6 新聞発行業者による大量一括購入向け割引販売

 スポーツ新聞を発行する新聞発行業者が,取材先事業者に対し,取材記事が掲載された新聞に限定して一定部数以上を一括で購入することを条件として,自社が発行するスポーツ新聞の一部売り定価を割り引くことは,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

1 相談者

 X社(新聞発行業者)

2 相談の要旨

(1) X社は,スポーツ新聞の発行を業とする者である。

(2) X社は,取材先事業者から,取材を受けたことを宣伝等に利用したいため,当該取材先事業者が掲載されている号のスポーツ新聞を多部数購入したい旨,依頼を受けることがある。

(3) このため,X社は,当該取材先事業者に対し,その号の新聞を一定部数以上を一括で購入することを条件として,一部売り定価を割り引いて販売することを検討している。
 なお,割引後の販売価格は,X社に利益が出る水準にある。また,スポーツ新聞については,後日,X社が当該取材先事業者に対して直接郵送することとなっている。

 このようなX社の取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 新聞発行業者が,相手方により,定価を割り引いて新聞を販売することは,独占禁止法上問題となる。ただし,正当かつ合理的な理由がある割引についてはこの限りでない(新聞業における特定の不公正な取引方法(平成11年7月21日公正取引委員会告示第9号)第1項)。

(2) 本件については,大量一括購入する相手方に対し,当該相手方が掲載されている号のスポーツ新聞に限定して,一部売り定価を割り引いて販売するものであって,他の新聞発行業者を排除しようという目的で行われるものではないこと,定価を割り引いて販売してもX社には利益が出る価格設定であることから,正当かつ合理的な理由がある割引であると考えられ,独占禁止法上問題となるものではない。

4 回答の要旨

 X社が,取材先事業者に対し,取材記事が掲載された新聞に限定して一定部数以上を一括で購入することを条件として,自社が発行するスポーツ新聞の一部売り定価を割り引くことは,独占禁止法上問題となるものではない。

ページトップへ