77 大規模事業者が加入した協同組合の砂利・砕石の共同販売事業

1 相談者

 砂利・砕石販売業者の協同組合(昭和62年度)

2 相談の要旨

(1) 当組合の組合員はすべて中小企業である。
 組合員は地区内の砂利・砕石の大部分を供給しているところ,このたび,当組合で砂利・砕石の共同販売事業を実施する予定である。
 当地区内には大規模事業者がおり,当組合の共同販売事業開始を契機にこの事業者も当組合に加入させて共同事業に参加させ,市況安定を図りたいと考えている。

(2) そこで,当組合として,次のようなことを行うことは,独占禁止法上問題ないか。

ア 大規模事業者を当組合に加入させて共同販売事業を行うこと。

イ 大規模事業者は,組合に加入せず,組合又は特定の組合員に対し,自己の生産する砂利等の全量を販売し,共同販売に供すること。

ウ 当該大規模事業者が砂利等を販売する子会社(中小企業)を設立し,同子会社が組合に加入して共同販売事業を利用すること。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 独占禁止法第22条各号の要件を備え,かつ,法律の規定に基づいて設立された組合の行為については,独占禁止法の適用が除外される。ただし,不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合には,適用除外とはならない。[一定の事業者団体に対する独占禁止法の適用除外制度]

(2)
ア 大規模事業者が加入する協同組合は,独占禁止法第22条に定める同法の適用除外となる要件(小規模事業者の相互扶助を目的とすること)を欠き,同法の適用を受けることとなる。
 したがって,大規模事業者が加入した場合には,この共同販売事業における供給量は地区内のほとんどになることから,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなり,独占禁止法上問題となる。

イ 協同組合又はその組合員が,アウトサイダーである大規模事業者の販売する商品を全量買い取り,共同販売に供することは,実質的には,協同組合とアウトサイダーとの価格協定になり,独占禁止法上問題となる。

ウ 大規模事業者が中小企業の規模の子会社を設立し,その子会社を協同組合に加入させたとしても,同子会社が実質的に大規模事業者とみなされる場合には,独占禁止法上問題となる。

4 回答の要旨

 大規模事業者が加入した場合に相談の共同販売事業を実施すること,アウトサイダーである大規模事業者の販売する商品を全量買い取り,共同販売に供すること,大規模事業者が中小企業の規模の子会社を設立し,その子会社を協同組合に加入させて共同販売事業を利用することは,独占禁止法上問題となる。

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