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(平成11年度:事例13) 日本たばこ産業(株)によるアール・ジェイ・アール・ナビスコ・ホールディングズ社の米国外のたばこ事業の譲受け

(平成11年度:事例13) 日本たばこ産業(株)によるアール・ジェイ・アール・ナビスコ・ホールディングズ社の米国外のたばこ事業の譲受け

1 本件の概要

 本件は,日本たばこ産業(株)(以下「JT」という。)が,世界第3位のたばこ事業者であり,世界的に著名な「セーラム」,「ウィンストン」,「キャメル」等のブランドを有する米国のRJRナビスコホールディングス社(以下「RJRナビスコ」という。)から,今後の海外における成長基盤の確保等を目的として,同社の保有する子会社の株式,商標権,工場等を取得し,米国以外の国・地域(日本を含む。)における同社のたばこ事業を譲り受けるものである。
 たばこの製造・販売については,国内ではJTが独占的な製造権を有しており,海外メーカーの製品については,特定販売業者として大蔵大臣の登録を受けた者が輸入・販売している。現在,RJRナビスコブランドのたばこについては,総合商社(沖縄県における輸入については,別の会社)が輸入・販売を行っている。また,RJRナビスコは,当該商社との共同出資会社を国内に設立しており,当該共同出資会社がRJRナビスコブランドのたばこの国内における広告宣伝及び営業活動を行っている。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野について

 本件においては,我が国におけるたばこの販売分野に一定の取引分野が成立すると判断した。

(2) 競争への影響

 国内のたばこの販売分野においては,JTが80%弱の販売シェアを有している。また,海外の有力メーカーは既に国内市場に参入しており,その新規参入は今後期待できない状況にある。このため,たばこ市場の競争を促進するためには,国内市場に既に参入している海外有力メーカーの役割が大きいと考えられる。
 現在,RJRナビスコは,その国内におけるたばこの販売シェアは3%弱であるが,近年シェアが拡大しつつあるとともに,世界的に著名で国内的にも潜在的な競争力があると考えられる複数のブランドを有しているところ,RJRナビスコブランドのたばこの存在は国内のたばこ市場における競争を促進する要因として評価される。このため,本件によって国内のたばこの販売分野におけるJTの有力な競争事業者の数が減少する場合には,本件譲受けは国内のたばこの販売分野における競争に大きな影響を及ぼすこととなる。

(3) 当事会社の対応

 当委員会は,JTに対し,本件譲受けは上記(2)の問題があり,国内のたばこの販売分野における競争を実質的に制限することとなるおそれがある旨の指摘を行った。これに対し,JTは,現在の国内のたばこ市場の状況及びJTの地位にかんがみ,RJRナビスコブランドたばこの日本国内向けの輸出に関与せず,また,国内への輸入及び国内での販売を自ら行わない等の措置を講ずる旨の申出を行った。

(4) 当委員会の判断

 JTが申し出た措置が講じられれば,国内におけるRJRナビスコブランドのたばこは引き続きJTに対する競争単位として機能することとなることから,本件譲受けにより国内のたばこの販売分野における競争を実質的に制限することとはならないものと判断した。

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