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近畿中国四国事務所長からのメッセージ(令和8年6月)

近畿中国四国事務所長からのメッセージ(令和8年6月)


「無常」の世界


 仏教の世界では、無常とは全ては移り変わるといった意味だそうです。時代の流れによって世の中は変わります。7月に入りますと、ここ近畿事務所でも来年度の職員採用に向けた官庁訪問の対応が始まります。私は、平成5年10月に公取委に入局しました。当時の私の採用面接の経験を思い出すと、世の中の変化を大いに感じることになります。
 まず、採用担当補佐の方に「弱い立場の人を助けるような仕事をしたいです!」と力強くお伝えしたところ、「そういう仕事じゃないんだよね」と軽く一蹴されました。事業者保護ではなく、競争秩序の維持を目的とする独禁法の視点からすればそのとおりです。しかし、現在の公取委の大きな課題の一つである取引適正化、すなわち取適法やフリーランス法の執行等に目を向けたらどうでしょう。取適法は、その目的として「中小受託事業者の利益の保護」を明示しています。構造的・類型的に発注者に対して劣位にある事業者の利益を保護するための取組と言えます。今なら、当時の私の発言は、あながち間違っていなかったように思います。
 次に、採用担当課長の方から「仕事と家族とどちらを優先するか?」との質問をいただき、私は即座に家族と回答しました。これに対しその方は「うーん」とうなり、複雑な表情をされておりました。当時の世の中で期待された回答は仕事だったのでしょう。これも、ワークライフバランスの重要性が叫ばれる現在であれば、私の回答は間違っていなかったように思います。
 世の中が変われば、価値観も変わり、それを前提とした評価も変わります。法執行実務では、事実と評価を峻別することが大原則です。常に客観的な事実を見据える視座を持ち続けたいものです。
 ちなみにこの文章のタイトルは、ローリングストーンズのアルバム「レット・イット・ブリード」に入っている「You can’t always get what you want」の邦題に由来します。コーラスの入った美しい名曲でライブの定番曲です。これは、いつになっても変わらないものの例かもしれません。


令和8年6月 近畿中国四国事務所長 南 雅晴

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