平成30年8月29日
公正取引委員会
公正取引委員会は,全日本食品株式会社(以下「全日本食品」という。)に対し調査を行ってきたところ,下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する行為が認められたので,本日,下請法第7条第2項の規定に基づき,同社に対し勧告を行った。
1 違反行為者の概要
法 人 番 号 | 9011801009121 |
名 称 | 全日本食品株式会社 |
本店所在地 | 東京都足立区入谷六丁目2番2号 |
代 表 者 | 代表取締役 平野 実 |
事業の概要 | 食料品等の卸売業等 |
資 本 金 | 18億円 |
2 違反事実の概要
(1) 全日本食品は,資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に対し,
ア 小売業者に販売する食料品等の製造
イ 小売業者から請け負うチラシ等の製造
を委託している(これらの事業者を以下「下請事業者」という。)。
(2) 全日本食品は,次のアからコまでの行為により,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減じていた。減額した金額は,総額1290万2475円である(下請事業者21名)。
ア 平成28年5月から平成29年9月までの間,「年契基本」(注1)を支払わせていた。
イ 平成28年5月から平成29年11月までの間,「発注オンライン料」(注2)を下請代金の額から差し引いていた。
ウ 平成28年5月から同年12月までの間,「基本(商品)」(注1)を支払わせていた。
エ 平成28年6月から同年11月までの間,「販促 スポット条件」(注3)を下請代金の額から差し引いていた。
オ 平成28年8月から平成29年4月までの間,「決算協力金」(注4)を下請代金の額から差し引いていた。
カ 平成28年8月から平成29年4月までの間,「販売奨励金」(注4)を下請代金の額から差し引き又は支払わせていた。
キ 平成28年6月から平成29年3月までの間,「厳選POP代」(注3)を下請代金の額から差し引いていた。
ク 平成28年5月から平成29年7月までの間,「西四国業務用惣菜リベート」(注1)を下請代金の額から差し引いていた。
ケ 平成28年5月から平成29年7月までの間,「西四国アイスリベート」(注1)を下請代金の額から差し引いていた。
コ 前記アの「年契基本」,前記ウの「基本(商品)」又は前記カの「販売奨励金」を自社の指定する金融機関口座に振り込ませる方法で支払わせた際に,振込手数料を支払わせていた。
(注1)「年契基本」等 自社の利益確保のために徴収した金銭のこと。
(注2)「発注オンライン料」 発注に係るオンラインシステムの利用料として徴収した金銭のこと。
(注3)「販促 スポット条件」等 自社商品の販売促進のために徴収した金銭のこと。
(注4)「決算協力金」等 自社の決算対策等のために徴収した金銭のこと。
(3) 全日本食品は,平成30年8月9日,下請事業者に対し,前記(2)の行為により減額した金額を支払っている。
3 勧告の概要
(1) 全日本食品は,次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア 前記2(2)の行為が下請法第4条第1項第3号の規定に違反するものであること。
イ 今後,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減じないこと。
(2) 全日本食品は,今後,下請法第4条第1項第3号の規定に違反する行為を行うことがないよう,自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じること。
(3) 全日本食品は,次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
ア 減額した金額を下請事業者に支払ったこと。
イ 前記(1)及び(2)に基づいて採った措置の内容
(4) 全日本食品は,次の事項を取引先下請事業者に通知すること。
ア 減額した金額を下請事業者に支払ったこと。
イ 前記(1)から(3)までに基づいて採った措置の内容
(5) 全日本食品は,前記(1)から(4)までに基づいて採った措置について,速やかに公正取引委員会に報告すること。
関連ファイル
(印刷用)(平成30年8月29日)全日本食品株式会社に対する勧告について(PDF:336KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部下請取引調査室
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