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令和8年6月17日付け 事務総長定例会見記録

令和8年6月17日付け 事務総長定例会見記録

[配布資料]

(令和8年6月17日)「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合等の特定の不公正な取引方法」、「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法」等について

(令和8年6月17日)「令和8年度価格転嫁円滑化・支払の適正化に関する調査」の開始について

(令和8年6月17日)独占禁止法に関する相談事例集(令和7年度)について

独占禁止法に関する相談事例集(令和7年度)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和8年6月17日(水曜)13時30分~)

「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合等の特定の不公正な取引方法」、「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法」等について

 本日、私から2点ございます。1点目は、取引適正化のための特殊指定の制定・改正等、2点目は、令和7年度の独占禁止法に関する相談事例集です。
 まず、1点目の取引適正化のための特殊指定の制定・改正等についてお話しいたします。
 以前のこの会見でも御紹介したところですが、公正取引委員会はサプライチェーン全体での適切な価格転嫁の環境整備や支払条件の適正化、物流に関する商慣習の問題に対する更なる対応のため、企業取引研究会における議論等を踏まえて、令和8年3月12日に、三つの案を作成して公表しておりました。1点目が、物流特殊指定と呼んでおります「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」の改正案、2点目が、支払告示と呼んでおります「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法」とその運用基準の案、3点目が、優越ガイドラインと呼んでおります「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の改定案でございます。
 これらにつきましては、4月13日を期限として、広く意見を募集してまいりましたところ、66件の意見が提出されました。また、令和8年4月14日には、物流特殊指定改正案及び支払告示案について、それぞれ公聴会を開催しました。
 意見公募手続及び公聴会における意見等を慎重に検討した結果、原案について技術的修正をした上で、それぞれ定めることとし、本日、成案を公表する運びとなりました。
 平成16年に制定された物流特殊指定の改正は、制定以降、実質的には初めてで、新しい特殊指定の制定は約21年ぶりということになります。
 改正物流特殊指定と支払告示は、来年の令和9年4月1日に施行されます。公正取引委員会としては、今後、改正物流特殊指定、支払告示等の普及啓発など、施行に向けた準備を進めてまいります。
 加えて、公正取引委員会は、取引適正化をより一層推進する観点から、適切な価格転嫁や適切な支払を可能とする取引環境を整備するため、「令和8年度価格転嫁円滑化・支払の適正化に関する調査」を実施します。
 本調査は、近年、「特別調査」ということで、サプライチェーン全体の価格転嫁の状況等の把握を行ってきたものですけれども、今年度は支払条件などについても調査対象に加えて、本日公表した支払告示の周知を併せて行うことにしております。それから、近時の中東情勢を受けて、今回は「緊急調査」として、石油関連製品等の価格転嫁に関する状況の把握も行うことにしております。
 今月26日から、公正取引委員会ウェブサイトのトップページに回答フォームへのバナーを設けて、ウェブアンケート調査を開始いたしますので、積極的な情報提供に御協力をお願いいたします。
 詳細につきましては、改正物流特殊指定、支払告示、優越ガイドラインについては企業取引課まで、また、「令和8年度価格転嫁円滑化・支払の適正化に関する調査」については、優越的地位濫用未然防止対策調査室までお問い合わせいただければと思います。以上が1点目です。

独占禁止法に関する相談事例集(令和7年度)について

 次に、2点目、令和7年度の独占禁止法に関する相談事例集についてです。
 公正取引委員会は、独占禁止法違反行為の未然防止と、事業者や事業者団体の適切な事業活動に役立てるため、事業者等が実施しようとする取組が独占禁止法上問題になるかどうかについて、事前の相談に応じております。そして、寄せられた相談の中から、相談者以外にも参考になると考えられる主要な事例を選んで、相談事例集として取りまとめて毎年公表しています。
 本日公表した令和7年度の相談事例集では、「事業者の活動に関する相談」として4件、そして「事業者団体の活動に関する相談」として5件の、計9件の相談事例を掲載しています。
 9件の中には、昨今の社会課題への対応に取り組むものとして、グリーン社会の実現、サプライチェーンの強靱化、価格転嫁、物流の2024年問題といった事項に関する取組の相談が含まれております。
 具体的に三つ事例を紹介いたします。
 まず一つ目、新聞発表資料の3ページ目に掲載している事例3です。これはサプライチェーンの強靱化に関するものであり、金属素材の製造販売業者4社による海外からの原料の共同調達を行う取組です。
 この事例は、金属素材の原料を、これまで輸入実績のない国から新たに輸入するに際して、4社で共同調達を行おうというもので、共同調達の対象となる原料の調達シェア及びそれを用いた金属素材の製造販売シェアが、いずれも4社の合計で約95%又はそれ以上になるものの、国内の当該原料の調達量全体に占める、本件取組による調達割合は約5%と低いことなどから、独占禁止法上問題となるものではないと回答したものです。
 二つ目に御紹介しますのは、新聞発表資料の4ページ目に掲載しております事例7です。これはグリーン社会の実現に関するものであり、事業者団体が主導する、温室効果ガスの排出量削減に寄与する新たな輸送用機械向け燃料の先行導入のために行われる、当該燃料の共同生産等の取組です。
 この事例は、新たな燃料の生産に係る会員の市場シェアが相当程度高くなることが想定されるものの、燃料の販売は会員が自由に行うことや、共同生産の期間は先行導入の期間に限られるといった事情に加えて、グリーン社会の実現に資する燃料の商用化の契機となり、新たな技術や優れた商品を生み出すなどの競争促進効果も期待できることなどから、独占禁止法上問題となるものではないと回答したものです。
 それからもう一つは、新聞発表資料の5ページ目の事例8です。これは価格転嫁に関するもので、事業者団体が、会員による需要者への営業方法の適正化に向けた推奨事項として、「知的財産の適切な保護」や「労務費の適切な負担」等を盛り込んだ指針を作成する取組です。
 この事例は、事業者団体の自主規制等の活動であるわけですが、会員の競争手段を制限し、需要者の利益を不当に害するものであるとはいえないことなどから、独占禁止法上問題となるものではないと回答したものです。
 今回公表しました令和7年度の相談事例の特徴はこういったものになりますが、公正取引委員会のウェブサイト上では、過去に公表した相談事例集に収録されている多数の事例を閲覧できるようになっており、キーワードや行為類型等で検索することも可能です。各事例について、独占禁止法上の考え方を記載しておりますので、事業者等の皆様に相談事例集を参考にしていただくことによって、独占禁止法に関する理解が一層深まることを期待しております。
 本件の担当は取引部の相談指導室です。
 ちょっと長くなりましたが、冒頭、私からは以上です。

質疑応答

(問) 中東情勢を受けた緊急調査についてお伺いします。今まさに、燃料やナフサ由来の製品などの価格上昇、値上げが相次いでおり、そういった中で、中小企業がきちんと価格転嫁できているのかといった懸念が背景としてあるのかなと思うのですが、実際、この調査を行うに当たって、事務総長が具体的にどういった問題意識を持っていらっしゃるのか、背景をより詳しく御説明いただけたらと思います。
(事務総長) 先ほども申しましたが、従来から、特別調査という形で、価格転嫁の状況などについての調査を行っており、今年度も同様に、価格転嫁の状況について調査を行うわけですが、今回はそれに加えて、御指摘のあったような緊急調査という形のものを加えていきたいと考えているところです。
 背景ですけれども、今年の2月以降、中東情勢を受けて経済状況が大きく変化しております。そういった状況を踏まえ、石油関連製品などの価格転嫁の状況を特に把握する必要があるだろうということで、従来の価格転嫁の設問とは別に設問を追加して、今回調査を行います。緊急調査を通じて、今般の中東情勢の影響を踏まえた形での価格転嫁がしっかり行われているかも確認していきたいと考えているところでございます。
(問) 特にどういったところを重点的に調査し、知りたいのか、あと、仮に問題行為があった場合には、どのような対応をしていくのかも、改めてお願いします。
(事務総長) 調査対象は、従来の価格転嫁の調査と基本的にはオーバーラップすると思います。例えば、これまでの公正取引委員会での調査で、十分に価格転嫁が進んでいないと考えられる分野などを中心に対象にしていくことになろうかと思います。
 それから、問題があった場合についてもお尋ねがありましたけれども、今回行うのは、独占禁止法の違反の疑いがあるということで行う、いわゆる事件審査的なものとは違います。そのため、まずは現状の把握を行っていき、現状を把握する中で、独占禁止法上の問題につながるおそれがあることが分かった場合には、注意喚起文書を送付するといったことによって、独占禁止法違反に至る前の段階でしっかり未然防止を図っていく、つまり、価格転嫁が行われてないといった問題がないかをしっかり把握し、注意喚起を行っていくということをまず進めていきたいと思っております。
(問) やはり、このような環境下で、なかなか協議に応じてくれない事案があるかもしれないといった懸念を持っていらっしゃるわけでしょうか。
(事務総長) はい。現在、石油関連製品に関していろいろな報道も出ているかと思います。そういった中で、関連分野での価格転嫁が十分に行われていない可能性があるのではないかという問題意識は持っているところです。そういった問題意識の下で、今回、先ほど申し上げたような、従来とはちょっと別の形の設問を設けたいと考えているところでございます。
(問) 価格転嫁等に関わるルール整備に関して、下請法の改正をして、1月から取適法の運用が始まりましたが、今回の特殊指定の制定や改正というのは、そこでカバーし切れなかったところを独占禁止法のルールでカバーするということかと思います。今回のルール整備によって、一応、価格転嫁に関わる独占禁止法やその関連法令におけるルール整備はできたとお考えでしょうか。今回のこのルール整備の意義について御説明ください。
(事務総長) まず、今年の1月に改正下請法、つまり取適法が施行されました。その施行より前の段階から、取適法の対象にならない取引について問題があるのではないか、ということは指摘されていたところであります。公正取引委員会でも、企業取引研究会を開催して、そういった問題への対処をどういうふうにしていけばいいのかという検討を進め、その結果として、今回御説明している特殊指定の改正や制定、あるいは優越ガイドラインの改定に至ったものです。従って、その流れの中での一つの到達点ということにはなると思います。
 ただ、ルールを作ったり、考え方を示して終わり、ということではないと思っております。それを浸透させるべく周知をしっかりやっていくこと、それから、新たなルールがきちんと守られるかをしっかり見ていく必要があり、先ほど申しました実態把握というのも、その一環であると思います。
 さらに言えば、いや、まだこういう問題がある、この分野ではこういった問題があって、今の考え方では十分拾い切れてないじゃないかという御指摘も、場合によってはあるのかもしれません。今後の様々な実態調査やヒアリングを通じて、そういった論点が出てくれば、しっかり検討していくということはあると思います。
 ただ、これまでの取適法の施行あるいは特殊指定の改正などによって、それまでの検討の中で出ていた課題については、一旦の答えを出したと思っています。あとは、それが実際にしっかり定着していくように、我々も汗をかくことが大事だと思っております。
(問) 今回、物流特殊指定の改正案などに対するパブリックコメントの結果と、それに対する考え方を出されています。かなり、一つ一つの言葉について具体的な定義について示されていて、ゆくゆくは、これがQ&Aやガイドライン、あるいはリーフレットに載ってくることになって、問題となる行為を、より細かで具体的にイメージできるものになっていくのかなという印象を受けたのですが、今回示された考え方は、今後どのように位置付けられていくのでしょうか。
(事務総長) 新聞発表資料の別紙2と別紙3は、パブコメなどで寄せられた意見と、それについての公正取引委員会の考え方を整理して示したものになります。
 御質問の中で、今回意見に対する考え方として示された内容は、ガイドラインなどにつながっていくのではという御指摘もありましたが、今のところそのようには考えておりません。ただ、ここに書いたような考え方は、当然これを踏まえて、いろいろな法運用や相談対応での説明などを行っていくことになりますので、公正取引委員会として、これをベースにして、今後の取組を行っていくという位置付けになると思っております。
(問) 国交省の話で恐縮ですが、例えば、貨物運送事業法を執行するに当たっても、いろいろな告示や通達などが示されていますが、その中で、法律の中では定義し切れないもの、例えば、「荷待ち」とはどういうものをいうのか、「長時間の荷待ち」とは2時間以上を指しますよだとか、それが具体的にどういうものかといったことが示されます。そうなると、実際の運用において、事業者として守らなきゃいけないことだとはっきりと分かりやすいわけです。
 「考え方」という表現をされているので、これを守っていれば当然違反行為にはなりませんよということは分かるのですが、この考え方が、事業者に対して、どういう効力があるか、法的な位置付けがどのようなものなのかといった点を教えていただきたいです。
(事務総長) はい、分かりました。意見に対する考え方として示された内容は、まさに法律の考え方を分かりやすく示した部分もあれば、こういうことをするのが望ましいといった書き方をしている部分もあるのだと思います。後者については、それを守る、守らないというのと、法律に違反するか、しないかというラインとは違う場合もあるのだと思います。
 したがって、ケース・バイ・ケースにはなると思いますが、お示しした考え方を読んでいただければ、どういったことをやることが法律を守る上で必要なのか、あるいは、どういうことをやるのが望ましいのかというのは分かっていただけるのかなと思っております。説明会などの場で質問が出た場合もそうでしょうし、あるいは、法解釈に関するこちらからの説明においても、今回考え方として示したものに基づいて、しっかり説明していくということが必要だと考えております。
(問) ありがとうございます。非常に丸めて言ってしまうと、事業者が取るべき行動の指針みたいなイメージでよろしいでしょうか。
(事務総長) まさにそこがケース・バイ・ケースなところで、考え方に書かれているものは、これをやらないと法違反ですよと捉えることができるものばかりではないと私は認識しておりまして、ケース・バイ・ケースで読み取っていただく必要があるかなと思っております。
(問) 物流特殊指定についての質問です。着荷主を規制するということですが、運送会社も、発荷主であったら契約関係があるので問題だと言いやすいところもあると思いますが、着荷主は直接契約がないので通報しにくいのではないかと思います。公正取引委員会としては、どうやってこの違反を捉えていくお考えなのでしょうか。
(事務総長) 今回の物流の特殊指定の改正は、まさに仰ったとおり、発荷主だけではなく、着荷主にも着目した規制を入れようということで行ったものです。着荷主と契約関係があるのは発荷主ということになると思いますが、そのような契約関係の中で、どうやっていろいろな問題事案を発掘していくのかは重要な問題だと思っております。これまでも物流特殊指定に基づく実態調査を毎年行っておりますが、それはこれまでの特殊指定をベースにした調査でありますから、発荷主と運送事業者の間の取引についての調査をやっていたということになりますが、特殊指定が改正されましたので、今後は、着荷主にも着目した調査の仕方をすべきではないかなど、そういうところも、検討する必要があると考えております。
 それより前の段階で大事だと思っておりますのは、こういうふうに特殊指定が変わりましたよということをしっかり周知していくということです。何が違反になるのか、問題になるのかが、運送事業者も含め、十分に理解されていないと、なかなか公正取引委員会にも情報が寄せられないと思いますので、まずは、周知活動をしっかりやっていき、それから、各種調査を通じて幅広く情報を収集して、問題となり得る事案を幅広く発掘していく、ということが大事だと思っております。

以上

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