浄化槽の水質検査業者,保守点検業者及び清掃業者を会員とする団体が,浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃の標準料金表を作成することについて,独占禁止法上問題となると回答した事例
1 相談者
X協会(浄化槽の水質検査業者,保守点検業者及び清掃業者を会員とする団体)
2 相談の要旨
(1)X協会は,Z県に所在する浄化槽の水質検査業者,保守点検業者及び清掃業者を会員とする団体であるところ,Z県における会員のシェアは浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃のいずれの分野においても90パーセントを超えている。
(2)浄化槽は,住宅等に設置され,し尿及び雑排水を処理する設備である。
浄化槽を管理する者(以下「浄化槽管理者」という。)には,浄化槽法において,定期的に浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃を実施することが義務付けられている。しかしながら,水質検査,保守点検及び清掃を実施しない浄化槽管理者が少なくないことから,Z県における浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃の実施率は低迷している。
このため,Z県は,浄化槽管理者に対し,水質検査業者,保守点検業者及び清掃業者と浄化槽維持管理の契約を一括して締結することを推奨している。
(3)X協会は,このような一括しての契約を推進するため,浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃の標準料金表を作成することを検討している。
- 本件の概要図
このようなX協会の取組は,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1)事業者団体が,標準価格,目標価格等価格設定の基準となるものを決定し,これにより市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても,原則として独占禁止法第8条第4号又は第5号の規定に違反する(事業者団体ガイドライン第2-1-(1)-3〔標準価格等の決定〕)。
(2)本件は,X協会が,浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃の標準料金表を作成するものであるが,これは,X協会が会員の価格設定の基準となるものを決定するものであり,独占禁止法上問題となる。
4 回答の要旨
X協会が,浄化槽の水質検査,保守点検及び清掃の標準料金表を作成することは,独占禁止法上問題となる。