1 相談者
タクシー業者の団体(平成6年度)
2 相談の要旨
(1) 当団体の地区においては,顧客のタクシー離れもあってタクシー車両が過剰となっており,これが原因で客待ちタクシーの増加による交通渋滞の発生といった問題あるいは客待ち時間の長期化や空車走行距離の増大による実車率の低下に伴う経営の悪化といった問題が生じている。
このため,当団体では,これらの問題の対処策としてタクシー車両の減車を検討しているところ,各会員の自主的判断に任せたのでは減車は容易に進まず,会員の中からは,一律に減車を決めないと経営改善はできないとの声が出ている。
(2) そこで,当団体として,会員のタクシー車両を一律に減車することを申し合わせたいが,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が,構成事業者が商品又は役務を供給し,又は供給を受けるための設備について,その新設,増設若しくは廃棄に係る内容又はその稼動量を制限し,これにより市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反する。また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても,原則として,独占禁止法第8条第1項第4号の規定に違反する。
[団体ガイドライン4-1(設備の新増設等の制限)]
(2) タクシー業においては,タクシー車両がタクシーサービスという役務を供給するための設備といえるところ,団体が,会員のタクシー車両の減車を申し合わせることは,タクシー業における重要な競争手段である車両数を制限するものであり,独占禁止法上問題となる。
4 回答の要旨
団体が,会員のタクシー車両の減車を申し合わせることは,独占禁止法上問題となる。