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(平成27年1月16日)福井県経済農業協同組合連合会に対する排除措置命令等について

(平成27年1月16日)福井県経済農業協同組合連合会に対する排除措置命令等について

平成27年1月16日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,福井県経済農業協同組合連合会(以下「福井県経済連」という。)に対し,独占禁止法の規定に基づいて審査を行ってきたところ,後記第1のとおり,同法第3条(私的独占の禁止)の規定に違反する行為を行っていたとして,本日,同法第7条第2項の規定に基づき,排除措置命令を行った(別添排除措置命令書参照)。
 また,福井市農業協同組合(以下「JA福井市」という。)に対し,後記第2のとおり,申入れを行うとともに,福井県経済連に対し,後記第3のとおり,申入れを行った。
 さらに,福井県に対し,後記第4のとおり,通知を行った。

第1 福井県経済連に対する排除措置命令について

1 違反行為者

名称 福井県経済農業協同組合連合会
所在地 福井市大手三丁目2番18号
代表者 代表理事 香川 哲夫
事業の概要 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設(注1)の製造請負工事等(注2)に係る施主代行業務(注3)を提供する事業その他の経済事業等

(注1) 「穀物の乾燥・調製・貯蔵施設」とは,穀物を乾燥,調製若しくは貯蔵する設備のいずれか又は複数を有する施設をいう。
(注2) 「製造請負工事等」とは,施工業者が,一定の性能等を有する機械,設備,装備等の工場製作,現場での組立て,据付け,調整等を一括して請け負って完成させる製造請負工事並びに当該工事及び建設工事が併せて発注される工事をいう。
(注3) 「施主代行業務」とは,施主が,施行管理能力を有する者に委託する,基本設計の作成,実施設計書の作成又は検討,工事の施行(当該工事の施工業者決定のための入札等参加者の選定についての助言,入札等の執行の補助等の業務を含む。),施工管理等の業務をいう。

2 違反行為の概要

(1) 福井県経済連は,平成23年9月頃以降,特定共乾施設工事(注4)について,施主代行者(注5)として,工事の円滑な施工,管理料の確実な収受等を図るため,次のアないしウの方法等により,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を指定するとともに,受注予定者が受注できるように,入札参加者に入札すべき価格を指示し,当該価格で入札させていた。
ア 当該施設の既設業者(注6)を受注予定者と決定する。
イ 受注予定者に対し,「ネット価格」と称する受注希望価格を確認し,当該価格を踏まえて,受注予定者の入札すべき価格を決定し,受注予定者に当該価格で入札するように指示する。
ウ 受注予定者の入札すべき価格を踏まえて,他の入札参加者の1回目及び2回目の入札すべき価格を決定し,他の入札参加者に当該価格で入札するように指示する。
(2) 福井県経済連は,前記(1)の行為によって,入札参加者の事業活動を支配することにより,公共の利益に反して,特定共乾施設工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注4) 「特定共乾施設工事」とは,福井県に所在する農業協同組合が施主として,同県が実施する「おいしい福井米生産体制整備事業」(平成24年3月31日以前にあっては「おいしい福井米づくり事業」)と称する補助事業により発注した穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等(当該工事と同時に発注された前記補助事業によらない製造請負工事及び建設工事を含む。)をいう。
    なお,福井県に所在する農業協同組合は,全て福井県経済連の会員である。
(注5) 「施主代行者」とは,施主代行業務を提供する者をいう。
(注6) 「既設業者」とは,福井県内において現在稼働している穀物の乾燥・調製・貯蔵施設のそれぞれにおいて,当該施設の建設等又は保守点検等の実績を有する者をいう。

3 排除措置命令の概要

(1) 福井県経済連は,次の事項を,経営管理委員会において決議しなければならない。
ア 前記2(1)の行為を行っていないことを確認すること。
イ 今後,穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等について,前記2(1)の行為と同様の行為を行わないこと。
(2) 福井県経済連は,前記(1)に基づいて採った措置を,会員の農業協同組合(以下「農協」という。)及び特定共乾施設工事の入札参加者等に通知し,かつ,自らの職員に周知徹底しなければならない。
(3) 福井県経済連は,今後,穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等について,前記2(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。
(4) 福井県経済連は,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
ア 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等の入札等に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成及び自らの職員に対する周知徹底
イ 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等の入札等に関する独占禁止法の遵守についての,自らの職員に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査

第2 JA福井市に対する申入れについて

 本件審査の過程において,JA福井市は,自らが施主となり,福井県が実施する「おいしい福井米生産体制整備事業」と称する補助事業等により発注した特定共乾施設工事のうち11件の工事について,原則として,指名競争入札の方法により契約を行わなければならないにもかかわらず,入札等の方法によらずに当該11件に係る施設の既設業者に発注し,福井県経済連からの協力を得て,適正な入札を実施したかのように体裁を整えていた事実が認められた。
 当該事実は,競争入札の制度の趣旨に反するものであり,公正かつ自由な競争を妨げるものであることから,公正取引委員会は,JA福井市に対し,今後,同様の行為を再び行わないよう,工事発注等に係る適正な入札の実施を徹底することを申し入れた。

第3 福井県経済連に対する申入れについて

 本件審査の過程において,次の事実が認められた。
1 福井県に所在する農協は,同県が実施する「おいしい福井米づくり事業」と称する補助事業により発注した食味分析計(注7)の調達に係る全ての入札について,原則として,指名競争入札の方法により契約を行わなければならないにもかかわらず,入札等の方法によらずに福井県経済連に発注し,適正な入札を実施したかのように体裁を整えていた。
2 福井県経済連は,前記1について,一部の入札参加予定者に対し,入札書に記載すべき価格等を指示して,入札関係書類を提出させるなど,適正な入札を実施したかのように体裁を整える行為に関与していた。
 これらの事実は,競争入札の制度の趣旨に反するものであり,公正かつ自由な競争を妨げるものであることから,公正取引委員会は,福井県経済連に対し,今後,前記2と同様の行為を再び行わないよう申し入れた。
(注7) 「食味分析計」とは,米の主成分である蛋白質,水分,アミロース等の成分の含有率を測定する機器をいう。

第4 福井県に対する通知について

 公正取引委員会は,前記第2及び第3に関連して,次の事実について,福井県に対し通知を行った。
1 JA福井市等は,それぞれ施主となり,前記第2の補助事業等により発注した特定共乾施設工事のうち15件の工事について,原則として,指名競争入札の方法により契約を行わなければならないにもかかわらず,入札等の方法によらずに当該15件に係る施設の既設業者に発注し,適正な入札を実施したかのように体裁を整えていた。
2 福井県に所在する農協は,前記第3の補助事業により発注した食味分析計の調達に係る全ての入札について,原則として,指名競争入札の方法により契約を行わなければならないにもかかわらず,入札等の方法によらずに福井県経済連に発注し,適正な入札を実施したかのように体裁を整えていた。
3 なお,福井県経済連は,前記1及び2について,既設業者等に対し,入札書に記載すべき価格等を指示して,入札関係書類を提出させるなど,適正な入札を実施したかのように体裁を整える行為に関与していた。

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公正取引委員会事務総局審査局第五審査
電話 03-3581-1779(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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