ホーム >独占禁止法 >相談事例集 >情報活動 >

1 エルピーガス料金に係る経営指導 [団体ガイドライン10(1),10-1]

1 エルピーガス料金に係る経営指導 [団体ガイドライン10(1),10-1]

1 相談者

 エルピーガスの小売業者及び卸売業者の団体(平成10年度)

2 相談の要旨

(1) 小規模な小売業者は,これまで,いわゆるどんぶり勘定による経営を行ってきた傾向があった。今後,エルピーガスと電力・都市ガス・石油とのエネルギー競争が激しくなることが予想される状況において,エルピーガスの小売業者が生き残っていくためには,自己の販売原価を的確に把握し,データに基づく経営効率化を図る必要がある。

(2) 当団体では,国の補助金を受け,会員に対する経営効率化の支援策の一つとして,都道府県単位で毎年,講習会を実施している。講習会では,これまでエルピーガスの需要拡大策等の時宜に応じたテーマを選定してきた。今回は,エルピーガス料金と計画経営の推進をテーマとして講習会を実施したいと考えている。

(3) 講習会では,料金の設定方法について会員を指導することとしており,講習会の資料には,損益分岐点の算出方法,原価の算出方法,原価計算の項目及び具体的な単価を示した料金算出例等を入れたいと考えている。
 団体として,このようなエルピーガス料金に関する資料を使い,会員に対する経営指導を行うことは,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が,中小企業に対して,中小企業の経営に関する知識等を補い,各事業者がその自主的な判断に基づいて事業の改善を図れるよう経営指導を行うことは,原則として独占禁止法上問題となるものではない。
 しかしながら,構成事業者が供給する商品又は役務に係る平均原価,統一的なマークアップ基準等又は所要の資材等の標準的な数量,作業量等及び単価を示す方法により,原価計算又は積算の指導を行うことは,事業者の現在又は将来の事業活動に係る価格等重要な競争手段の具体的な内容について目安を与えるものであり,独占禁止法上問題となるおそれがある。
 事業者団体によるこのような指導が価格等の決定等の制限行為につながり,又はそれら制限行為に伴う場合は,独占禁止法第8条第1項第1号又は第4号の規定に違反する。
 [団体ガイドライン10(1)(経営指導の性格),10-1(統一的なマークアップ基準等を示す方法による原価計算指導等]

(2) 相談の場合においては,団体が中小企業であるエルピーガス小売業者の経営効率化や経営体質の強化を図るため,講習会において経営指導を行うことは,会員の現在又は将来の事業活動に係るエルピーガス料金の具体的な価格等の重要な競争手段について目安を与えるものでない限り,独占禁止法上問題ない。

(3) 一方,相談のエルピーガス料金に関する資料は,一般的な損益計算の方法や原価計算の項目を示すだけでなく,原価の算出方法と具体的な単価を示したエルピーガス料金の算出例を具体的に示すものであることから,会員の現在又は将来の事業活動に係る価格等重要な競争手段の具体的な内容について目安を与えることになり,独占禁止法上問題となるおそれがある。

(4) 団体として,講習会においてエルピーガス料金に関する会員の現在又は将来の価格設定等の目安となるような内容の資料を使い,会員に対して経営指導を行うことは,原価計算の一般的な指導の範囲を超え,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

(1) 団体が,中小企業であるエルピーガス小売業者等の経営効率化や経営体質の強化を図るため,講習会において経営指導を行うことは,独占禁止法上問題ない。

(2) しかしながら,団体として,エルピーガス料金に関する原価計算の項目を示すだけでなく,具体的な単価を示した計算方法を示した資料を用いて経営指導を行うことは,独占禁止法上問題となるおそれがある。

ページトップへ