4 健康器具メーカーによる小売業者の広告規制

 健康器具メーカーが,小売業者に対して,小売業者の広告において,自社が作成する雛形を用いて商品の説明をするよう義務付けることについて,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

1 相談者

 X社(健康器具メーカー)

2 相談の要旨

(1)X社は,健康器具Aのメーカーであり,我が国における健康器具Aの製造販売分野におけるシェアは約35パーセント(第1位)である。

(2)X社は,健康器具Aを,小売業者を通じて一般消費者に販売している。 

(3)X社の健康器具Aの売上高は,健康志向の高まりにより年々増加しているところ,ここ数年,インターネット販売を行う小売業者のホームページ等において,X社の健康器具Aの効能・効果について,虚偽・誇大な広告が行われるようになった。

(4)そこで,X社は,健康器具Aの虚偽・誇大な広告を防ぐために,全ての小売業者に対して,X社の健康器具Aを広告に掲載する場合には,自社が作成する雛形を用いて健康器具Aの商品説明をするよう義務付けることを検討している。

  • 本件の概要図

 このようなX社の取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1)メーカーが小売業者に対して,販売方法(販売価格,販売地域及び販売先に関するものを除く。)を制限することは,商品の安全性の確保,品質の保持,商標の信用の維持等,当該商品の適切な販売のための合理的な理由が認められ,かつ,他の取引先小売業者に対しても同等の条件が課せられている場合には,それ自体は独占禁止法上問題となるものではない(流通・取引慣行ガイドライン第2部第2-5〔小売業者の販売方法に関する制限〕)。

(2)本件は,X社が,健康器具Aの虚偽・誇大広告を防ぐために,小売業者に対して,広告において,自社が作成する雛形を用いて健康器具Aの説明をするよう義務付けるものであり,商品の適切な販売のための合理的な理由が認められ,かつ,全ての小売業者に対して同等の条件が課せられていることから,独占禁止法上問題となるものではない。

4 回答の要旨

 X社が,小売業者に対して,小売業者の広告において,自社が作成する雛形を用いて商品の説明をするよう義務付けることは,独占禁止法上問題となるものではない。

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