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(令和6年3月15日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表について

(令和6年3月15日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表について

令和6年3月15日
公正取引委員会

第1 背景

 公正取引委員会は、適正な価格転嫁の実現に向けて、事業者間取引において、公正取引委員会のウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&A(以下「独占禁止法Q&A」という。)の下記①又は②に該当する行為(以下「協議を経ない取引価格の据置き等」という。)が疑われる事案に関する実態を把握するため、令和5年5月から「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」(以下「特別調査」という。)を実施し、令和5年12月27日に調査結果を公表した。 

① 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと

② 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと 

 あわせて、価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表については、令和5年11月8日に公表した「価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表方針について」(以下「公表方針」という。)(別添参照)のとおり進めることとしている。

第2 個別調査の実施

 公表方針に基づき、特別調査において、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者(注1)(以下「調査対象事業者」という。)に対して、令和5年11月以降、その旨を説明し、事業者名の公表があり得る旨を予告した上で、立入調査(注2)、独占禁止法第40条に基づく報告命令等による個別調査を実施した。
 具体的には、令和4年6月1日から令和5年5月31日までの1年間を調査対象期間とし、調査対象事業者とその取引先との取引における、調査対象期間における取引価格の据置き等の有無、取引価格の据置き等の場合における価格協議の有無、取引価格引上げの要請があった場合における書面等による回答の有無等について確認を行うなどして、協議を経ない取引価格の据置き等が行われているかについて確認した。
(注1)具体的には、次のいずれかに該当する者を重点的に対象とした。①令和4年の「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査」(令和4年12 月27 日公表)において、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者又は注意喚起文書の送付を受けた発注者であって、かつ、特別調査の結果、受注者から多く名前が挙がった者。②特別調査の結果、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から特に多く名前が挙がった者。
(注2)任意の立入調査であり、事件審査で通常行っている独占禁止法第47 条に基づく立入検査とは異なるものである。

第3 個別調査の結果

 個別調査の結果、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者については、公表方針にも記載のとおり、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、発注者に価格転嫁に向けた積極的な協議を促し、また、受注者にとっての協議を求める機会の拡大につながる有益な情報であること等を踏まえ、独占禁止法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表することとした(別紙参照)。
 なお、この対応に当たっては、公正取引委員会は、あらかじめ、対象となる事業者に対し、意見を述べる機会を付与した。
 当該事業者名の公表は、独占禁止法又は下請法に違反すること又はそのおそれを認定したものではない。
 また、当該事業者については、社内全体に対して価格転嫁を進めるための方針を示していたものの、受注者との窓口となる各担当者への浸透が不十分だった事例等が確認された。一方で、調査対象期間中に一部の受注者との間で価格転嫁を進めていた事例や、調査対象期間後において受注者との間で価格転嫁を行うための協議の場を設けた事例等も確認された。

第4 今後の取組

 公正取引委員会は、今回の個別調査の結果も踏まえ、独占禁止法Q&Aの考え方、特に、受注者からの価格転嫁の要請の有無にかかわらず、価格転嫁の必要性について価格交渉の場において明示的に協議する必要があることについて、更なる周知を行っていくなど、引き続き、取引の公正化をより一層推進する観点から、適正な価格転嫁が可能となる取引環境を整備するための取組を進めていく。

関連ファイル

(印刷用)(令和6年3月15日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表について(本文、別紙及び別添)pdfダウンロード(584 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課
優越的地位濫用未然防止対策調査室
電話 03-3581-3378(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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