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債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方

債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方

平成14年11月12日
公 正 取 引 委 員 会
 
改定 平成18年  1月  4日
改定 平成22年  1月  1日
改定 平成26年  4月  1日
改定 平成27年  4月  1日
改定 令和 元年10月15日
改定 令和  3年11月22日
改定 令和  4年11月  1日

 

1 債務の株式化により、銀行業又は保険業を営む会社(以下「銀行又は保険会社」という。)が他の国内の会社(独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)。以下「法」という。)第10条第3項で規定する「他の国内の会社」をいう。以下同じ。)の議決権を取得するに際して、当該会社の総株主の議決権の5%(保険会社の場合は10%。以下同じ。)を超えて保有することとなる場合については、法第11条第1項第6号及び同条第2項の規定により、当該会社の総株主の議決権の5%を超えて保有することとなった日から1年を超えて当該議決権を保有しようとする場合には、あらかじめ公正取引委員会の認可を受けなければならない。
 債務の株式化に係る法第11条第2項の規定による公正取引委員会の認可についての考え方は以下のとおりである。
 なお、この「考え方」は、平成14年11月28日から適用し、「債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」(平成11年10月1日 公正取引委員会)は、廃止する。
(注1)「債務の株式化」とは、他の国内の会社が、銀行又は保険会社との間の合理的な経営改善のための計画に基づき、当該他の国内の会社の債務を消滅させるために行う株式の発行又は自己の株式の移転であって、銀行又は保険会社が当該株式を取得することによって相当の期間内に当該他の国内の会社の経営の状況が改善されることが見込まれるものをいう(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第11条第1項第6号に規定する他の国内の会社の事業活動を拘束するおそれがない場合を定める規則(平成14年公正取引委員会規則第8号)第1号に該当)。
(注2)会社更生法の規定に基づく更生計画の定めによって他の国内の会社の株式を取得する場合には、その取得は、法第11条の規定の適用については、代物弁済とみなされ、当該株式に係る議決権を総株主の議決権の5%を超えて保有することとなった日から1年を超えて当該議決権を保有しようとする場合には、法第11条第2項の規定により、あらかじめ公正取引委員会の認可を受けなければならない。この場合の認可については、この「考え方」を適用する。
 
2 公正取引委員会は、銀行又は保険会社が、債務の株式化により、他の国内の会社の議決権をその総株主の議決権の5%を超えて保有することとなった日から1年を超えて当該議決権を保有しようとする場合には、次の(1)及び(2)のいずれにも該当しないものであれば、法第11条第2項の規定により認可を行うこととする。
(1) 事業支配力が過度に集中することとなる場合
(2) 一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合
 
3(1) 銀行が、債務の株式化により、他の国内の会社(上場されている株式の発行者である会社以外の会社であって、以下のアからウまでの全てに当たる会社に限る。)の議決権をその総株主の議決権の5%を超えて保有することとなった日から1年を超えて当該議決権を保有しようとする場合には、原則として、上記2(1)及び(2)のいずれにも該当しないものとして、法第11条第2項の規定により一定の期限(注3)を付して認可を行うこととする。
ア 銀行法(昭和56年法律第59号)第16条の2第1項第13号に規定する内閣府令で定める会社として、銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第10号)第17条の2第6項に規定する会社(同項第10号に該当するものを除く。)
イ 銀行等(銀行又は銀行法施行令(昭和57年政令第40号)第16条の8各号に掲げる者をいう。)による人的な又は財政上の支援その他の当該銀行等が行う事業の再生のための支援をその内容に含む銀行法第16条の2第1項第13号の計画を作成している会社
ウ イの計画について、銀行法施行規則第17条の2第6項第9号イからトまでのいずれかに該当するものが関与して策定している会社
(2) 保険会社が、債務の株式化により、他の国内の会社(上場されている株式の発行者である会社以外の会社であって、以下のアからウまでの全てに当たる会社に限る。)の議決権をその総株主の議決権の10%を超えて保有することとなった日から1年を超えて当該議決権を保有しようとする場合には、原則として、上記2(1)及び(2)のいずれにも該当しないものとして、法第11条第2項の規定により一定の期限(注3)を付して認可することとする。
ア 保険業法(平成7年法律第105号)第106条第1項第14号に規定する内閣府令で定める会社として、保険業法施行規則(平成8年大蔵省令第5号)第56条第6項に規定する会社(同項第10号に該当するものを除く。)
イ 保険会社及び銀行等(保険業法第276条の登録を受けた生命保険募集人である保険業法施行令(平成7年政令第425号)第39条各号に掲げる者をいう。)による人的な又は財政上の支援その他の当該保険会社及び当該銀行等が行う事業の再生のための支援をその内容に含む保険業法第106条第1項第14号の計画を作成している会社
ウ イの計画について、保険業法施行規則第56条第6項第9号イからトまでのいずれかに該当するものが関与して策定している会社
(注3)一定の期限までの期間は、原則として2年(当該他の国内の会社が中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第2条第1項に規定する中小企業者の場合は原則として9年)を限度として認可することとし、その限度を超える期間の認可の可否については、上記2(1)及び(2)の該当性を個別に検討することとする。
 
4 法第11条第1項第6号の場合に係る同条第2項の規定に基づく認可については、銀行又は保険会社が「当該議決権を速やかに処分することを条件としなければならない」と規定されているが、債務の株式化に係る認可の場合には、これは「当該議決権を遅くとも合理的な経営改善のための計画の終了後速やかに処分することを条件としなければならない」との趣旨であるとする。
 
5 認可の期間が1年を超える場合には、認可を受けた銀行又は保険会社が各事業年度終了後速やかに当該計画の進ちょく状況等について公正取引委員会に報告することとする。
(注4)当該計画が早期に達成され、認可期間中に上記2(1)又は(2)に該当することとなるなど、認可の要件である事実が消滅し、又は変更したと認めるときは、公正取引委員会は、法第70条の3第1項の規定に基づいて、認可を取り消し、又は変更することができる。

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