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(令和3年6月25日)令和2年度における中部地区の消費税転嫁対策の取組について

(令和3年6月25日)令和2年度における中部地区の消費税転嫁対策の取組について

令和3年6月25日
公正取引委員会事務総局
中部事務所

はじめに

 公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
 中部事務所においても,転嫁拒否行為に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,「消費税転嫁対策調査室」を設置し,中部事務所管内(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県及び三重県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,令和2年度における管内の取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 勧告・指導件数

 管内においては,令和2年度は,転嫁拒否行為に対して,20件の指導を行っている(表1参照。消費税転嫁対策特別措置法施行後の勧告・指導件数の推移については,参考参照)。主な指導の概要は別紙のとおりである。
 

表1:勧告・指導件数 [単位:件]
年 度 令和2年度 令和元年度 累計(注1)
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
措 置 指 導 280 20 743 73 3,439 393
《15》 《0》 《18》 《1》 《189》 《16》
勧 告 5 0 6 1 59 6
《2》 《0》 《0》 《0》 《13》 《0》
違反事実なし 113 7 130 6 1,649 159

(注1) 平成25年10月から令和3年3月までの累計。また,全国の件数には,中部地区の件数を含む(以下同じ)。
(注2) 《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告・指導件数で内数。

2 勧告・指導件数の業種別内訳

 令和2年度の勧告・指導件数について措置の対象となった特定事業者(注1)の業種別で分類すると,管内においては,製造業が6件(30.0%)と最も多く,以下,建設業が3件(15.0%)とこれに続いている(表2参照)。
(注1) 特定事業者とは,①大規模小売事業者,②特定供給事業者(注2)から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者である。
(注2) 特定供給事業者とは,①大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者,②資本金等の額が3億円以下である事業者,個人事業者等である。
 

表2:勧告・指導件数の内訳(業種別) [単位:件(%)]
業種 令和2年度 令和元年度 累計(注1)
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
建設業 40(14.0) 3(15.0) 86(11.5) 7( 9.5) 414(11.8) 63(15.8)
製造業 49(17.2) 6(30.0) 107(14.3) 14(18.9) 788(22.5) 129(32.3)
情報通信業 27( 9.5) 0( 0.0) 55( 7.3) 1( 1.4) 298( 8.5) 16( 4.0)
運輸業 12( 4.2) 2(10.0) 26( 3.5) 1( 1.4) 182( 5.2) 24( 6.0)
卸売業 13( 4.6) 1( 5.0) 57( 7.6) 6( 8.1) 244( 7.0) 23( 5.8)
小売業 25( 8.8) 0( 0.0) 85(11.3) 4( 5.4) 394(11.3) 39( 9.8)
不動産業 21( 7.4) 2(10.0) 69( 9.2) 12(16.2) 201( 5.7) 21( 5.3)
技術サービス業 12( 4.2) 0( 0.0) 19( 2.5) 0( 0.0) 156( 4.5) 6( 1.5)
学校教育・教育支援業 14( 4.9) 2(10.0) 14( 1.9) 2( 2.7) 84( 2.4) 9( 2.3)
その他 72(25.3) 4(20.0) 231(30.8) 27(36.5) 737(21.1) 69(17.3)
合計 285( 100) 20( 100) 749( 100) 74( 100) 3,498( 100) 399( 100)

(注1) 平成25年10月から令和3年3月までの累計。
(注2) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は娯楽業,金融・保険業等である。
(注3) ( )内の数値は合計値に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。

3 勧告・指導件数の行為類型別内訳

 令和2年度の勧告・指導件数について行為類型別で分類すると,管内においては,指導件数(20件)の全てが買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)となっている(表3参照)。
 

表3:勧告・指導件数の内訳(行為類型別) [単位:件(%)]
行為類型 令和2年度 令和元年度 累計(注1)
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
減額 40(14.0) 0( 0.0) 218(29.1) 27(36.5) 390(11.1) 42(10.5)
買いたたき 278(97.5) 20( 100) 668(89.2) 65(87.8) 3,077(88.0) 355(89.0)
役務利用又は利益提供の要請 0( 0.0) 0( 0.0) 21( 2.8) 1( 1.4) 70( 2.0) 6( 1.5)
本体価格での交渉の拒否 3( 1.1) 0( 0.0) 21( 2.8) 1( 1.4) 275( 7.9) 22( 5.5)
勧告・指導件数(注2) 285 20 749 74 3,498 399

(注1) 平成25年10月から令和3年3月までの累計。
(注2) 「勧告・指導件数」は,勧告及び指導の合計件数(第1表参照)。1事業者に対して複数の行為について措置を採っている場合があるため,各行為類型の件数の合計値は,「勧告・指導件数」と一致しない。
(注3) ( )内の数値は,勧告・指導件数に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,その合計は100とならない。

4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況

 令和2年度は,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,管内において,特定事業者13名から,特定供給事業者97名に対し,総額1184万円の原状回復が行われた(表4参照。消費税転嫁対策特別措置法施行後の原状回復額の推移については,参考参照)。
 

表4:特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
年 度 令和2年度 令和元年度 累計(注1)
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
原状回復を行った特定事業者数 279名 13名 276名 15名 2,039名 195名
原状回復を受けた特定供給事業者数 46,504名 97名 68,951名 3,118名 276,515名 6,117名
原状回復額 7億3257万円 1184万円 38億2122万円 1億8338万円 81億9461万円 4億2554万円

(注1) 平成26年4月から令和3年3月までの累計。
(注2) 原状回復額は1万円未満を切り捨てている。

5 転嫁拒否行為等に関する相談件数

 転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を設置しており,管内において,令和2年度は44件の相談に対応した(表5参照)。
 

表5:転嫁拒否行為等に関する相談件数 [単位:件]
  令和2年度 令和元年度 累計(注1)
全国 553 2,102 9,131
中部地区 44 140 445

(注1) 平成25年4月から令和3年3月までの累計。
(注2) 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談並びに情報提供を含む。

6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査

 様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内においては,令和2年度は45名の事業者及び57の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(表6参照)。
 

表6:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数 [単位:件]
  令和2年度 令和元年度 累計(注)
事業者 事業者団体 事業者 事業者団体 事業者 事業者団体
全国 1,430 892 1,648 599 21,718 4,932
中部地区 45 57 35 42 710 1,057

(注) 平成25年10月から令和3年3月までの累計。

7 移動相談会

 事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内においては,令和2年度は移動相談会を3回実施した(表7参照)。
 

表7:移動相談会の実施回数 [単位:回]
  令和2年度 令和元年度 累計(注)
全国 30 85 418
中部地区 3 18 46

(注) 平成25年度から令和2年度までの累計。

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

1 公正取引委員会主催説明会

 消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を実施しており,管内においては,令和2年度は3回実施した(表8参照)。
 

表8:公正取引委員会主催説明会の実施回数 [単位:回]
  令和2年度 令和元年度 累計(注)
全国 30 74 353
中部地区 3 11 39

(注) 平成25年度から令和2年度までの累計。

2 講師派遣

 商工会議所,商工会,事業者団体等が開催する説明会等に,公正取引委員会事務総局の職員を講師として派遣しており,管内においては,令和3年3月末までに141回派遣した(表9参照)。
 

表9:講師の派遣回数 [単位:回]
  令和2年度 令和元年度 累計(注)
全国 1 59 638
中部地区 0 21 141

(注) 平成25年度から令和2年度までの累計。

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出並びに届出書の記載方法等に関する相談を受け付けているところ,管内においては,令和2年度はいずれもなかった。
 なお,令和3年3月末までに,管内において,転嫁カルテル47件,表示カルテル9件の合計56件の届出を受理し,このほか届出書の記載方法等に関して,21件の相談に対応した。

参考

別紙

主な指導事例
(令和2年4月~令和3年3月)

 
買いたたき(第3条第1号後段)
 ① 自動車部品等の製造業を営むA社は,部品加工業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

 ② 高等教育機関であるB法人は,講師業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

 ③ 海上運送業を営むC社は,労務に係る相談業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

 ④ 一般廃棄物処理業を営むD社は,浄化槽の点検業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

 ⑤ 旅客自動車運送業を営むE社は,駐車場の賃貸人(特定供給事業者)に対し,令和元年10月分以後の消費税込みの賃料について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

 ⑥ 不動産賃貸業を営むF社は,マンションの管理業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,入居者から受け取る家賃(非課税)に一定率を乗じた額を消費税込みの委託代金として支払っているところ,令和元年10月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 中部事務所
消費税転嫁対策調査室 電話 052-961-9493(直通) (第1及び第2関係)
経済取引指導官    電話 052-961-9422(直通) (第3関係)
ホ-ムペ-ジ https://www.jftc.go.jp/regional_office/chubu/

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