令和元年6月20日
公正取引委員会事務総局
近畿中国四国事務所
消費者庁
消費者庁は,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示及び過大な景品類の提供に対して,不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)の規定に基づいて厳正・迅速に対処するとともに,同法の普及・啓発に関する活動を行うなど,表示等の適正化に努めている。
公正取引委員会は,消費者庁長官から景品表示法違反事件に係る調査権限を委任され,必要な調査を行うとともに,相談への対応,講師派遣等を通じた同法の普及・啓発に取り組んでいる。
平成30年度における近畿地区(福井県,滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県及び和歌山県の2府5県)の景品表示法の運用状況等は,次のとおりである。
第1 景品表示法違反事件の処理状況
1 概況
景品表示法違反事件については,公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所(以下「近畿事務所」という。)及び消費者庁が行った調査の結果を踏まえ,消費者庁が,違反行為者に対して措置命令・課徴金納付命令を行うほか,違反のおそれのある行為等がみられた場合には関係事業者に対して指導を行うなどしている。
平成30年度における景品表示法の事件処理件数は,措置命令が2件,課徴金納付命令が1件(255万円),指導が13件の計16件であった(平成30年度の主要な処理事件は,別紙参照)。
事 件 | 措置命令 | 課徴金納付命令 | 指 導 | 合 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | |
表示事件 | 2 | 2 | 0 | 1 | 5 | 10 | 7 | 13 |
景品事件 | 0 | 0 | 1 | 3 | 1 | 3 | ||
合 計 | 2 | 2 | 0 | 1 | 6 | 13 | 8 | 16 |
2 表示事件
平成30年度に処理した表示事件は13件で,事件処理件数全体の大部分(約81%)を占めた。
その内訳は,優良誤認(景品表示法第5条第1号)が5件,有利誤認(景品表示法第5条第2号)が7件,原産国告示(景品表示法第5条第3号)が1件あった。
平成30年度において,近畿事務所及び消費者庁が行った調査結果を踏まえ,[1]食品の痩身効果に係る不当表示及び[2]おせち料理の不当な二重価格表示について,消費者庁において措置命令を,下着の痩身効果の係る不当表示について,消費者庁において255万円の課徴金納付命令を,それぞれ行った。
事 件 | 措置命令 | 課徴金納付命令 | 指 導 | 合 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | |
優良誤認 (第5条第1号) |
1 | 1 | 0 | 1 | 5 | 3 | 6 | 5 |
有利誤認 (第5条第2号) |
1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6 | 1 | 7 |
おとり広告告示等 (第5条第3号) |
0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | ||
合 計 | 2 | 2 | 0 | 1 | 5 | 10 | 7 | 13 |
3 景品事件
平成30年度に処理した景品事件は3件(近畿事務所における事件処理件数全体の約19%)であった。
事 件 | 措置命令 | 指 導 | 合 計 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | 29年度 | 30年度 | |
懸賞景品告示 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 |
総付景品告示 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
合 計 | 0 | 0 | 1 | 3 | 1 | 3 |
4 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置(注)
平成30年度に行った指導は13件であった。
(注)平成26年12月に施行された景品表示法の改正法の規定により,事業者は,景品類の提供及び表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならないこととされた。消費者庁は,[1]事業者が講ずべき措置に関して,その適切かつ有効な実施を図るため必要があると認めるときは,必要な指導及び助言をするとともに,[2]事業者が講ずべき措置を講じていないと認めるときは,必要な措置を講ずべき旨の勧告をし,その勧告に従わないときは,その旨を公表することができる。
第2 景品表示法の普及・啓発活動等
1 景品表示法に関する相談
平成30年度に受け付けた相談件数は364件であった。具体的な相談内容としては,[1]景品類を提供する際の取引価額や提供限度額に関する相談,[2]商店街やショッピングモール等における共同懸賞に関する相談,[3]食品の表示に関する相談,[4]商品の効果・性能の表示に関する相談,[5]二重価格表示に関する相談,[6]商品の原産国表示に関する相談等が挙げられる。
なお,景品類に関する相談については,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用した懸賞企画や電子マネーへのチャージに付随する景品提供企画に関するものなども見られた。
2 景品表示法に関する講師派遣等
平成30年度において,事業者団体等が開催する講習会に,計4回講師を派遣した。
また,福井市(平成30年11月)及び和歌山市(平成31年3月)において,一般消費者等を対象に,景品表示法の内容を説明するセミナーを計2回開催したほか,消費者団体等からの依頼に応じ,福井市,福井県小浜市(2回),大津市,滋賀県草津市,京都市,京都府福知山市,大阪市,大阪府守口市,同府八尾市,同府大東市,同府交野市,神戸市,兵庫県芦屋市,同県伊丹市,同県豊岡市,同県宝塚市,同県養父市,同県加古郡稲美町,奈良県橿原市及び同県生駒郡三郷町において開催されたセミナーに計21回講師を派遣した。
一般消費者等を対象としたセミナーにおいては,景品表示法に係る違反事例を数多く紹介することにより,商品又はサービスの選択に当たって,不当表示に気を付けるよう注意喚起を行った。
(消費者セミナーの様子)
平成30年6月24日(京都市)
平成30年10月27日(福井市)
3 関係行政機関との連携
不適切な食品表示に関する監視強化等の観点から,大阪市において開催された「近畿地域食品表示連絡会議」(平成30年11月),「消費者行政ブロック会議(近畿ブロック)」(平成30年11月)及び「景品表示法ブロック会議(近畿ブロック)」(平成30年6月及び11月)に参加し,食品表示の適正化に向けた取組や消費者行政に対する課題等について情報共有を図るなど,近畿地区の関係行政機関とも協力して景品表示法の適正な執行に努めた。
関連ファイル
(印刷用)(令和元年6月20日)平成30年度における近畿地区の景品表示法の運用状況等(PDF:612KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所取引課
電話 06-6941-2175(直通)
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