1 優越的地位の濫用とは
優越的地位の濫用とは、自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のことです。この行為は、独占禁止法により、不公正な取引方法の一類型として禁止されています。
2 下請法(取適法)とは
下請法(取適法)は、下請代金の支払遅延等を防止することにより、親事業者の下請事業者に対する取引を公正にし、下請事業者の利益を保護するために制定された法律であり、適用対象を明確にし、違反行為の類型を具体的に法定したことが特徴です。
例えば、下請事業者に責任がないのに、親事業者が発注後に下請代金の額を減じることや、下請事業者からの請求書が提出されないことを理由に、下請代金の支払日を遅らせることが禁止されています。
発注者・受注者の対等な関係に基づき、事業者間における価格転嫁及び取引の適正化を図るための「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が令和7年5月16日に成立し、同月23日に公布されました。本改正により、法律名の「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)は、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)となります。本改正法は、令和8年1月1日から施行されます。