(平成11年度:事例15) C社とD社の合併

1 本件の概要

 本件は,Y製品の製造販売分野において第1位のC社と,第3位のD社が,Y製品の需要が伸びない中,合併による合理化を図る必要があること,Y製品に替わり伸長が期待される新分野へ参入するための研究開発力を備える必要があること等から合併しようとするものである。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

 本件における一定の取引分野については,Y製品は,品種ごとに用途,ユーザーが異なることから,Y製品の各品種ごとに成立すると判断した。

(2) 競争への影響及び問題となり得る点についての指摘

 当委員会は,当事会社に対し,以下の事情を総合的に勘案すると,(1)で画定したY製品の各品種ごとの製造販売分野において競争を実質的に制限することとなるおそれがある旨の指摘を行った。

ア 当事会社の地位及び市場の状況

 本件行為によって,Y製品の各品種ごとの製造販売分野において,当事会社の合算シェアが40%を超えるものが複数あり,一部の品種では,当事会社の合算シェアは60%超となる。

 また,各品種ごとの製造販売分野において,上位3社の累積集中度が70~85%程度と高くなる。

イ 輸入

 Y製品の輸入はほとんどなく,輸入品が国内市場に対する牽制力として機能するとは評価できない。

ウ ユーザーの購買力

 Y製品のユーザーは,中小企業も多いことから,ユーザーの購買力は必ずしも強いとはいえない。

(3) 当事会社の対応

 当事会社に対し,上記の点を指摘したところ,当事会社からは,本件行為は行わない旨の申出があった。

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