年4月1日以後の学校給食用食材の納入業者(特定供給事業者)との価格交渉において,税込価格での交渉を余儀なくさせていた。

[4] 宿泊業を行うX社は,婚礼司会業務等を委託する事業者(特定供給事業者)との価格交渉において,平成26年4月1日以後も税込価格での交渉を余儀なくさせていた。

別紙3 平成27年度の公正取引委員会の集中的な広報について

別紙4 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況(平成28年3月まで)

1 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出件数


平成27年度
平成26年度
平成25年度
(注1)
合計

うち政令指定組合(注2)

うち政令指定組合(注2)

うち政令指定組合(注2)


うち政令指定組合(注2)

転嫁カルテル
11
2
13
4
152
26
176
32
表示カルテル
0
0
3
1
136
24
139
25
11
2
16
5
288
50
315
57

(注1) 平成25年10月1日から平成26年3月31日までの期間の件数である。
(注2) 消費税転嫁対策特別措置法第13条第2項に基づき主務大臣への通知を要する組合からの届出である。

2 業種別届出件数

 
転嫁カルテル
表示カルテル
合計
27
26
25
27
26
25

製造業

5件
7件
80件
92件
0件
3件
76件
79件
171件

卸売業

3件
3件
51件
57件
0件
2件
47件
49件
106件

小売業

2件
6件
38件
46件
0件
3件
42件
45件
91件

サービス業

3件
3件
37件
43件
0件
0件
21件
21件
64件

その他

6件
6件
12件
24件
0件
0件
10件
10件
34件

合計

19件
25件
218件
262件
0件
8件
196件
204件
466件

(注3) 複数の業種にわたる場合の届出があるので,合計の数字は上記「1」に記載の届出件数と一致しない。
(注4) 「その他」の業種は,運輸業,建設業等である。

3 届出に関する相談件数


件数
平成27年度
 5  
平成26年度
  50
平成25年度
1,235
合計
1,290

参考 措置件数の都道府県ごとの内訳

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課
電話 03-3581-3371(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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