公正取引委員会は、株式会社フィールコーポレーション(以下「フィールコーポレーション」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、フィールコーポレーションの後記3の行為が同法第19条(同法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用))の規定に違反する疑いが認められた。
公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、フィールコーポレーションによって当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和8年6月9日、独占禁止法第48条の6の規定に基づき、フィールコーポレーションに対し確約手続に係る通知を行った。
今般、フィールコーポレーションから、公正取引委員会に対し、独占禁止法第48条の7第1項の規定に基づき、後記3の行為が排除されたことを確保するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は当該行為が排除されたことを確保するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の7第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)。
なお、本認定は、公正取引委員会が、フィールコーポレーションの後記3の行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。
(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。
(注2)公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の9第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。
1 申請者の概要
| 法人番号 | 2180001109424 |
| 名称 | 株式会社フィールコーポレーション |
| 所在地 | 名古屋市昭和区鶴舞二丁目21番6号 |
| 代表者 | 代表取締役 串田 崇 |
2 フィールコーポレーションと納入業者との取引等
⑴ フィールコーポレーションは、愛知県及び静岡県において、「フィール(FEEL)」、「エクボ(EQVo!)」、「エクボスタイル」及び「フィールクオリテ」と称する食品スーパーマーケットを84店舗展開し、食品等を販売している。
⑵ フィールコーポレーションは、愛知県に本店を置く食品スーパーマーケットを運営する事業者の中で、令和6年度の売上高が第2位の事業者である。
⑶ 納入業者(注3)の中には、フィールコーポレーションに対する取引依存度が大きい者、フィールコーポレーションが特に愛知県において知名度が高いことやフィールコーポレーションが今後も新規に店舗を開店することが予想されること等から自社の売上高の増加等が期待できるとしてフィールコーポレーションとの取引継続を強く望んでいると述べる者、他の事業者との取引開始や取引拡大によってはフィールコーポレーションとの取引と同等の売上高を確保することは困難であると述べる者などがいた。
(注3)「納入業者」とは、フィールコーポレーションが運営する店舗で販売する商品について、フィールコーポレーションとの間で、直接取引をしている事業者及び当該事業者を通じて取引をしている事業者のうち、フィールコーポレーションと継続的な取引関係にあるものをいう。
なお、「納入業者」のうち、直接取引をしている事業者を通じて取引をしている事業者を、以下「間接納入業者」という。
3 違反被疑行為の概要
フィールコーポレーションは、遅くとも令和2年9月頃から令和8年2月頃までの間、納入業者に次の⑴から⑹までの作業を行わせるため、あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく、かつ、派遣のために通常必要な費用(以下「派遣費用」という。)を自社が負担することなく(注4)、当該納入業者の従業員等を派遣させていた。
⑴ 新規開店又は改装開店に際し、これらを実施する店舗における、当該納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品(以下「店舗商品」という。)の陳列、品出し、調理補助、発注等
⑵ 新規開店又は改装開店に際し、これらを実施する店舗における、来店者に対する開店記念品の配布
⑶ 改装に伴う閉店又は完全閉店に際し、これらを実施する店舗における、店舗商品への値引きシールの貼付及び店舗商品のうち、売れ残り品の近隣店舗への移送
⑷ 売場変更を実施する店舗における店舗商品の入替え
⑸ 店舗近隣での花火大会開催時又はクリスマスの時期に店舗で行う店舗商品の調理補助及び品出し
⑹ 停電の復旧作業を行う店舗における店舗商品の陳列
(注4)フィールコーポレーションは、従業員等を派遣した納入業者の一部に対して、派遣費用を請求するための様式を配布していたものの、派遣費用を請求しなかった納入業者については、派遣費用を負担していない。
4 独占禁止法上の考え方
前記3の行為は、納入業者に対して、派遣費用を請求するための様式を配布していたものの、派遣費用を請求しなかった納入業者については、派遣費用を負担することなく従業員を派遣させていたものである。
取引上の地位が納入業者に優越している事業者が、当該納入業者に対して、従業員等を派遣させて本来自らが行うべき役務を行わせる場合、当該納入業者が派遣費用を請求しなかったとしても、派遣費用を負担しない場合には、優越的地位の濫用として問題となるものと考えられる。
5 確約計画の概要
⑴ 次の事項を取締役会で決議すること。
ア 前記3の行為を取りやめていることを確認すること。
イ 前記3の行為と同様の行為を行わないこと。
⑵ 前記⑴に基づいて採った措置を、納入業者(間接納入業者のうち、後記⑶の措置の対象でないものを除く。)に通知し、かつ、自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
⑶ 前記3の行為に関する納入業者における金銭的価値を回復すること。
⑷ 今後、前記3の行為と同様の行為を行わないこと。
⑸ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。
ア 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の自社の役員及び従業員に対する周知徹底
イ 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに内部監査担当者による定期的な監査
⑹ 前記⑴から⑸までの措置の履行についての監視を、第三者(公正取引委員会が承認した者に限る。)に委託すること。
⑺ 前記⑴から⑶まで及び⑸の措置の履行状況について、公正取引委員会に対し、前記⑹で委託した第三者に報告させること。
⑻ 前記⑷の措置並びに⑸イの研修及び監査の履行状況について、今後5年間、毎年1回、公正取引委員会に対し、前記⑹で委託した第三者に報告させること。
6 確約計画の認定
公正取引委員会は、次のとおり、前記5の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。
なお、当該確約計画のうち前記5⑶の措置が実施されることにより回復される金銭的価値は、現時点において、納入業者のうち約350社に対し、総額約1億1200万円と見込まれる。
⑴ 措置内容の十分性
ア 前記5の確約計画に記載の措置の内容は、過去の排除措置命令で独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用))の規定に違反すると認定された事案における排除措置の内容を全て含んでいる。
イ また、前記5⑶の金銭的価値の回復措置は、納入業者にとっては違反被疑行為により被った不利益に係る被害救済の効果があるものであるとともに、違反被疑行為の再発防止につながるものである。
ウ 以上を踏まえれば、本件においては、前記5の確約計画に記載の措置の内容は、措置内容の十分性を満たすと判断した。
⑵ 措置実施の確実性
フィールコーポレーションは、前記5の確約計画において、独占禁止法のコンプライアンス体制の整備を措置に含めていること、措置の履行についての監視を第三者(公正取引委員会が承認した者)に委託し、措置の履行状況に関する公正取引委員会に対する報告を当該第三者に行わせるとしていること、また、措置の内容ごとに実施期限を設けていることから、前記5の確約計画は確実に実施されると判断した。
関連ファイル
(令和8年6月30日) 株式会社フィールコーポレーションから申請があった確約計画の認定について
(242 KB)
(令和8年6月30日)参考(過去の事例、参照条文)
(180 KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局中部事務所第二審査課・第三審査課
電話 052-961-9468(直通)
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