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家電廃棄物の収集運搬に関する事業者団体からの相談事例について

家電廃棄物の収集運搬に関する事業者団体からの相談事例について

 公正取引委員会は,特定家庭用機器再商品化法(以下「家電リサイクル法」という。)の対象であるエアコン,テレビ,冷蔵庫及び洗濯機の廃棄物(以下「廃家電4品目」という。)の収集運搬に関し,協同組合から,共同あっせん事業を行いたい旨の相談を受け,独占禁止法上問題がない旨の回答を行ったところ,他の事業者団体にも参考となると考えられることから,当該相談の概要を公表することとした。

1 相談の要旨

(1) 当組合は,A自治体の区域において,一般廃棄物の収集運搬業を営む事業者を組合員とする協同組合であり(以下「X協同組合」という。),大規模事業者を含まないなど独占禁止法第22条各号で定める同法の適用除外の要件を満たしている。

(2) 廃家電4品目については,家電リサイクル法に基づき,リサイクルのための回収が行われるところ,同回収のルートは,家電小売店ルートと家電小売店以外のルートに分けられる。
 家電小売店ルートとは,家電製品の小売業者(以下「家電小売店」という。)が(1)自らが過去に販売した廃家電4品目及び(2)自らの販売に伴う下取品としての廃家電4品目を家電リサイクル法に基づく義務により回収するものである。
 家電小売店以外のルートとは,購入した家電小売店が不明であったり,遠隔地に所在すること等から廃家電4品目が家電小売店に引き取られることなく排出される場合に,家電小売店以外の者が回収するものである。

(3) A自治体は廃家電4品目の回収を行わないこととし,民間の一般廃棄物収集運搬業者に回収を要請した。このため,要請に応じた事業者は,廃家電4品目の回収を効率的かつ確実に行うため,X協同組合を設立し,共同あっせん事業として廃家電4品目の回収を行うこととした。

(4) 共同あっせん事業の概要は次のとおりである。

[1] X協同組合は,あっせんの方法としてA自治体の区域をあらかじめ組合員数分の地区に分け,1地区に1名ずつ組合員を割り振る。

[2]X協同組合は,統一の受付窓口を設け,消費者から廃家電4品目の回収の申込みを一括して受け付け,申込者の住所により,当該地区を担当する組合員に受注をあっせんする。

[3] あっせんを受けた組合員は,申込者に受注の連絡を行った上,廃家電4品目を回収し,家電メーカーの指定引取場所まで運搬し,メーカーに引き渡す。

[4] X協同組合はあっせんを行うものであり,廃家電4品目の回収に係る契約は,申込者と回収を行う組合員との間で行われる。回収料金は,各組合員が独自に設定し,回収を行った組合員と申込者の間で料金の授受を行う。

[5] 組合員は,会費又は手数料の形で受付窓口の設置等あっせんに関する費用をX協同組合に支払う。

[6] X協同組合は,あっせんした組合員が回収を行えない場合には,直ちに別の組合員をあっせんするなど申込者の排出する廃家電4品目が確実に回収されるよう,申込者に対して責任を持つ。

 なお,X協同組合は,共同あっせん以外の方法により組合員が廃家電4品目の回収依頼を受けることを妨げない。
このような共同あっせん事業を行うことは,独占禁止法上問題ないか。

2 独占禁止法上の考え方

 本件共同あっせん事業は,申込者の住所に応じて当該地区を担当する組合員をあっせんするものであるから,X協同組合において,廃家電4品目の回収について組合員の営業地域の制限及び回収事業者の選定を行うものであるといえる。
 しかし,独占禁止法第22条の規定により,同条各号の適用除外の要件を備える協同組合が,設立準拠法に基づいて共同経済事業を行うことについては,不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合を除いて,独占禁止法の適用が除外される。この点について検討すると,本件共同あっせん事業は,

(1) X協同組合の設立準拠法である中小企業等協同組合法に基づく共同経済事業として行われるものであること

(2) 統一的な受付窓口を設けてあっせんを行うものであり,あっせんした組合員が回収できない場合には,確実に回収されるようX協同組合が責任を持つなど,共同あっせん事業としての実態を備えたものであること

(3) 回収料金については,各組合員が独自に決定するものであり,また,組合員は,本件共同あっせん事業以外の方法により廃家電4品目の回収依頼を受けた場合には,自由に受注できることから,不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合には当たらないこと

から,独占禁止法の適用が除外されるものと考えられる。

4 回答の要旨

 独占禁止法第22条各号の要件を備えるX協同組合が相談の共同あっせん事業を行うことについては,独占禁止法上問題ない。

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