(平成12年度:事例14)A社によるB社の株式取得

1 本件の概要

 本件は,X製品の製造販売分野で第1位のA社が,第4位のB社の発行済株式総数の過半数を取得しようとするものである。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

 本件における一定の取引分野については,X製品は,品種ごとに性能,用途,価格帯等が異なることから,X製品の品種ごとに成立するものと判断した。

(2) 競争への影響及び問題となり得る点についての指摘

 当委員会は,当事会社に対し,以下の事情を総合的に判断すると,(1)で画定したX製品の各品種の製造販売分野において競争を実質的に制限することとなるおそれがある旨の指摘を行った。

ア 当事会社の地位及び市場の状況

 本件行為によって,X製品の各品種の製造販売分野において,当事会社の合算シェアが40%を超えるものが複数あり,一部の品種では,当事会社の合算シェアが70%超となる。
 また,これらの品種では,上位3社の累積集中度が70%ないし90%程度と高くなる。

イ 輸入

 X製品は,現在,一部輸入されているものがあるものの,その割合は低く,増加傾向も認められない。
 また,X製品は保守・メンテナンスが重要であり,海外製品の仕様が国内とは異なっているため国内仕様に変更する必要もあることから,今後とも輸入が国内市場に与える影響は小さい。

ウ ユーザーの状況

 ユーザーは都道府県単位で活動しており,中小規模の事業者が多く,価格交渉力が強いとはいえない。

(3) 当事会社の対応

 当事会社に対し,上記の点を指摘したところ,当事会社からは,本件行為を行わない旨の申出があった。

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