令和2年3月5日
公正取引委員会
公正取引委員会は,鳥居薬品株式会社に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は,カルバン錠(注1)の販売業者らが,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注1)「カルバン錠」とは,高血圧症の改善に用いられ,「カルバン」の商標で販売されるベバントロール塩酸塩を有効成分とする錠剤をいう。
1 違反事業者,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者並びに課徴金額
番号 |
違反事業者名 |
本店の所在地 |
代表者 |
排除措置命令 |
課徴金額 |
課徴金減免制度の適用 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 |
鳥居薬品株式会社 |
東京都中央区日本橋本町三丁目4番1号 |
代表取締役 |
○ |
287万円 |
30% |
2 |
日本ケミファ株式会社 |
東京都千代田区岩本町二丁目2番3号 |
代表取締役 |
― |
― |
免除 |
(注2)違反事業者名については,以下「株式会社」の記載を省略する。
(注3)表中の「○」は,排除措置命令の対象事業者であることを示している。
(注4)表中の「―」は,排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない違反事業者であることを示している。
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
⑴ 鳥居薬品及び日本ケミファの2社(以下「2社」という。)は,かねてから,薬価改定に伴い改定するカルバン錠の仕切価(注5)に関して情報交換を行っていたところ,遅くとも平成26年3月5日以降,仕切価の低落を防止し自社の利益を確保するため,2社のカルバン錠の仕切価を合わせる旨の合意の下に,薬価改定が行われることとなった場合には2社の営業部課長級の者らによる会合を開催するなどして,カルバン錠の仕切価を同一の価格又はおおむね同一の価格とすることを決定していた。
(注5)「仕切価」とは,卸売業者向け販売価格をいう。
⑵ 2社は,前記⑴の合意をすることにより,公共の利益に反して,我が国におけるカルバン錠の販売分野における競争を実質的に制限していた。
3 排除措置命令の概要
⑴ 鳥居薬品は,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2⑴の合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後,他の事業者と共同して,カルバン錠の仕切価を決定せず,自主的に決めること。
ウ 今後,他の事業者と,カルバン錠の仕切価に関して情報交換を行わないこと。
⑵ 鳥居薬品は,前記⑴に基づいて採った措置を,日本ケミファに通知するとともに,自社の取引先であるカルバン錠の卸売業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
⑶ 鳥居薬品は,今後,他の事業者と共同して,カルバン錠の仕切価を決定してはならない。
⑷ 鳥居薬品は,今後,他の事業者と,カルバン錠の仕切価に関する情報交換を行ってはならない。
⑸ 鳥居薬品は,次のア及びイの事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
ア 自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定及び自社の従業員に対する周知徹底
イ カルバン錠の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,カルバン錠の販売に関する業務に従事する役員及び従業員に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
4 課徴金納付命令の概要
鳥居薬品は,令和2年10月6日までに,287万円を支払わなければならない。
関連ファイル
(印刷用)(令和2年3月5日)カルバン錠の販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について
(令和2年3月5日)参考3-4(参照条文及び課徴金制度概要)
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