事業者団体が,業務用機械の性能に関する表示項目,評価方法等の自主基準を設定することは,独占禁止法上問題ないと回答した事例
1 相談者
X協会(業務用機械メーカーの団体)
2 相談の要旨
(1) X協会は,業務用機械メーカーの団体であり,国内の甲製品の主なメーカーが会員となっている。
(2) 甲製品は,食品リサイクルに用いられる機械であり,近年,廃棄物の再生利用が推進されていることから需要が増加している。一方,ユーザーから,甲製品の性能表示の項目及び試験方法,試験条件等の評価方法がメーカー各社で異なっており,甲製品の性能比較が難しいとの指摘が多数寄せられている。このため,X協会は,製品の性能に関する表示項目及び評価方法等の性能基準を自主基準として定め,その利用は会員の判断に任せることを考えている。
(3) 具体的な自主基準の内容は,機械の性能に関する表示項目として,標準処理量,標準処理時間,消費電力,ランニングコスト等を定め,また,これらの項目についての試験方法,試験条件等の評価方法を定めている。その他,機械の設置に関する表示項目を定めている。
(4) X協会は,非会員の事業者であっても当該性能基準を利用することを認めるとしている。
ただし,カタログ等に「X協会の性能基準に基づく」と記載する場合は,事前に協会に連絡をするものとしたいとしている。
このような自主基準を設定することは,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が,規格の標準化や表示・広告に係る自主的な基準を設定し,また,環境の保全,安全性の確保等社会公共的な目的のための品質,規格等に係る自主規制等や自主認証・認定等の活動を行う場合がある。このような自主規制等や自主認証・認定等に係る競争阻害性の有無については,(1)競争手段を制限し需要者の利益を不当に害するものではないか,(2)事業者間で不当に差別的なものではないか,(3)社会公共的な目的等正当な目的に基づいて合理的に必要とされる範囲内のものかの各要素を勘案しつつ判断される。ただし,構成事業者に自主規制等の利用又は遵守を強制することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
[事業者団体ガイドライン7(種類,品質,規格等に関する行為)]
[事業者団体ガイドライン8(営業の種類,内容,方法等に関する行為)]
(2) 本件については,
[1] 甲製品の性能に関する表示項目,評価方法及び機械の設置に関する表示項目等を定めた性能基準を策定することは,利用者が甲製品を購入する際の性能比較を容易にするためであること
[2] 甲製品の表示項目,評価方法及び機械の設置に関する表示項目について,ホームページ等において,会員を始め広く需要者等に対しても明確にすることとしていること
[3] 非会員の利用が認められていること
から,事業者間での競争を阻害するものではなく,その利用又は遵守を会員に強制するものでない限り,独占禁止法上問題ないと考えられる。
4 回答の要旨
X協会が業務用機械の性能に関する表示項目及び評価方法からなる性能基準を策定することについては,その利用又は遵守を会員に強制するものでない限り,独占禁止法上問題ない。