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(平成13年度:事例14)(株)親和銀行及び(株)九州銀行の持株会社の設立による経営統合

(平成13年度:事例14)(株)親和銀行及び(株)九州銀行の持株会社の設立による経営統合

1 本件の概要

 本件は,長崎県を主たる営業地域とする(株)親和銀行(以下「親和銀行」という。)と長崎県及び福岡県を主たる営業地域とする(株)九州銀行(以下「九州銀行」という。)が,重複店舗の統廃合,システム統合等による経営基盤の強化等を目的として,共同で持株会社を設立して経営統合を行うものである。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

ア 役務の範囲

 預金業務及び貸出業務のそれぞれについて,一定の取引分野が成立すると判断した。

イ 地理的範囲

 親和銀行及び九州銀行の営業地域等からみて,長崎県全域において一定の取引分野が成立すると判断した。また,地域経済の実態等からみて,長崎県内の地域別にも,一定の取引分野が成立すると判断した。

(2) 競争への影響

 近年,我が国においては金融市場の自由化が進みつつあるところ,直接金融の進展により企業の資金調達手段が多様化するとともに,都市銀行等による中小企業向け取引の拡充等により,都市銀行や地方銀行という枠を超えた競争が活発化する動きがみられる。また,地方銀行,信用金庫等の地域金融機関が,個人・企業に対して多様な商品・サービスの提供等を行う動きがあり,地域金融機関間の競争も活発化しつつあるとみられる。

 本件統合により,長崎県における当事会社の合算シェアは,預金業務については20%強で,その順位は第2位となる。貸出業務については約35%で,その順位は第1位となるが,当事会社に匹敵するシェアを有する地方銀行が有力な競争業者として存在しているほか,他の地方銀行等の競争業者も多数存在する。
 また,長崎県北部の複数の地域において,貸出業務における当事会社の合算シェアが高くなり,その順位がそれぞれ第1位となる。このため,これらの地域において競合する金融機関,当事会社から融資を受ける事業者等に対するヒアリング調査を実施し,慎重に検討したところ,これらの地域においては,(1)有力な地方銀行が積極的な営業活動を行っていること,(2)地方銀行,農協等の競争業者が相当数存在すること,(3)地域外に所在する都市銀行及び信用金庫からも融資が行われていること,という状況が認められる。

 以上の状況から,上記2(1)で画定したいずれの取引分野についても,競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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