平成21年度における主要な企業結合事例

1 企業結合計画に関する独占禁止法上の届出制度等

 平成21年の独占禁止法改正により,従前は,一定の要件を満たす株式取得又は所有について,公正取引委員会に事後に報告することとされていたが,改正後は,あらかじめ公正取引委員会に届け出ることとされた。現在,企業結合を行う会社の国内売上高合計額が200億円を超えるなどの要件を満たす企業結合については,あらかじめ公正取引委員会に届け出るとともに,届出受理の日から30日を経過するまでは,当該届出に係る企業結合をしてはならないこととされている。
 公正取引委員会は,届出のあった企業結合について,独占禁止法上の検討を行い,届出会社からの報告や資料が必要な場合は,届出受理の日から30日以内に届出会社に対して報告等を求め,原則として,報告等を受理した日から90日以内に独占禁止法上の判断を行う。
 当該企業結合が独占禁止法に違反すると判断した場合は,予定される排除措置命令の内容等について同命令の名あて人となるべき者に対して通知し,意見を述べ,証拠を提出する機会を付与した上で,排除措置を命じることとなる(「平成21年度における主要な企業結合事例」参考1)。また,排除措置命令に不服がある場合は,公正取引委員会の審判及び裁判による判断を求めることもできる。

2 企業結合計画に関する事前相談

 上記1の独占禁止法の規定に基づく届出制度とは別に,企業結合計画に関する事前相談が行われることがある。これは,企業結合を計画する会社から,届出前に,当該計画が独占禁止法の規定に照らして問題があるか否かについての相談を受け,これに対して公正取引委員会が回答するものである。事前相談の申出要件や手続等については,「企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針」(以下「対応方針」という。)において,事前相談の申出が行われた場合には,必要があれば原則20日以内に追加資料リストを提示し,追加資料が提出された日をもって第1次審査(原則30日以内)を開始し,更に詳細な審査(第2次審査)が必要な場合は,その旨当事会社に通知するとともに第2次審査を行うために必要と判断される具体的な資料の提出を要請し,当該資料が提出された日から原則90日以内に審査結果を回答すること等を明らかにしている。事前相談は,企業結合の準備を会社が円滑に進めることができるようにするために設けられているものであるが,相談を行うかどうかは会社の任意であり,平成21年度の場合,届出件数は985件であるのに対して,独占禁止法上の問題の有 無について回答し,容認した企業結合案件は24件(約2%)となっている。

3 主要な企業結合事例について

 公正取引委員会は,企業結合審査の透明性・予見可能性の向上を図る観点から,これまで,企業結合審査における独占禁止法の適用の考え方や事前相談への対応方針を「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(以下「企業結合ガイドライン」という。)や「対応方針」として策定・公表(それぞれ平成22年1月に改定)するとともに,これまでの主要な企業結合事例に係る審査結果について取りまとめて公表してきたところである。
 本年度についても,平成21年度における主要な企業結合事例に係る審査結果を公表するとともに,同年度の企業結合事例に係る関連データを提示することとした。

 公正取引委員会では,企業結合を計画する会社が,企業結合ガイドラインとともに,今回公表する主要な企業結合事例の審査結果等を併せて活用することを期待している。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局企業結合課
電話 03-3581-3719(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp

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