食料品メーカー2社が,商品配送の効率化のため,遠隔の地域に所在する卸売業者への配送を共同化することについて,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例
1 相談者
X社及びY社(食料品メーカー)
2 相談の要旨
(1)X社及びY社(以下「2社」という。)は,食料品Aのメーカーである。
我が国の食料品Aの製造販売分野におけるシェアは,X社が約40パーセント,Y社が約30パーセントである。
(2)2社は,遠隔のZ地域に所在する卸売業者への食料品Aの配送を自社の物流子会社に委託し,2社の物流子会社はトラックで食料品Aを配送している。2社が製造販売する食料品Aの販売価格に占める物流経費の割合はいずれも小さい。
(3)物流分野においては,トラックドライバーの不足による将来的な配送力の低下が懸念されていることに加え,CO2の削減といった環境負荷低減への社会的要請が強まっており,商品配送の効率化が2社共通の課題となっている。
(4)2社は,食料品Aの配送効率化のため,共同して,遠隔のZ地域に所在する卸売業者への配送を行うことを検討している。具体的な内容は,次のとおりである。
ア 2社の物流子会社はそれぞれ,2社の工場から物流拠点αまで食料品Aをトラックで運び入れる。
イ 運送業者P社が2社の食料品Aを一括して物流拠点αからZ地域の物流拠点βまで鉄道で輸送する。
ウ 2社の物流子会社のうち,配送先,数量等を基に,より効率的に配送できる方の物流子会社が2社の食料品Aを一括して物流拠点βから卸売業者までトラックで配送する。
エ 2社は,食料品Aの販売価格に関する情報について,それぞれの物流子会社に対しても一切伝えないこととする。また,配送先,数量等の配送上必要となる情報については,2社の物流子会社間でのやり取りに限定し,2社に当該情報が伝わらないよう情報遮断措置を採る。
- 本件の概要図
このような2社の取組は,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1)事業者が,契約,協定その他何らの名義をもってするかを問わず,他の事業者と共同して対価を決定し,維持し,若しくは引き上げ,又は数量,技術,製品,設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し,又は遂行することにより,公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することは,不当な取引制限(独占禁止法第2条第6項)に該当し,独占禁止法上問題となる(同法第3条)。
(2)本件は,我が国の食料品Aの製造販売分野において有力な事業者である2社が,商品配送の効率化のために遠隔のZ地域に所在する卸売業者への配送の共同化を行うものであるが,
[1] 2社が製造販売する食料品Aの販売価格に占める物流経費の割合は小さいこと
[2] 2社ともに食料品Aの販売価格に関する情報は物流子会社に対しても一切伝えず,配送先,配送数量等の配送の共同化に必要な情報は物流子会社間でのやり取りに限定し,2社には伝わらないよう情報遮断措置を採るとしていること
から,我が国の食料品Aの製造販売分野における競争を実質的に制限するものではなく,独占禁止法上問題となるものではない。
4 回答の要旨
2社が,食料品Aの配送の効率化のため,遠隔のZ地域に所在する卸売業者への配送を共同化することは,独占禁止法上問題となるものではない。