令和3年3月19日
公正取引委員会
公正取引委員会は,マツダ株式会社(以下「マツダ」という。)に対し調査を行ってきたところ,下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反する行為が認められたので,本日,下請法第7条第3項の規定に基づき,同社に対し勧告を行った。
1 違反行為者の概要
法 人 番 号 | 3240001036223 |
名 称 | マツダ株式会社 |
本店所在地 | 広島県安芸郡府中町新地3番1号 |
代 表 者 | 代表取締役 丸本 明 |
事業の概要 | 自動車等の製造販売 |
資 本 金 | 2839億5711万2262円 |
2 違反事実の概要
⑴ マツダは,資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に対し,自社が販売する自動車等の原材料たる資材(注1)の製造を委託している(これらの事業者を以下「下請事業者」という。)。
(注1)鋼鉄を棒状やコイル状に加工したもの。ボルト,ナット等の自動車部品に加工される。
⑵ マツダは,次のア及びイの行為により,自己のために経済上の利益を提供させることによって,下請事業者の利益を不当に害していた。提供させた金額は,総額5112万3981円である(下請事業者3名)。
ア マツダは,下請事業者に対し,提供させる金銭の算出根拠及び使途について明確にせず,「手数料」(注2)として,平成30年11月から令和元年10月までの間,金銭を提供させ,当該金銭に対応する何らの給付又は役務を提供することなく,自社の事業に係る各種取引の支払等に充てていた。
(注2)前記(1)の下請取引とは異なる「管理自給」と呼ばれる,マツダ向けの自動車部品を製造する部品メーカーと当該部品メーカーに資材を納入する下請事業者との間の資材取引に係る取引実績を基に算出されるものである。
イ マツダは,下請事業者に対し,前記アの「手数料」を自社の指定する金融機関口座に振り込ませる方法で提供させた際に,振込手数料を支払わせていた。
⑶ マツダは,令和3年3月2日,下請事業者に対し,前記⑵の行為により提供させた金額を支払っている。
3 勧告の概要
⑴ マツダは,次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア 前記2⑵の行為が下請法第4条第2項第3号の規定に違反するものであること。
イ 今後,自己のために経済上の利益を提供させることにより,下請事業者の利益を不当に害さないこと。
⑵ マツダは,今後,下請法に違反することがないよう,次の行為を行うなど社内遵法管理体制の整備のために必要な措置を講じること。
ア 法務担当者による下請法の遵守状況についての定期的な監査
イ 役員及び発注担当者に対する下請法遵守のための定期的な研修
⑶ マツダは,次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
ア 自己のために提供させた金額を下請事業者に支払ったこと。
イ 前記⑴及び⑵に基づいて採った措置の内容
⑷ マツダは,次の事項を取引先下請事業者に通知すること。
ア 自己のために提供させた金額を下請事業者に支払ったこと。
イ 前記⑴から⑶までに基づいて採った措置の内容
⑸ マツダは,前記⑴から⑷までに基づいて採った措置について,速やかに公正取引委員会に報告すること。
関連ファイル
(印刷用)(令和3年3月19日)マツダ株式会社に対する勧告について
問い合わせ先
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