令和7年7月29日
公正取引委員会
公正取引委員会は、美里工業株式会社(以下「美里工業」という。)に対して調査を行ってきたところ、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第1項第4号(返品の禁止)及び第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)に掲げる行為に該当し、前各項の規定に違反する事実が認められたので、本日、下請法第7条第2項及び第3項の規定に基づき、美里工業に対して勧告を行った。
1 違反行為者の概要
法 人 番 号 | 7030001060810 |
名 称 | 美里工業株式会社 |
本店所在地 | 群馬県藤岡市藤岡1360番地 |
代 表 者 | 代表取締役 中野 秀男 |
事業の概要 | 自動車用ミラー等の製造販売 |
資 本 金 | 3億500万円 |
2 違反事実の概要
⑴ 美里工業は、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に対し、自社が販売し若しくは製造を請け負う自動車用ミラー等の製品又はその部品(以下「製品等」という。)の製造を委託している(以下この受託事業者を「下請事業者」という。)。
⑵ア 美里工業は、下請事業者に対し、下請事業者から製品等を受領した後、当該製品等に係る受入検査を行っていないにもかかわらず、当該製品等に瑕疵があることを理由として、令和5年9月1日から令和7年3月31日までの間、当該製品等を引き取らせていた。
イ 返品した製品等の下請代金相当額は、総額261万3656円である(下請事業者10名)。
⑶ア 美里工業は、下請事業者に対して自社が所有する金型及び治工具(以下「金型等」という。)を貸与していたところ、遅くとも令和5年9月1日以降、当該金型等を用いて製造する製品等の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者に対し、合計2,029個の金型等を自己のために無償で保管させることにより、下請事業者の利益を不当に害していた(下請事業者14名)。
イ 美里工業は、令和5年9月1日から令和7年3月31日までの間に、前記2,029個の金型等のうち、合計359個を回収している(下請事業者3名)。
※ 美里工業は、引き続き、金型等を回収するための手続を進めている。
3 勧告の概要
⑴ 美里工業は、下請事業者に対し、返品した製品等について、速やかに次の対応を採ること。
ア 返品後再び引き取ることができる製品等を再び引き取り、その下請代金相当額を支払うこと
イ 返品後再び引き取ることができない製品等の下請代金相当額を支払うこと
⑵ 美里工業は、下請事業者に対し、無償で金型等を保管させることによる費用に相当する額を公正取引委員会の確認を得た上で速やかに支払うこと。
⑶ 美里工業は、次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア(ア) 前記2⑵アの行為が下請法第4条第1項第4号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
(イ) 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせないこと
イ(ア) 前記2⑶アの行為が下請法第4条第2項第3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
(イ) 今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害さないこと
⑷ 美里工業は、今後、下請法第4条第1項第4号及び第2項第3号に掲げる行為に該当し、前各項の規定に違反する行為を行うことがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。
⑸ 美里工業は、前記⑴から⑷までに基づいて採った措置を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
⑹ 美里工業は、前記⑴から⑸までに基づいて採った措置を取引先下請事業者に通知すること。
⑺ 美里工業は、前記⑴から⑹までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
関連ファイル
(令和7年7月29日)美里工業株式会社に対する勧告について(1,365 KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部下請取引調査室
電話 03-3581-3374(直通)
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