一般社団法人第二地方銀行協会が,災害等が発生した際に,地方公共団体等から会員に対して義援金の振込手数料を無料にする依頼があった場合のルールを定めることについて,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例
1 本件相談に係る行為の概要
一般社団法人第二地方銀行協会(以下「第二地方銀行協会」という。)は,災害等が発生した際に,地方公共団体等(注)から会員に対して義援金の振込手数料を無料にすることについて依頼があった場合のルールを次のとおり定める。
(1)災害等が発生し,第二地方銀行協会の会員が,地方公共団体等から,義援金口座を開設するに当たって,当該口座への義援金の振込手数料を無料にするよう依頼を受けた場合,同会員から第二地方銀行協会に協力を要請する。
(2)第二地方銀行協会は,上記(1)の要請に応じ,他の会員に対して,地方公共団体等からの依頼内容を伝えて,義援金の振込手数料を無料にするかどうかの意向を確認する。
(3)地方公共団体等からの依頼に同意した会員は,店舗の窓口における義援金の振込手数料を無料にする。
(4)義援金の振込手数料を無料にする期間は,地方公共団体等が定めた義援金の募集期間とする。
(5)本件相談に係る行為の対象となる「災害等」は,国内で発生した集中豪雨や大規模地震などの自然災害のほか,不慮の大規模事故(家畜伝染病の蔓延,環境汚染等)により,災害等発生地の会員の営業地域の産業等に著しく悪影響を及ぼす事態とする。
なお,本件相談に係る行為の対象となる「災害等」以外の場合についても,会員が第二地方銀行協会を通さずに他の会員に協力要請を行うことや,会員が義援金の振込手数料を無料にすることは自由にできるものとする。
(注)本件相談における「地方公共団体等」は,災害等発生地の自治権を行使する地方公共団体(当該地方公共団体が設置する災害対策本部を含む。),日本赤十字社の本部及び支部,社会福祉法人中央共同募金会及びその傘下の47都道府県共同募金会をいう。
2 本件相談に対する独占禁止法上の考え方
本件相談に係る第二地方銀行協会の行為は,次のことから,独占禁止法上問題となるものではない。
(1)災害等が発生した場合に,地方公共団体等からの依頼により義援金の振込手数料を無料にする取組であり,市場における競争を実質的に制限するものとは認められないこと。
(2)義援金の振込手数料を無料にするかどうかは会員の任意の判断に委ねられており,また,会員間で差別的な取扱いを行うものではないこと。
(3)本件相談に係る行為の対象となる「災害等」以外の場合についても,会員が義援金の振込手数料を無料にすることは自由にできること。
3 結論
以上の点を前提とすれば,第二地方銀行協会の行為は,独占禁止法上問題となるものではない。
なお,本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合,その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には,文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には,このような撤回をした後でなければ,本件相談の対象とされた行為について,法的措置を採ることはない。
<参考>
本件相談に係る行為の概要図