新聞発行業者が,一人住まいの学生向けに割引定価を設定することは,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例
1 相談者
X社(新聞発行業者)
2 相談の要旨
(1) X社は,日刊新聞の発行を業とする者である。
(2) X社は,新聞の購読が経済的に困難な学生に対し,新聞の購読を容易にするとともに,新聞離れが指摘される学生に新聞購読の習慣を付けさせるという目的で,一人住まいの学生向けに,自社が発行する日刊新聞について割引定価を設定することを検討している。
なお,支払手段はクレジットカード又は口座振替を検討している。また,日刊新聞の定価からの割引幅は,X社及び新聞販売店に利益が出る範囲となっている。
このようなX社の取組は,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 新聞業における特定の不公正な取引方法(平成11年7月21日公正取引委員会告示第9号)(新聞業特殊指定)第1項では,新聞発行業者が,正当かつ合理的な理由なく,相手方により,定価を割り引いて新聞を販売することを禁止している(独占禁止法第19条)。
(2) 本件については,他の新聞発行業者を排除しようというような目的で行われるものではなく,新聞の購読が経済的に困難な学生に対し,新聞の購読を容易にするとともに,新聞離れが指摘される学生に新聞購読の習慣を付けさせるという目的から行われるものであり,正当かつ合理的な理由がある割引であると考えられ,独占禁止法上問題となるものではない。
4 回答の要旨
X社が,一人住まいの学生向けに割引定価を設定することは,独占禁止法上問題となるものではない。