令和8年3月10日
公正取引委員会
公正取引委員会及び内閣府沖縄総合事務局は、YKK AP株式会社(以下「YKKAP」という。)、株式会社YKK AP沖縄(以下「YKKAP沖縄」という。)及び琉球YKK AP工業株式会社(以下「琉球YKKAP工業」という。)の3社(以下「3社」という。)に対して調査を行ってきたところ、下請法(注1)第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)(注2)に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反する事実が認められたので、公正取引委員会は、本日、下請法第7条第3項(注3)の規定に基づき、3社のそれぞれに対して勧告を行った(※)。
(注1) 「下請法」とは、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(令和7年法律第41号。以下「改正法」という。)による改正前の下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)をいう。
(注2) 改正法附則第2条第2項の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。
(注3) 「下請法第7条第3項」とは、改正法附則第2条第2項の規定によりなお従前の例によることとされる下請法第7条第3項をいう。
※ 下請法は、改正法により改正され、令和8年1月1日から、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(以下「取適法」という。)となった。
本件の製造委託は、改正法施行前になされたものであり、下請法の適用を受けることから、本公表文は下請法上の用語により記載することが適当である場合は下請法上の用語により記載している。改正法施行後になされた製造委託等には取適法が適用され、次のように用語が変更される。

第1 違反行為者の概要
| 番 号 |
名称 (法人番号) |
本店所在地 | 代表者 | 事業の概要 | 資本金 |
| 1 | YKK AP株式会社 (9010001032685) |
東京都千代田区神田和泉町 1番地 |
代表取締役 魚津 彰 |
建材等の製造販売等 | 140億円 |
| 2 | 株式会社YKK AP沖縄 (3360001007906) |
沖縄県うるま市字州崎12番 36 |
代表取締役 伊藤万喜男 |
建材の製造販売等 | 2000万円 |
| 3 | 琉球YKK AP工業株式会社 (7360001004313) |
沖縄県中頭郡西原町字掛保久 217番地 |
代表取締役 松本 隆男 |
建材及び工具の製造販売等 | 1億円 |
(注4) YKKAP沖縄及び琉球YKKAP工業は、YKKAPの100パーセント子会社である。
(注5) 琉球YKKAP工業は、令和7年4月1日、金秀アルミ工業株式会社が商号変更したものである。
(注6) 琉球YKKAP工業の資本金の額は、令和6年5月7日から同年8月8日までの間は7億3950万円であり、その前後の期間は1億円である。
第2 YKKAPに対する勧告
1 違反事実の概要
⑴ア YKKAPは、令和5年11月から令和6年3月までの間に、他の事業者に対し、自社が販売し又は製造を請け負う建材等又はその部品(以下「本件製品等①」という。)の製造を委託した(以下、この受託事業者を「下請事業者①」という。)。
イ 前記アの委託の当時、YKKAPは資本金の額が3億円を超える法人たる事業者であり、下請事業者①は資本金の額が3億円以下の法人たる事業者であった。
⑵ア 下請事業者①は、YKKAPが所有し又はYKKAPが自社の顧客若しくはリース会社から借り受けて下請事業者①に貸与していた金型、樹脂型又は木型及び下請事業者①又は下請事業者①の取引先が所有する金型、樹脂型又は木型を用いて本件製品等①を製造している(以下、本件製品等①の製造に用いる金型、樹脂型又は木型を「金型等①」という。)。
YKKAPは、金型等①に関し
(ア) 下請事業者①のうち一部の事業者との間で、前年度に発注がなかった本件製品等①に係る金型等①について廃棄の可否等を通知する旨定める金型取扱細則を取り交わし
(イ) 下請事業者①のうち前記(ア)の事業者以外の事業者に対し、金型等①の引取り又は廃棄を希望する場合は申出の上、YKKAPの承諾を得るよう求める
などしていたところ、遅くとも令和6年2月1日から令和8年1月27日までの間、金型等①を用いて製造する本件製品等①の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者①に対し、合計4,997型の金型等①を自己のために無償で保管させた(下請事業者①67名)。
イ YKKAPは、令和7年10月30日までに、前記アの4,997型のうち、1,784型の金型等①を回収又は廃棄した(下請事業者①のうち56名)。
⑶ YKKAPは、下請事業者①と協議の上、令和8年1月27日までに、令和6年2月から令和8年3月までの間、金型等①を保管させることによる費用として総額3414万1025円を、下請事業者①に対して支払っており、これは前記⑵アの保管に係る費用に相当する額の支払を含むものと認められる(下請事業者①67名)。
2 勧告の概要
⑴ YKKAPは、次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア 前記1⑵アの行為は、下請法第4条第2項第3号(改正法附則第2条第2項の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
イ 今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害さないこと
⑵ YKKAPは、今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害することがないよう、自社の発注担当者に対して金型等①の適切な管理に特に留意した取適法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。
⑶ YKKAPは、次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
ア 前記1⑶の対応を採ったこと
イ 前記⑴及び⑵に基づいて採った措置
⑷ YKKAPは、次の事項を取引先中小受託事業者に通知すること。
ア 前記1⑶の対応を採ったこと
イ 前記⑴から⑶までに基づいて採った措置
⑸ YKKAPは、前記⑴から⑷までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
第3 YKKAP沖縄に対する勧告
1 違反事実の概要
⑴ア YKKAP沖縄は、令和5年12月、他の事業者に対し、自社が製造を請け負う建材の部品(以下「本件部品②」という。)の製造を委託した(以下、この受託事業者を「下請事業者②」という。)。
イ 前記アの委託の当時、YKKAP沖縄は資本金の額が1000万円を超え3億円以下の法人たる事業者であり、下請事業者②は資本金の額が1000万円以下の法人たる事業者であった。
⑵ア 下請事業者②は、下請事業者②が所有する金型を用いて本件部品②を製造している(以下、本件部品②の製造に用いる金型を「金型②」という。)。
YKKAP沖縄は、下請事業者②に対し、金型②の引取り又は廃棄を希望する場合は申出の上、YKKAP沖縄の承諾を得るよう求めていたところ、遅くとも令和6年2月1日から令和7年3月31日までの間、金型②を用いて製造する本件部品②の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者②に対し、1型の金型②を自己のために無償で保管させた(下請事業者②1名)。
イ YKKAP沖縄は、令和7年3月31日、前記アの1型の金型②を廃棄した(下請事業者②1名)。
⑶ YKKAP沖縄は、下請事業者②と協議の上、下請事業者②に対し、令和7年4月21日、7万7000円を支払っており、これは前記⑵アの保管に係る費用に相当する額の支払と認められる(下請事業者②1名)。
2 勧告の概要
⑴ YKKAP沖縄は、次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア 前記1⑵アの行為は、下請法第4条第2項第3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
イ 今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害さないこと
⑵ YKKAP沖縄は、今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害することがないよう、自社の発注担当者に対して金型②の適切な管理に特に留意した取適法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。
⑶ YKKAP沖縄は、次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
ア 前記1⑶の対応を採ったこと
イ 前記⑴及び⑵に基づいて採った措置
⑷ YKKAP沖縄は、次の事項を取引先中小受託事業者に通知すること。
ア 前記1⑶の対応を採ったこと
イ 前記⑴から⑶までに基づいて採った措置
⑸ YKKAP沖縄は、前記⑴から⑷までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
第4 琉球YKKAP工業に対する勧告
1 違反事実の概要
⑴ア 琉球YKKAP工業は
(ア) 令和5年10月3日から令和6年4月10日までの間に、他の事業者に対し
(イ) 令和6年5月7日から同月9日までの間に、他の事業者に対し
自社が販売する建材及び工具並びにその部品等(以下「本件製品等③」という。)の製造をそれぞれ委託した(以下、これらの受託事業者を「下請事業者③」という。)。
イ(ア) 前記ア(ア)の委託の当時、琉球YKKAP工業は資本金の額が1000万円を超え3億円以下の法人たる事業者であり、下請事業者③のうち前記ア(ア)の事業者は個人又は資本金の額が1000万円以下の法人たる事業者であった。
(イ) 前記ア(イ)の委託の当時、琉球YKKAP工業は資本金の額が3億円を超える法人たる事業者であり、下請事業者③のうち前記ア(イ)の事業者は資本金の額が3億円以下の法人たる事業者であった。
⑵ 下請事業者③は、琉球YKKAP工業が所有し下請事業者③に貸与していた金型又は樹脂型及び下請事業者③が所有する金型又は樹脂型を用いて本件製品等③を製造している(以下、本件製品等③の製造に用いる金型又は樹脂型を「金型等③」という。)。
琉球YKKAP工業は、下請事業者③に対し、金型等③の引取り又は廃棄を希望する場合は申出の上、琉球YKKAP工業の承諾を得るよう求めていたところ、遅くとも令和6年5月10日から令和8年1月30日までの間、金型等③を用いて製造する本件製品等③の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者③に対し、合計87型の金型等③を自己のために無償で保管させた(下請事業者③6名)。
⑶ 琉球YKKAP工業は、下請事業者③と協議の上、令和8年1月30日までに、令和6年5月から令和8年3月までの間、金型等③を保管させることによる費用として、総額31万6043円を、下請事業者③に対して支払っており、これは前記⑵の保管に係る費用に相当する額の支払を含むものと認められる(下請事業者③6名)。
2 勧告の概要
⑴ 琉球YKKAP工業は、次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア 前記1⑵の行為は、下請法第4条第2項第3号(改正法附則第2条第2項の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
イ 今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害さないこと
⑵ 琉球YKKAP工業は、今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害することがないよう、自社の発注担当者に対して金型等③の適切な管理に特に留意した取適法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。
⑶ 琉球YKKAP工業は、次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
ア 前記1⑶の対応を採ったこと
イ 前記⑴及び⑵に基づいて採った措置
⑷ 琉球YKKAP工業は、次の事項を取引先中小受託事業者に通知すること。
ア 前記1⑶の対応を採ったこと
イ 前記⑴から⑶までに基づいて採った措置
⑸ 琉球YKKAP工業は、前記⑴から⑷までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
関連ファイル
(令和8年3月10日YKK AP株式会社、株式会社YKK AP沖縄及び琉球YKK AP工業株式会社に対する勧告について
3社に対する勧告に関する問い合わせ先
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引適正化調査室
電話 03-3581-3374(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/
YKKAP沖縄及び琉球YKKAP工業に対する勧告に関する問い合わせ先
内閣府沖縄総合事務局総務部公正取引課
電話 098-866-0049(直通)