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3 取引先事業者に対する自己の競争者との取引の制限[団体ガイドライン6-5,6-7]

3 取引先事業者に対する自己の競争者との取引の制限[団体ガイドライン6-5,6-7]

1 相談者

 生コンクリート卸売業者の協同組合(平成7年度)

2 相談の要旨

(1) 当協同組合(以下「当組合」という。)の地区内には,アウトサイダーとして大手商社が相当数あるが,当組合の組合員の販売シェアの合計が全体の過半を占めている。

(2) 当組合は,現在,中小企業等協同組合法に基づく共同経済事業として,生コン製造業者の協同組合(以下「生コン協組」という。)から,生コンの共同購入事業を行っているが,ユーザーであるゼネコン等に対しては各組合員が独自に販売している。
 当組合の地区においては,生コンの販売競争が激しく市況が低落していることから,生コン協組は,市況安定のため,当組合に対し,生コンの共同販売事業の実施を要請するとともに,アウトサイダーを含め生コン卸売業者の購入窓口を一本化することを提案している。

(3) そこで,これを受けて,当組合として,生コンの共同販売事業を行うとともに,生コン協組との間で,同協組は販売先を当組合に一本化し,他の卸売業者には販売しないこととする旨の新たな販売契約を交わしたいと考えているが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 不当に相手方が競争者と取引しないことを条件として当該相手方と取引し,競争者の取引の機会を減少させるおそれがあることは,排他条件付取引(一般指定第11項)として,また相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて,当該相手方と取引することは,拘束条件付取引(一般指定第13項)として,それぞれ不公正な取引方法に該当する。
[団体ガイドライン6-5(排他条件付取引),6-7(拘束条件付取引)]

(2) 独占禁止法第22条の要件を備えた協同組合であっても,共同購入,共同販売事業を行う協同組合は単一事業者とみなされ,相談のような契約を結ぶことは,組合が取引先である生コン協組に対し,組合以外のものには生コンを販売しないようにさせることとなり,このことは組合の市場における地位を考慮すれば,不公正な取引方法に該当するおそれがあり,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 組合が,取引先事業者に対し,自己の競争者との取引を制限することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。

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