株式取得の届出の要否について

<株式取得の届出の要否について>

<株式取得の届出の要否について>

問1 合併(又は分割,共同株式移転,事業等の譲受け)については,同一の企業結合集団に属する会社間での合併等を届出免除としていますが,株式取得については,そのような規定がありません。株式取得会社及び株式発行会社が同一の企業結合集団に属する会社である場合に届出は必要ですか。

答1 独占禁止法においては,企業結合集団に属する会社等の保有する議決権も含めて議決権保有割合が届出閾値(いきち)(株式取得について届出義務の対象となる議決権保有割合の数値をいいます。以下同じ。)を超えることとなるか判断することとしているところ,株式発行会社の株式を同一の企業結合集団に属する会社等から取得した場合には,議決権保有割合に変動が生じないことから,届出は不要ですが,同一の企業結合集団に属する会社等以外から取得した場合には,議決権保有割合に変動が生じることから,届出閾値(いきち)を超える場合には届出は必要です。

問2 独占禁止法においては,企業結合集団に属する会社等の保有する議決権も含めて議決権保有割合が届出閾値(いきち)を超えることとなるか判断していますが,例えば,A社が同一の企業結合集団に属さないB社の株式を25%保有している場合,当該株式をA社の子会社であるC社に売却するときに,届出は必要ですか。

答2 御質問のケースの場合,A社の属する企業結合集団の議決権保有割合に変動が生じないことから,届出は不要です。

問3 株式発行会社の自己株式の取得により総株主の議決権の数が減少することに伴って届出閾値(いきち)を超えることとなる場合であっても届出は必要ですか。

答3 届出の対象行為は,株式の「取得」行為に限定することとしているため,株式発行会社の自己株式の取得による議決権保有割合の増加については,株式発行会社の株式を取得するという届出の要件に該当しないことから,届出は不要です。

問4 平成21年の改正前には,独占禁止法第10条第2項ただし書において,「株式発行会社の発行済の株式の全部をその設立と同時に取得する場合」については報告が免除されていたと思いますが,現行の独占禁止法にはそのような規定がありません。届出は必要ですか。

答4 届出基準が総資産基準から国内売上高基準に変更されており,設立されたばかりの株式発行会社には国内売上高がなく,届出基準に該当しないことから,届出は不要です。

問5 合併(又は分割)により他の会社の株式に係る議決権を取得することとなり,届出書の提出が必要となる届出閾値(いきち)を超えることとなる会社があります。合併(又は分割)の届出と同時に,株式取得の届出書の提出は必要ですか。

答5 合併(又は分割)の届出において当該株式取得に関する事項を記載したときは,株式取得の届出書の提出は不要です(届出規則第2条の6)。

問6 株式交換の場合でも株式取得の届出は必要ですか。

答6 株式交換に限らず,売買,譲渡等いかなる取得方法であっても,届出の要件を満たす場合は届出は必要です。

問7 当社はいわゆる名義株を実質所有していますが,株式に係る議決権の届出閾値(いきち)の算定対象となりますか。

答7 対象となります。

問8 株式に係る議決権を届出閾値(いきち)を超えて取得したのですが,同日付けで当該株式を転売しました。このような場合にも株式取得の届出は必要ですか。

答8 届出は必要です。

問9 最終親会社A社の子会社であるB社及びC社が共同株式移転を行うことにより,中間持株会社であるD社を設立します。B社及びC社は同一企業結合集団に属する会社であるため共同株式移転の届出は不要と理解しています。その際,最終親会社であるA社は,新設された持株会社D社の株式を取得することとなりますが,この株式取得の届出は必要ですか。

答9 届出基準に該当すれば,A社によるD社の株式取得について,届出が必要となります。

問10 当社はA社(子会社が無い)の株式に係る議決権を届出閾値(いきち)を超えて取得することを予定しています。A社(株式発行会社)は最終事業年度の決算では国内売上高の合計額が40億円ですが,その後,B社から事業(国内売上高30億円)の譲渡を受けています。株式取得の届出は必要ですか。

答10 届出が必要となる場合があります。
          A社は,決算期の売上高から算出した国内売上高の合計額が40億円ですが,B社から事業の譲渡を受けており,当該譲渡対象部分に係る国内売上高について,B社が決算を経ている場合には,当該国内売上高をA社の国内売上高に合算して国内売上高の合計額を計算してください。

問11 当社はA社(子会社が無い)の株式の全てを10月にB社から買い取ることを予定しています。A社(株式発行会社)はB社が今年の4月に設立した会社で,B社の事業の一部(国内売上高50億円超)を譲渡されています。A社は決算を行っていない会社ですが,株式取得の届出は必要ですか。

答11 届出が必要となる場合があります。
         A社は決算を行っていませんが,B社から事業の一部を譲り受けており,当該譲渡対象部分に係る国内売上高について,B社が決算を経ている場合には,当該国内売上高をA社の国内売上高として国内売上高の合計額を計算してください。

問12 当社はA社の株式の全てを10月1日にB社から買い取ることを予定しています。A社(株式発行会社)はB社が10月1日に単独新設分割により設立を予定している会社で,B社の事業の一部(国内売上高50億円超)を承継する予定です。株式取得の届出は必要ですか。

答12 届出が必要となる場合があります。
   A社は設立された直後のため売上高はありませんが,B社から事業を承継しており,当該分割対象部分に係る国内売上高について,B社が決算を経ている場合には,当該国内売上高をA社の国内売上高として国内売上高の合計額を計算してください。

問13 設立して間もない会社(未決算)であって,既に国内売上高を合計した額が50億円を超える会社(株式発行会社)の株式に係る議決権を届出閾値(いきち)を超えて取得しようと考えています。株式取得の届出は必要ですか。

答13 設立して間もない会社に子会社が無い場合には,最終事業年度の売上高が無く,確定した国内売上高が把握できませんので,届出は不要です。
         ただし,設立して間もない会社であっても,子会社を保有しており,当該子会社の国内売上高を合算して国内売上高を合計した額が50億円を超えている場合には,届出が必要です。

問14 昨年の10月に設立し,今年の3月に初めて決算を行い,6月に取締役会(又は定時株主総会)の承認を受けた50億円の国内売上高がある会社の株式の全部を買い取ることを予定しています。当該会社の売上高は1年間に満たないものですが,株式取得の届出は必要ですか。

答14 1年間に満たない売上高であっても,届出基準額を超えている場合には,届出が必要です。

問15 今年の4月に国内売上高合計額が200億円を超えるA社と,同じく50億円を超えるB社が新設合併(合併の届出書を提出済)し,C社が設立されています。C社は同年10月にさらに国内売上高合計額が50億円を超えるD社と合併を予定しています。C社としては,未決算ですが,D社との合併についての届出は必要ですか。

答15 届出は必要です。
         その際,合併前のA社とB社の国内売上高合計額を単純合算したものをC社の国内売上高合計額としてください。

問16 今年の4月に国内売上高合計額が200億円を超えるA社と,同じく50億円を超えるB社が共同新設分割(分割の届出書を提出済)し,C社を設立しています。C社は同年10月にさらに国内売上高合計額が50億円を超えるD社と合併を予定しています。C社としては,未決算ですが,D社との合併についての届出は必要ですか。

答16 届出は必要です。
         その際,分割前のA社とB社の分割対象部分に係る国内売上高を単純合算したものをC社の国内売上高合計額としてください。

問17 X社の子会社であるA社がB社を吸収合併し,B社の株主に対してX社の株式を交付する,いわゆる三角合併を行うこととした場合,どのような届出が必要ですか。

答17 届出基準に該当する場合には,(1)A社によるB社の吸収合併と(2)B社の株主によるX社の株式取得に関する届出が必要です。

問18 X社の子会社であるA社をB社が吸収合併し,X社に対してB社の株式を交付する場合,どのような届出が必要ですか。

答18 届出基準に該当する場合には,(1)B社によるA社の吸収合併と(2)X社によるB社の株式取得に関する届出が必要です。

ページトップへ