新聞発行業者が,1年間分の購読料を前払いすること等を条件として,購読料(定価)を割り引くことは,直ちに独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例
1 相談者
X社(新聞発行業者)
2 相談の要旨
(1) X社は,日刊新聞の発行を業とする者である。
(2) X社は,以下の条件を満たす長期購読者向けに,自社が発行する日刊新聞の定価を割り引くことを検討している。
ア 購読期間は1年間とすること
イ 1年分の購読料を一括前払いで支払うこと
ウ 支払手段はクレジットカードとすること
なお,割引幅はX社及び新聞販売店に利益が出る範囲となっている。
このようなX社の販売方法は,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 新聞発行業者が,相手方により,定価を割り引いて新聞を販売することは,独占禁止法上問題となる。ただし,正当かつ合理的な理由がある割引についてはこの限りではない(新聞業特殊指定第1項)。
(2) 本件については,長期購読者を対象とする趣旨,割引の条件,割引幅の水準など,前記2(2)の内容を総合的に勘案すれば,正当かつ合理的な理由がある割引であると考えられ,直ちに独占禁止法上問題となるものではない。
4 回答の要旨
X社が,前記2(2)の条件を満たす長期購読者向けに,自社が発行する日刊新聞の定価を割り引くことは,直ちに独占禁止法上問題となるものではない。