<判別手続一般>

<特定通信等>

<適切な保管>

<電子データ一般>

<電子データの適切な保管>

<申出書・概要文書共通>

<申出書>

<概要文書>

<判別手続一般>

問1 判別手続とは、どのような手続ですか。

答1 公正取引委員会の行政調査手続において提出を命じられた、課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信(特定通信)の内容を記録した物件で、適切な保管がされていること等の要件を満たすことが確認されたものは、審査官がその内容にアクセスすることなく速やかに事業者に還付する手続です。
(注)指針(第4の2)では、事件ごとに指定された職員(判別官)が行う要件の確認の手続のことを指して「判別手続」と呼んでいます(狭義の判別手続)。

問2 課徴金減免対象被疑行為とは、どのような行為ですか。

答2 課徴金減免対象被疑行為とは、具体的には、
・不当な取引制限に該当する行為であって課徴金納付命令の対象となる違反行為
・事業者団体による一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為であって課徴金納付命令の対象となる違反行為
の疑いのある行為(例えば、カルテルや談合の疑いのある行為)のことです。
 なお、課徴金減免制度の対象ではない私的独占や不公正な取引方法についての違反被疑行為は、含まれません。

問3 判別手続の対象となる調査を教えてください。

答3 公正取引委員会が行う課徴金減免対象被疑行為に対する行政調査手続を対象としています。犯則事件の調査手続(裁判官の発する許可状により差押等を行う場合)は対象としていません。

問4 判別手続を利用するための手順と、そのためにしておくべき事前準備を教えてください。

答4 判別手続を利用するためには、審査官がその物件の提出命令を行うに際し、提出命令を受けた事業者(事業者の役員等が提出命令を受けた場合を含みます。)から、その物件が判別手続の対象となるものであり判別手続を利用したい旨を審査官に伝達(口頭)し、その旨を記載した申出書(書面)を審査官に提出してください。
 また、提出命令を受けた日から2週間以内に、その提出命令により留置された物件について、その物件に記録された特定通信ごとに必要な事項を記載した概要文書を、公正取引委員会に提出する必要があります。
 そのための事前準備としては、判別手続の利用を受けようとする物件について、あらかじめ当該物件への適切な表示、特定の保管場所での保管、物件の内容を知る者の範囲の制限といった適切な保管をしておく必要があります。また、概要文書の提出については2週間という期限があるため、法務部門において担当者を定め、あらかじめ物件及び特定通信の概要を把握しておくことが望ましいと考えます。

問5 判別手続によって還付される物件は、どのような物件ですか。

答5 特定通信の内容を記録したものであること、特定通信に当たらない内容の記録が含まれていないこと、検査を妨害すること等に関するものではないこと、適切に保管されていたこと等の要件(規則第23条の3第1項参照)を満たすことが確認された物件が還付されます。
 なお、これらの要件が満たされているかは、事件ごとに指定された職員(判別官)が確認します。

問6 判別官に指定されるのは誰ですか。

答6 公正取引委員会の官房の職員から、公正取引委員会が事件ごとに指定します。当該事件の調査に従事したことのある職員は判別官に指定されません。

問7 電子データの取扱いはどうなりますか。

答7 電子データは、原則として、物件と同様に取り扱います。ただし、電子データの性質等を踏まえ、適切な保管等について物件と異なる点を明らかにしています(指針第7参照)。

問8 申出書の提出は、具体的にいつまでに行えばよいですか。

答8 まず、できる限り具体的な物件の範囲を指定して判別手続を利用したい旨を審査官に伝達(口頭)してください。当該物件に対する審査官による表示及び保管場所が適切であることの確認がなされた後に、申出書(書面)を作成してください。当該申出書は、当該物件に対する提出命令が発せられる前までに作成・提出する必要があります。

問9 判別手続により留置された物件を閲覧・謄写することはできますか。

答9 物件の提出命令を受けた事業者等からの求めがあれば、立入検査の翌日以降に、日程調整を行った上で、公正取引委員会が指定する場所において、提出物件(留置物)の閲覧・謄写が認められます(規則第18条参照)。判別手続により留置された物件は、判別官等の立会いの下、事件調査又は判別手続に支障を生じない範囲で閲覧・謄写を行うことができます。
 なお、謄写は、事業者等所有の複写機だけではなく、デジタルカメラ、スキャナー等の電子機器を用いて行うことも認められます。

問10 規則第23条の4第3項では、判別官が事業者に対して「資料の提出その他の必要な協力を求める」とされていますが、具体的にはどのようなものですか。

答10 判別官は、物件の確認を行うに当たり、必要に応じて説明や補足資料の提出を求めることがあります。
 典型的に想定される協力は、概要文書の記載内容に関する説明や、物件の保管場所に関する資料(保管場所のフロア図等の物件の保管場所の状況が分かる資料や、その保管場所を管理している部署等に関する資料など)、物件の内容を知る者の範囲に関する資料(組織図等の役員等の所属や部署等の変遷が分かる資料など)などの提出です。

<特定通信等>

問1 特定通信とはどのようなものか具体的に教えてください。

答1 特定通信とは、課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信のことです。
 具体的には、課徴金減免対象被疑行為をした事業者が弁護士に対して秘密に行った法的意見を求める相談又はそれに対して当該弁護士が秘密に行った回答が、特定通信に該当します。

問2 特定通信の相手方となる弁護士の条件を教えてください。

答2 弁護士法の規定による弁護士であって事業者から独立して法律事務を行う弁護士であることが条件です。
 外国弁護士等及び事業者と雇用関係にある組織内弁護士は、該当しません。ただし、組織内弁護士が、当該事業者の指揮命令監督下になく、独立して法律事務を行っていることが明らかな場合には、当該指示があった後は、当該事業者から独立して法律事務を行う場合に該当します。具体的には、例えば、組織内弁護士が、カルテルに関する内部通報を契機として、法令遵守のために中立の立場で社内監査を行うべき旨の業務命令書を受け取り、社外監査役の直下に配置され、その他の業務から離れたような場合です。
(注)外国弁護士等とは、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法に規定する外国弁護士及び外国法事務弁護士のことを指します。

問3 特定通信の内容を記録した物件とはどのようなものか具体的に教えてください。

答3 特定通信の内容を記録した物件とは、具体的には、例えば、
・事業者から弁護士への相談文書
・弁護士から事業者への回答文書
・弁護士が行った社内調査に基づく法的意見が記載された報告書
等です。
 他方、例えば、
・社内アンケート調査結果
・役員等へのヒアリング記録
等、事実を主たる内容とする文書等は、特定通信の内容を記録した物件に該当しません。

問4 事業者から弁護士への相談内容が記載されている文書に、その相談の前提となる事実も記載されている場合、その文書は特定通信の内容を記録した物件に該当しますか。

答4 当該文書に相談の前提となる事実が記載されていたとしても、全体として課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見についての弁護士との相談文書といえる場合には、特定通信の内容を記録した物件に該当します。

問5 判別手続の利用を申し出た物件に、特定通信に当たらない内容が記録された文書等が含まれている場合、その物件はどう取り扱われるのでしょうか。

答5 特定通信の内容を記録した物件に特定通信に当たらない内容が記録された文書等(対象外文書等)が含まれている場合、当該物件が判別手続によって還付されるためには、公正取引委員会(判別官)に対して当該対象外文書等の写しを提出等することが必要になります。したがって、文書等を管理するに当たっては、特定通信の内容を記録した文書等とそれ以外の文書等は、できる限り区別して保管することが望ましいと考えます。

問6 「課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見」とは具体的にどのようなものですか。

答6 「課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見」として典型的に想定されるのは、課徴金減免申請や調査協力を検討するための法的意見です。
 なお、それ以外の法的意見であっても、例えば、課徴金減免対象被疑行為があったかどうか不確定な段階で取得した法的意見など、減免申請の検討に至っていない段階での法的意見も、結果として課徴金減免申請等に資する可能性があるため、「課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見」に含まれ得ます。

<適切な保管>

問1 適切な保管とは、どのようなものですか。

答1 特定通信の内容を記録した物件が判別手続により還付されるためには、当該物件が適切に保管されていたことが必要となります。
 具体的には、「表示」、「保管場所」及び「内容を知る者の範囲」の各要件について、いずれも満たす場合には、適切に保管されていたものと認められます。

問2 特定通信の内容を記録した物件にどのような表示を行えばよいのか教えてください。

答2 審査官が物件の内容にアクセスしないようにするため、物件の表面その他の見やすい箇所に特定通信を記録したものである旨が明らかとなるような表示をしてください。これに該当する表示は、例えば、ファイルの背表紙などに「公取審査規則特定通信」や「公取審査規則第23条の2第1項該当」と記載することです(指針第2の2(1)参照)。
 文言については、このほかの表示であっても、特定通信の内容を記録したものである旨が識別できるように表示されていれば認められますが、判別手続の円滑な運用・利用の観点から、まずは、例示の表示をしてください。

問3 「秘匿特権」や「attorney-client privilege」といった表示は、適切な保管の要件を満たす表示として認められますか。

答3 「秘匿特権」や「attorney-client privilege」といった表示は、課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信(特定通信)の内容を記録した文書以外にも付されることが一般的にあり得る表示であり、審査官等が特定通信の内容を記録した物件であることを識別できず、特定通信かそれ以外の通信であるかを審査官が内容にアクセスして確認せざるを得なくなるため、適切な表示とは認められません。新たに導入する判別手続における審査官のアクセスを避ける趣旨から、特定通信の内容を記録した物件であることが容易に識別できる表示を求めています。
 なお、課徴金減免対象被疑行為に関する法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信(特定通信)の内容を記録した物件であることが識別できるように表示されていれば、「秘匿特権」等の表示や英語表示が併記されていることにより適切な保管の要件を欠くものではありません。

問4 特定通信の内容を記録した物件は、どのような場所で保管すればよいのか教えてください。

答4 特定通信の内容を記録した物件が適切に保管されていたと認められるためには、事業者として管理する特定の場所(弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等が管理する場所に限ります。)で保管し、当該物件を保管していた場所とそれ以外の物件を保管していた場所とを外観上区分しておくことが必要となります。
 これに該当する保管方法は、例えば、特定通信の内容を記録した物件が保管されていることを表示した、法務部門が管理する書架に保管し、当該箇所に特定通信の内容を記録した物件以外の物件は保管されていないことです(指針第2の2(2)参照)。

問5 保管場所に、特定通信の内容を記録した物件が保管されている旨を表示する必要がありますか。

答5 保管場所である旨の表示がなかったとしても、事業者として管理する特定の保管場所で保管し、特定通信の内容を記録した物件を保管していた場所とそれ以外の物件を保管していた場所とが外観上区分されていれば、適切な保管がなされていたと認められます。
 他方、保管場所である旨の表示があれば、区分して保管されていることが明確になるため、判別手続の円滑な運用・利用の観点から、保管場所の表示をしてください。

問6 特定通信の内容を記録した物件について、事業部門で保管していた場合でも、適切な保管として認められますか。

答6 課徴金減免対象被疑行為に関与していた事業部門やその役員等については、「弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等」には該当しないため、適切な保管とは認められません。
 特定通信の内容を記録した物件の保管場所を「弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等が管理する場所に限る」としているのは、事業者としての適切な保管の観点から、また、判別手続の円滑な運用・利用の観点から、主要な検査対象となり得る事業部門の営業担当者等が判別手続の対象となる物件を保管するのではなく、法務部門で保管・管理することを求めるものです。

問7 法務部門がない場合、どのような場所で保管すれば適切な保管として認められますか。

答7 特定通信の内容を記録した物件の保管場所を管理すべき「弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等」とは、典型的には法務部門やその役員等ですが、事業者の組織の在り方は様々であり、法務部門がないことも考えられます。その場合には、例えば、総務部門など当該事業者において弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等の担当・所掌事務の実態や対応等についての説明を踏まえ、個別に判断することとなります。

問8 特定通信の内容を記録した物件の内容を知る者の範囲について教えてください。

答8 特定通信の内容を記録した物件の内容を知る者は、事業者の役員等であれば誰でもよいというものではなく、知るべき者に限定されていることが必要です。この知るべき者とは、事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者又はその職責にあった者等であり、典型的には法務部門の役員等です(指針第2の2(3)参照)。

問9 特定通信の内容が記録された物件について、事業部門の営業担当者等が内容を知っている場合に、その内容を知る者の範囲がそれを知るべき者に制限されていたと認められますか。

答9 知るべき者とは、事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者又はその職責にあった者等です。課徴金減免対象被疑行為に関与する事業部門の営業担当者等は、原則として「事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者又はその職責にあった者」には該当しないと考えられます。
 他方、「事業者を代表して…職責にあった者」である法務部門の役員等が弁護士に相談する際に、事業部門の営業担当者等が同席し、具体的な内容等を補足説明したような場合には、当該同席等した相談(特定通信)については、特定通信を行った者として、「内容を知る者の範囲」に含まれ得ます。

問10 特定通信の内容が記録された物件について、外国弁護士に対してもその内容が共有されていた場合に、その内容を知る者の範囲がそれを知るべき者に制限されていたと認められますか。

答10 新たな課徴金減免制度をより機能させることに資する観点から、特定通信の内容を外国弁護士等に共有することの必要性が認められる場合には、「内容を知る者の範囲」の要件を欠くことにはなりません。したがって、その共有の必要性等についての事業者からの説明を踏まえ、個別に判断されます。

問11 特定通信の内容が記録された物件について、子会社等のグループ関係にある企業の役員等は、その内容を知るべき者に該当しますか。

答11 令和元年改正独占禁止法では、課徴金の算定基礎に一定のグループ企業(完全子会社等)の売上額等が追加されました。そのため、課徴金の算定基礎となり得るグループ企業が存在する事業者であれば、そのグループ企業とともに弁護士に相談し、法的意見を求めることは、新たな課徴金減免制度がより機能することにつながると考えられます。そのため、グループ企業の役員等は、知るべき者に該当する場合がありますが、グループ企業との関係性等についての事業者からの説明を踏まえ、個別に判断されます。

<電子データ一般>

問1 判別手続において、「電子データ」は物件と同様に取り扱うとされていますが、「電子データ」には具体的にどのようなものが含まれますか。

答1 典型的には、パソコンで作成したドキュメントファイルや、電子メールが考えられます。それ以外の形式で存在するものであっても、特定通信の内容が記録されたものであれば、同様に取り扱われます。

<電子データの適切な保管>

問1 電子データについて適切な保管の要件を満たすためには、当該電子データにどのような措置を講じればよいですか。

答1 電子データについては、特定通信を記録したものである旨が明らかとなるような表示をし、事業者として管理する特定の保存箇所において保管してください。
 表示について、具体的には、電子ファイルの場合はファイル名、電子メールの場合は件名について、「公取審査規則特定通信」又は「公取審査規則第23条の2第1項該当」との文言を含むものとすることが必要です。これに該当する表示は、例えば、電子ファイルのファイル名に「【公取審査規則特定通信】〇〇弁護士への相談依頼文書」と記載すること、電子メールの件名に「【公取審査規則第23条の2第1項該当】当社の社内調査の状況について」と記載することです(指針第7の1(1)参照)。
 ファイル名や件名に含む文言としては、このほかの文言であっても、特定通信の内容を記録したものである旨が識別できるような表示であれば認められますが、判別手続の円滑な運用・利用の観点から、まずは、例示の文言を用いた表示をしてください。

問2 電子メールについては、添付ファイルのファイル名にも適切な表示をする必要がありますか。

答2 判別手続の確認の過程においては、電子メールの本文と添付ファイルは区別して取り扱いますので、メール本文のみならず、添付ファイルにも特定通信の内容が記録されている場合には、当該電子メールの件名及び当該添付ファイルのファイル名の両方において適切な表示をしていただく必要があります。
 電子ファイルに特定通信の内容が記録されている場合には、それが電子メールに添付されるか否かにかかわらず、そのファイル名を適切な表示とするとともに、適切な保存箇所で保管しておくことが必要となりますので、電子メールに添付する前の電子ファイルを作成する段階から、ファイル名における適切な表示と適切な保管を行ってください。

問3 特定通信の内容を記録した電子データの保存箇所について詳しく教えてください。

答3 特定通信の内容を記録した電子データの保存箇所は、弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等が管理する場所であって、それ以外の電子データの保存箇所とを、フォルダの名称等によって区別しておくことが必要となります。
 これに該当する保管方法は、例えば、特定通信の内容を記録した電子データが保管されていることを表示した、法務部門が管理するフォルダに保存され、当該フォルダに特定通信の内容を記録した電子データ以外の電子データは保存されていないことです(指針第7の1(2)参照)。課徴金減免対象被疑行為に関与していた事業部門が管理するフォルダでの保管については認められません(<適切な保管>問6参照)。
 また、電子メールの場合は、特定のメールアカウントを用いて送受信を行うことで、電子メールを管理してください。

問4 法務部門がない場合、どのような箇所で電子データを保存すれば適切な保管として認められますか。

答4 特定通信の内容を記録した電子データの保存箇所を管理すべき「弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等」とは、典型的には法務部門やその役員等ですが、事業者の組織の在り方は様々であり、法務部門がないことも考えられます。
 その場合には、例えば、総務部門など当該事業者において弁護士に相談することを事務として取り扱う部署又は役員等の担当・所掌事務の実態や対応等についての説明を踏まえ、個別に判断することとなります。

問5 特定通信の内容を記録した電子データの保存箇所について、「電子メールの場合は特定のメールアカウントで管理」とされていますが、具体的にどのようなことを行えばよいのか教えてください。

答5 特定通信の内容を記録した電子メールは、特定のメールアカウントで管理されている必要があります。
 このため、特定通信の内容を記録した電子メールを取り扱う際は、通常使用するメールアカウントとは別に、特定通信の内容を記録した電子メールの送受信を行うためだけに使用するメールアカウント(電子メールアドレス)を作成し、当該メールアカウントを使用して、特定通信の内容を記録した電子メールの送受信を行ってください。
 社内の特定通信の内容を知るべき者の間で電子データを共有したり、電子メールでやり取りを行う場合は、<電子データの適切な保管>問8を参照してください。

問6 判別手続が導入される以前に作成していた電子メールについては、適切な表示等ができていませんが、どうすればよいですか。

答6 判別手続が導入される以前に作成していた電子メールは、一般的な電子ファイルと異なり、件名を事後的に変更することができないなどの特性があることを考慮し、一定の措置を講じた場合には、適切な保管の要件を満たすものとして取り扱います。
 具体的には、当該電子メールをエクスポートするなどして別の電子ファイルを作成し、当該エクスポート後の電子ファイルについて、①ファイル名を「公取審査規則特定通信」等の特定通信の内容を記録したものであることが明らかとなるような文言を含むものとした上で、②事業者として管理する特定の保存箇所に保存してください(<電子データの適切な保管>問3参照)。過去に作成していた元の電子メールは、従来の状態のまま保管していて問題ありません。
 その上で、判別手続が導入される以前に作成していた電子メールと一定の措置を講じて作成された別の電子ファイルの双方について判別手続の利用を申し出る必要があります。
 判別手続が導入される以前に作成していた電子メールについて判別手続の利用を口頭で申し出る際は、①及び②の措置を講じた電子メールが存在することを審査官に説明するとともに、その旨を申出書に記載してください。また、概要文書には、判別手続の導入以前に作成された電子メールであること及び一定の措置を講じたことを記載して提出してください。

問7 電子データの形式上、電子メールのような一定の措置(<電子データの適切な保管>答6)を講じることが不可能な判別手続導入前の電子データについては、どうすればよいですか。

答7 例えば、特定のシステムに依拠していてエクスポートできない形式の電子データやバックアップデータ等、<電子データの適切な保管>答6のような一定の措置も講じることが技術的に不可能な電子データも存在し、判別手続導入前のそれらの電子データの中に特定通信を記録した内容が含まれていることもあり得ます。
 そのような場合は、判別手続の利用を口頭で申し出る際に、一定の措置を講じることが技術的に不可能であった理由を併せて審査官に説明するとともに、その旨を申出書に記載して提出してください。また、概要文書にも同様の理由を記載して提出してください。

問8 社内で、特定通信の内容を記録した電子データの内容を共有したい場合は、具体的にどうすればよいですか。

答8 特定通信の内容を記録した電子ファイルやそれらの保存フォルダを、パスワードで管理したり、アクセス制限をしたりすることで、社内の特定通信の内容を知るべき者だけで内容の共有ができると考えられます。
 また、特定通信の内容を知るべき者である社内の役員・従業員の間で、弁護士と特定のメールアカウントで送受信した電子メールの内容を共有したい場合は、その特定のメールアカウントについて、複数人の知るべき者がアクセスできるようにすることが考えられます。知るべき者の間で特定通信の内容を記録した電子メールを送受信することによりその内容を共有したい場合には、社内の役員・従業員間においても、それぞれが特定のメールアカウントにより送受信していただく必要がありますので、特定通信の内容を共有する役員・従業員それぞれが特定のメールアカウントを作成してください。
 電子メール以外の方法、例えばイントラネット等を用いて、特定通信の内容を記録した電子データや弁護士とのメールの内容について社内で共有を行う場合も、社内の特定通信の内容を知るべき者のみがアクセスできる環境で管理されていることが必要となります。

問9 電子データを保管するに当たっての注意点を教えてください。

答9 特に、特定通信の内容が記録された電子メールを取り扱う際に、判別手続において問題が生じ得る事態が起こりやすいと考えられます。例えば、添付ファイルを閲覧する際、事業者として然るべき者・部署が管理する電子データ用の保存箇所(<電子データの適切な保管>問3参照)を具体的に定めないまま従業員等が使用する個人用のパソコンのデスクトップ等に当該ファイルをダウンロードしてしまったり、役員に報告するために、特定のメールアカウント以外の通常の業務で用いているメールアカウントに向けて電子メールを転送してしまったりするなどです。
 このようなことを極力避けるため、特定通信の内容が記録された電子メールを取り扱う際のルールや手順を社内であらかじめ定めておくなど、適切な保管方法について担当者が理解を深め、必要な事項を周知しておくことが望ましいと考えます。
 また、電子データの保管にあっては、人事異動やシステム変更のタイミングなどではアクセス権の設定ミスといった単純なミスも起こりやすいと考えられますので、電子データの保管については、十分留意してください。

問10 弁護士に最初に相談した際の電子メールについては、相談内容が判別手続の対象になり得ると認識していなかったため、適切な表示等ができていませんが、どうすればよいですか。

答10 弁護士に最初に相談した際の電子メールは、一定の措置を講じた場合(<電子データの適切な保管>問6参照)であって、最初に相談を行った時点では相談内容が判別手続の対象になり得ると認識していなかったことについて合理的な説明ができる場合には、適切な保管の要件を満たすものとして取り扱います。
 具体的には、当該電子メールをエクスポートするなどして別の電子ファイルを作成し、当該エクスポート後の電子ファイルについて、①ファイル名を「公取審査規則特定通信」等の特定通信の内容を記録したものであることが明らかとなるような文言を含むものとした上で、②事業者として管理する特定の保存箇所に保存してください(<電子データの適切な保管>問3参照)。元の電子メールは、従来の状態のまま保管していて問題ありません。
 その上で、判別手続が導入される以前に作成していた電子メールと一定の措置を講じて作成された別の電子ファイルの双方について判別手続の利用を申し出る必要があります。
 御質問のような電子メールについて判別手続の利用を希望する際は、一定の措置を講じた電子メールが存在することや、最初に相談を行った時点では相談内容が判別手続の対象になり得ると認識していなかったことを審査官に説明(口頭)するとともに、その旨を申出書に記載してください。
 また、概要文書にも、同様の説明を記載して提出してください(必要に応じて概要文書の別紙様式3(自由記載)も利用してください。)。

問11 特定通信の内容を知るべきでない者を、誤って電子メールの宛先に含めて送信してしまった場合は、どうすればよいですか。

答11 電子メールを用いて社内で情報共有する場合には、特定のメールアカウント間でやり取りを行うことを求めています。
 仮に御質問のようなことが起き、特定通信の内容を、それを知るべきでない者が知ってしまった場合には、当該誤送信メールは、特定通信の内容を記録したものであることの要件を満たさず、判別手続の対象とはできません。ただし、事業者からの説明により、当該電子メールの秘密性が維持されていると認められる場合には、判別手続の対象となり得る場合があります。
 具体的には、①内容を知る者の範囲がそれ以上広がらないようにする措置を採った上で、②概要文書においては、当該誤送信メールの受信者を「電子メールの誤送信によりやむを得ず知った者」としてください。誤送信の状況についての事業者からの説明等を踏まえ、個別に判断することとなります。
 また、当該誤送信の受信側の電子メールを判別手続の対象としたい場合には、①当該誤受信メールについて、相談担当者の指示の下、エクスポートするなどして別の電子ファイルを作成し、②当該エクスポート後の電子ファイルについて、事業者として管理する特定の保存箇所に保存してください。その上で、③誤受信メールと一定の措置を講じて作成された別の電子ファイルの双方について判別手続の利用を申し出る必要があります(この場合、誤受信メールは、その状態のまま保管していて問題ありません。)。

<申出書・概要文書共通>

問1 申出書や概要文書に押印する必要はありますか。

答1 押印していただく必要はありません。

問2 公正取引委員会のウェブサイトで公開されている様式を用いずに申出書や概要文書を作成した場合、どのように扱われますか。

答2 申出書や概要文書は、規則・指針等で示している必要な要素が記載されていれば、様式や記載例どおりでなくても、提出の要件に欠けると判断することはありません。
 しかし、ウェブサイトで公開している様式は、事業者が提出する申出書や概要文書に必要な要素が円滑に記載できるよう作成していますので、公開している様式を参考にして作成いただくことが望ましいと考えます。

<申出書>

問1 申出書を当日に提出できない場合、後日電子メールやFAXで提出することはできますか。

答1 申出書は、立入検査当日にその場にいる審査官に提出していただくものです。このため、後日の提出や、電子メールやFAXによる提出は想定していません。

問2 申出書については、記載例(物件)記載例(電子データ)のとおり、物件と電子データを別々に作成して提出しなければならないのですか。

答2 記載例は、分かりやすさの観点から物件の場合と電子データの場合に分けて作成し、公開していますが、実際に申出書を作成する際に、物件と電子データを別々に作成する必要はありません。

問3 申出書の「申出者名」には、どのような者を記載すればよいですか。

答3 判別手続の申出を行う者と提出命令を受ける者(名宛人)は同一の者となります。そのため、立入検査当日、審査官に対して提出命令書の名宛人を確認し、同一の者を申出書の「申出者名」に記載してください。

問4 申出書の「事務上の連絡先」には、どのような者を記載すればよいですか。

答4 判別手続では、事業者と判別官でコミュニケーションを取りながら手続を進めていく必要があるため、申出を行う物件の内容等について説明・回答できる方や申出後の手続について対応可能な方の氏名等を記載してください。
 また、「電子メールアドレス」については、今後判別係とのやり取りを行う際に使用するものを記載してください。
 なお、説明・回答できる方や対応可能な方が複数名いる場合には、複数名を記載しても構いません。

問5 申出書の別紙目録の記載方法について教えてください。

答5 審査官が作成する提出命令品目録の記載内容に合わせて申出書の別紙目録を作成することになりますので、立入検査当日、審査官に確認してください。また、参考として、記載例(物件)記載例(電子データ)を公開しています。

問6 申出書の説明事項欄を立入検査の翌日以降に修正することはできますか。

答6 修正が可能な場合もありますので、判別係に御相談ください。
 申出書の記載内容に誤りがある場合には、判別係から事業者に連絡をして対応を確認することもあります。

<概要文書>

問1 概要文書の提出方法を教えてください。

答1 概要文書は、郵送、持込み、FAX又は電子メールによるか、当ホームページ上のオンライン手続の窓口より提出することができます。

問2 概要文書の提出期限を延長してもらうことは可能ですか。

答2 概要文書は、物件について提出命令を受けた日から原則2週間以内に、公正取引委員会に提出する必要があります(規則第23条の2第2項)。また、電子データの場合は、特定データを複製した記録媒体の交付から原則2週間以内に、公正取引委員会に提出する必要があります(指針第7の2(2))。
 概要文書の提出期限の延長は、災害等により期間内に提出できないことについて特別の事情がある場合は可能ですので、特別の事情について説明してください。しかし、単に概要文書に要する情報整理等の準備を事前には行っていなかったため作成に時間が必要、といった事情では延長は認められません。
 そのため、日頃から、事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者(典型的には法務部門の役員・従業員、法務部門がない場合には例えば総務部門の役員・従業員などが想定されます。)を相談担当者として定め、判別手続の対象とすることを求める物件(文書等)と、その物件に記録されている特定通信の概要など概要文書の作成のために必要となる情報を事前に整理・把握しておくことが極めて重要です。また、迅速に概要文書を提出するためには、事前に概要文書の様式に記入しておくことも考えられます。

問3 概要文書作成要領では、「概要文書の作成のために必要となる情報を事前に整理・把握しておくことが極めて重要です」、「事前に概要文書の様式に記入しておくことも考えられます」とされていますが、具体的には概要文書のどの部分について、必要となる情報を整理・把握し、概要文書の様式に記入しておくことができますか。

答3 概要文書の記載事項の大部分(「提出命令品目録の番号・品目」欄以外の欄)は、判別手続の利用を求める可能性がある物件及び電子データについて、事前に作成のために必要となる情報を整理・把握することにより様式に記入することが可能な部分です。
 なお、別紙様式4(「一定の措置を採った電子データ」一覧表)は、一定の措置を採った電子データがある場合のみ作成してください。

問4 判別手続を利用するための事前準備として、概要文書の具体的な記載方法などを判別係に相談することはできますか。その際、相談内容が審査官等に伝わることになりますか。

答4 概要文書の具体的な記載方法について、判別係に事前に相談することは可能です。
 事前の相談内容を判別係から審査官等に伝えることはありません。

問5 概要文書作成要領では、概要文書(物件)について「特定物件1点につき1つ作成」するとされていますが、具体的には、どのような単位で作成すればよいですか。

答5 特定通信の内容を記録した文書等が単独の文書等(報告書、冊子、ノートなど)により構成されている場合には、その単独の文書等1つにつき概要文書を1つ作成してください。また、特定通信の内容を記録した複数の文書等をファイルにつづって管理しているのであれば、そのファイル1冊につき概要文書を1つ作成の上、文書等ごとにそれぞれ行を分けて記載してください。
 なお、特定通信の内容を記録した複数の文書等を1冊のファイルにつづり保管している場合には、文書等ごとに仕切り紙を入れてインデックスを付す、目次を作成することなどにより、概要文書の作成が容易になると考えられます。

問6 概要文書作成要領では、複数の特定通信の内容が記録されている場合には、その「特定通信ごと」に、それぞれ行を設けることとされていますが、「特定通信ごと」とは、具体的には、どのような単位で作成すればよいですか。

答6 「特定通信ごと」に概要文書を記載するとは、事業者と弁護士との間の相談・回答のまとまりごと(内容、形状、作成日などを踏まえて区別してください)に、行を設けて、概要文書に記載することです。
 例えば、弁護士との打合せ報告書に、異なる日に行った相談の内容が記載されている場合(令和3年8月23日に行った相談の内容と、同年8月31日に行った相談の内容が記載されている場合)、概要文書には2つの相談についてそれぞれ行を分けて設け、必要な事項を記載してください(概要文書作成要領2ページの物件の「特定通信ごとの記載欄」例2)。
 また、例えば、弁護士に法的意見を求める内容を記載した電子メール①を送信し、①を引用して返信する形で弁護士から法的意見を記載した電子メール②を受信した場合、②のメールについて、概要文書には、①、②についてそれぞれ行を分けて設け、必要な事項を記載してください(ただし、既に①について概要文書に行を設けて記載している場合は、②の行のみを設け、その「概要」欄に①の引用がある旨を記載してください。①について繰り返し行を設ける必要はありません。)(概要文書作成要領8ページの電子メールの「特定通信ごとの記載欄」例2)。

問7 特定通信の内容を記録した物件にヒアリング記録などの対象外文書等が添付されている場合、その対象外文書等についても概要文書に記載する必要はありますか。

答7 概要文書は、特定通信の内容を記録した物件について必要事項を記載するものです。ヒアリング記録などの対象外文書等については、仮に判別手続によって留置されたとしても、概要文書に記載することは求めていません。
 物件に対象外文書等が含まれていた場合は判別官から後日その写しの提出等を依頼する連絡を行うことになりますが、概要文書を作成する段階で、事業者の相談担当者が対象外文書等と考えられるものを発見した場合は、判別手続の円滑な運用・利用の観点から、判別官からの連絡を待つことなく、ある物件に対象外文書等が含まれている旨を当該物件の「概要」欄に記載することも可能です。

問8 中小事業者などで部署や役職が存在しない場合、「通信をした者の氏名」欄や「共有した者の氏名」欄は、どのように記載すればよいですか。

答8 部署や役職が存在しない場合、記載は不要です。
 別紙様式2(「通信・共有した者」一覧表)を用いる場合には、部署や役職の欄は空欄にはせず、斜線を引いてください。

問9 概要文書作成要領では、概要文書の「共有した者の氏名」欄には、「実際に物件の内容を見た者に限らず、その物件の内容にアクセスしようと思えばすることができた者」の氏名や所属等を記載することとされていますが、具体的には、どのような者を記載すればよいですか。

答9 特定通信の内容を記録した文書等にアクセスすることができる状態にあった全ての者を記載してください。
 例えば、特定通信の内容を記録した物件が法務部の管理する書棚に保管されている場合、当該物件が保管されている期間に、その書棚を利用し当該物件の内容にアクセスすることができる状態にあった全ての者を「共有した者の氏名」欄に記載してください。
 電子データについては、例えば、特定通信の内容を記録した電子ファイルが法務部の管理するフォルダに保存されている場合、当該ファイルが保存されている期間に、当該フォルダのアクセス権限を有していた者を「共有した者の氏名」欄に記載してください。また、電子メールの場合は、当該電子メールを送信又は受信した特定のメールアカウントのアクセス権限を有している者は全て「共有した者の氏名」欄に記載してください(システム担当者等のシステム保全・管理のためにマスター権限を持つ者等は除きます。)。

問10 特定通信の内容を記録した物件の内容を「事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者」以外の者に共有した場合、どのような説明が求められるのですか。

答10 共有した者が特定通信の内容を記録した物件の内容を知るべき者であることを説明していただく必要があります。
 例えば、特定通信を行った者であること(事業者〔事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者〕が弁護士に相談する際に同席し、相談対象となっている課徴金減免対象被疑行為の具体的な内容等を補足説明した者であること等)や、新たな課徴金減免制度をより機能させる観点から共有の必要性等があること(弁護士との相談を行っている課徴金減免対象被疑行為についてその売上額等が課徴金の算定基礎に含まれるグループ企業の役員等であり、通信の秘密を保持するための措置が講じられている等)等の事情について、具体的な事実を示しつつ、概要文書の別紙様式3(自由記載)を利用するなどして、判別官に説明してください。

問11 特定通信の内容が記録された物件について、外国弁護士等や一定のグループ企業の役員等に対してもその内容が共有されていた場合、概要文書の「部署・役職」欄に弁護士事務所名等や親会社の社名等を記載してもよいですか。

答11 「部署・役職」欄に所属を記載してください。

問12 通信の相手方が組織内弁護士だった場合、どのような説明が求められるのですか。

答12 判別手続の対象となる特定通信の相手方となる弁護士は、事業者から独立して法律事務を行う者である必要があります(指針第2注5参照)。
 組織内弁護士が、課徴金減免対象被疑行為の発覚等を契機として、当該事業者からの文書による指示により、当該事業者の指揮命令監督下になく、独立して法律事務を行っていることについて、具体的な事実を示しつつ、概要文書の別紙様式3(自由記載)を利用するなどして、判別官に説明してください。

問13 別紙様式1(「通信・共有した者の業務内容」一覧表)について、在任期間や業務内容の記載は何のために必要なのですか。

答13 判別官が、共有者について、特定通信の内容を知るべき者(事業者を代表して弁護士に相談する職責にある者又はその職責にあった者等)であるかを確認するために必要な情報です。
 仮に、在任期間や業務内容が未記入であっても、それをもって概要文書の提出がなかったものとすることはありませんが、後日、判別官から同様の資料を求めることが想定されます。

問14 例えば、特定のメールアカウントAから、社内の別の特定のメールアカウントBへ、当該特定のメールアカウントAと弁護士との間で通信した電子メールを転送した場合、その転送メールに関して「通信をした者」をどのように記載すればよいですか。その転送メールを引用して、特定のメールアカウントBから弁護士に電子メールを送信した場合はどうですか。

答14 概要文書の「通信をした者の氏名」欄には、実際に特定通信をした者を記載します。
 特定のメールアカウントAから特定のメールアカウントBへの転送メールについては、当該転送メールに記録された特定通信をした者は、「弁護士」と「特定のメールアカウントAを利用した者」になりますので、「通信をした者の氏名」欄には「弁護士」と「特定のメールアカウントAを利用した者」を記載します。
 その転送メールを引用して特定のメールアカウントBから弁護士に送信した電子メールについては、それ自体が特定通信となることから、特定通信をした者は、「弁護士」と「特定のメールアカウントBを利用した者」になりますので、「通信をした者の氏名」欄には「弁護士」と「特定のメールアカウントBを利用した者」を記載します。この場合、弁護士宛ての当該電子メールにおいて過去の別の特定通信(「弁護士」と「特定のメールアカウントAを利用する者」との間の特定通信)も引用している旨を「概要」欄に記載してください。

ページトップへ